表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/164

本編-0038 迷宮製作②~地上開発と迷宮経済

昇爵はしたものの、どうやら【上級男爵(アークバロン)】では、定義できる【領域】を増やす効果は無いようである。

だが、そうすると迷宮領主(ダンジョンマスター)として支配することのできる【領域】には、必然システム的な上限が設定されることになる。仮に上級爵の特典としてスキルテーブルが強化される展開があるとしても……最上位が【魔王】か『大公』として明確になっている以上は、強者抑制ルール有りしこの世界のことだ、必ず、迷宮領主に無尽蔵のリソースを与えるようなことしないはず。


だから、今はこの八丈島ほどの広さのある【最果て島】全土を領域化している俺だが、もっと勢力を広げていった時には、いずれ「どこを迷宮の領域として定義するか」という取捨選択は迫られることだろう。

事実、ランダムに島内の適当な地点(地下含む)で魔素と命素の産出量を計測したところ、かなりバラつきがあった。

……まぁ、具体的にはやはり「裂け目」に近づくにつれて大きくなっている傾向は強いがな。それでも目には見えない"淀み"のようなものはあるようで、局所的に魔素・命素が溜まりになっているような箇所も存在していたが。


それで。

もろもろ計算したところ、今の俺の迷宮の魔素・命素生産量は、


・魔素:6,200/1日

・命素:7,000/1日


であることが判明した。これは施設『結晶畑』による魔石・命石への変換を含まない(・・・・)生にして天然なる生産量である。

んで、これを魔石・命石経済に転換するために、最終的な魔素・命素の生産量を最大化できるような「最適」な【魔素結晶花】と【命素結晶花】の個数を計算してやると――。


・魔素結晶花:約120輪。

・命素結晶花:約220輪。


とかなったのであった。

うーん、3桁も必要とは……きっついなぁ。


『きゅっ! 多いね、次々に奴隷蟲(スレイブ)ちゃんが進化しなくちゃならないせいで、開発にトドの氷さんが……』


『カキ氷?』


『それきゅぴ! 創造主様、早く早く【氷属性砲撃花】さんを創れるようになってきゅぴ!』


ことの発端は"(とどこお)る"――て駄洒落かよ。お前ら、俺から吸い取った「前の世界の母国語」で遊んでんじゃない……いや、一応生産計画は見てくれているようだから不問にするが。


三人集まれば何とやらというところを、小学生並みの集中力しか無い、ぷるぷるきゅぴきゅぴ生物どもが6体。

あれこれ計算させようにも――目を離すとすぐに「楽しいおしゃべり(きゅぴきゅぴ会議)」が始まってしまうのが玉に瑕ではある。


まぁ、話を戻すと。

上で算出した結晶花の数は、あくまで最大効率で、魔素と命素を余すところなく吸い上げる場合の最終的(・・・)な必要数だ。


島全体の開発が地上部も地下部も同時並行的に行われている現状、奴隷蟲(スレイブ)の数が慢性的に足りない。いきなり結晶花をMAXまで準備して――とはいかない。

確保しなければならない数のファンガル種は他にもいて、単純にその分の奴隷蟲が消費されることも考えなければならないし、そもそも奴隷蟲(スレイブ)達は迷宮開発を急ピッチで進めなければならないため、現状でも常に過労状態なのである。


だから、まだまだ『最大出力』には程遠い状況だ。

ただし、当然だが魔石・命石から換算した『実質魔素・命素収入』をフロー限界までエイリアンを増やすなんてことはしない。

リッケル子爵が手出しをしてきている準戦時下な状況だ。

せっかく『魔石・命石』というストックも可能なリソースになったのだから……いざという時のための備えとして、あるいは他の用途(・・・・)に使う分を確保しておくことになろう。


その辺りのこともあり、俺の眷属(エイリアン)達については、主要なものは下記までは増やしていく予定だ。(個体数が多い系統に限定してるぞ。これ以外のエイリアン達については、個体数が相対的に少ないから、魔素・命素の消費も誤差の範囲内である)


<各系統目標数>

幼蟲(ラルヴァ) …… 目標500体(現在340体)

奴隷蟲(スレイブ) …… 目標800体(現在146体)

走狗蟲(ランナー) …… 目標1,000体(現在244体)

戦線獣(ブレイブビースト) …… 目標70体(現在16体)

噴酸ウジ(アシッドマゴット) …… 目標100体(現在28体)

隠身蛇(クロークスネーク) …… 目標40体(現在7体)

・保存臓 …… 目標100基(現在12基)

・属性砲撃花 …… 目標50基(現在5基)


といった具合だ。

上で述べたように『最大出力』を全てフロー限界ギリギリまで養う、という風にはしていない。万が一のためのストックとして、「魔石・命石」の3番目サイズが1日あたり20~40個ほど"余る"ように上の目標数は設定しているところである。


さて。

この俺が、『上級男爵(アークバロン)』たるこの俺が養うことのできる、上の"迷宮の眷属の数"というのは――迷宮領主(ダンジョンマスター)業界の中では多い方であるやら、少ない方であるやら。

単純に走狗蟲(ランナー)1,000体! なんて言ってしまうとインパクトはあるだろうが、現実には相性だってあるし、少数戦闘と多数戦闘でも全く勝率は変わってくるだろう。


爵位が『領域』やら眷属数やらもろもろの基準によって決まっているらしいことを考えると――俺よりもさらに上位の『子爵(バイカント)』や『伯爵(カント)』は、どれだけの兵力が動員可能なことか。

本拠の防衛もあるだろうから、そのうちのどれだけを俺に差し向けてくることか……その点は俺も同じなんだがな。


リッケル子爵の「実験」が、ヒュドラを無力化するか、またはスルーする手段の検討であるならば、悠長にはしていられないのである。


……エイリアンを地上部にも出入りさせるってのは、その姿を見られるリスクも冒してることではあるんだがな。

ソルファイド曰くテルミト伯には【飛来する目玉】を初めとした、いくつかの偵察用の眷属がいるらしいが――その意味では、仮に見られてたとしても、情報の全てがリッケル子爵に伝わることはない、と踏んでいる。

昨日までの敵と電撃的に友になるとしても、明日には再び敵となっている、それが「戦国」の流儀であり、テルミト伯の立場からは、リッケル子爵と俺がほどほどに潰し合う方が望ましいのではないだろうか? ならば、リッケル子爵が有利になる情報は、出し渋るだろうと読んだわけだ。


さて。

それでは、地上部分の開発状況を、いくつか順を追って説明しよう。

まずは、地図をば。


挿絵(By みてみん)


【最果て島】の開発思想は大きく2つの方向性から成っている。


一つは当面の対リッケル子爵戦と、その先の、黒幕であろうテルミト伯との対峙を見据えた要塞化である。

こちらは地下がメインではあるので後回しにするが……9氏族陥落作戦で島の各地に掘り巡らせた坑道をベースに、迷宮本体と島の各所を繋ぐ地下道ネットワークに拡張していることは述べておく。

これらはすぐには見つからないよう地形などで巧妙に偽装しつつも、同時に、上陸してきた敵を『環状迷路』に誘い込むための入り口の役目も果たしている。

走狗蟲(ランナー)らのエイリアンには、こちらも使わせるが、島内の巡視は「樹冠の枝道」がメインとなっているのである。


そして開発思想の二つ目は、最果て島を一大生産拠点とすることだ。

これは迷宮(ダンジョン)的な意味で、ではない。そちらに関しては地下部で別に『結晶畑』の大集積地を建設中――魔素・命素以外の「資源」を集中的に生産する、一大プランテーションを形成させる予定である。


『主力商品はなんだきゅぴか?』


『はっは! 【農務卿】ル・ベリよ、答えてやれ』


『よく聞け脳髄ども。御方様は――資源生物(ゴブリン)どもの繁殖と品種改良をご所望だ』


その通り。

重労働力として、地上部の開発でスレイブ達には足りない手と器用さを補う。

迷宮地下部の『闘技場兼性能評価室』で、エイリアン達の特性や能力を図る都合の良い実験動物(モルモット)を供給する。

来たる【人界】浸透や【魔界】でも他の迷宮領主達と争う際の、捨て駒兼当て馬兼足止め役となる補助戦力を確保する。


産業革命には莫大な資源と交易ネットワークと、何より教育が整った一定以上の知性種集団が不可欠だが――ゴブリンにそんなものは求められない。機械化と自動化がすぐには達成できないならば、人海戦術と奴隷制は相性が良い。

ル・ベリの『奴隷監督』能力と、品種改良を繰り返せば効率はドンドン上がっていくことだろう。


……え?

確かにゴブリンは成長が早いが、それでも、妊娠期間も含めれば成体まで1年と3カ月掛かるだろう、だって?


はっはっは。

――数日前は気づかなかったが、俺は【揺籃臓】の真の能力を発見したのである。


ラルヴァ=エッグを素早く孵化させるためだけにしか使えないと思われた「第3世代」ファンガル種の揺籃臓。


しかしその本質は――"胎児"の成長を促進することであった。

すなわち、その対象は別にエイリアンに限られない(・・・・・)


妊娠したゴブリン雌を放り込めば――妊娠期間が3カ月掛かるところを、計算上、わずか10日に短縮させられることが判明したのである。

まぁ、まだ「試験第1陣」の"揺籃中"だし、本格始動はまだ先となるが――。

揺籃臓がこういう(・・・・)効果であるならば、その胞化先たる【培養臓】の能力も、期待(・・)が持てるな?


少し無理をして、早速1基『胞化』させているところだ。上手くいけば、ル・ベリによる"品種改良"はかなり効率的にできるようになるだろうよ。


――そしてこれは、ゴブリン以外の動物にも言えることである。

ボアファントなど最果て島固有の動植物達も、有用なものは『実験農場』と『実験牧場』で同じように"改良"しつつ、そうでないものも『保護区』に押し込む――(つが)いさえ保護しておけば、必要な時に増やすのは容易かろう。


はっは、きっと箱舟のノアもこんな気持ちだったのかな? 「手段」は大分違うだろうがね。


というわけで、プロジェクトリーダーに農務卿ル・ベリを充て、リッケル子爵戦後を見据えた基礎開発を行わせているのが、地上開発の現状であるる。

さて、それでは個別の地域別に見ていこう。


   ***


<岩丘とその周辺>

最果て島は全般的に平坦だが、その中では一番標高の高い場所でもある。

俺が最初に居た洞窟の、地上部への最初の出口があった箇所。

ただし、ゴブリン達を制圧した関係上、地上部への出入り口は別に作成したところである――昇り降りが大変だからなぁ。


ただ、こちらの旧出口は『樹冠の枝道』へのアクセスが良い。

地面からでは捻くれまわった根や枝を10~20メートルもよじ登らなければならないのに対し、岩の丘からであれば飛び移るだけで良いのである。これは身体能力の優れたエイリアン達と相性が良く、特に走狗蟲(ランナー)隠身蛇(クロークスネーク)韋駄天鹿(ソニックディーア)達が島内各地を巡視する際の交通結節点として整備を進めていく予定である。


『きゅぴぃ。奴隷蟲(スレイブ)ちゃん達も登れるよ? 創造主様、差別はだめだきゅぴぃ』


『違うな、これは"区別"だ。"差別"って言葉は使い所を誤ると大変だぞ――俺から知識(・・)を吸い出したなら、そのあたりの機微も読み取るように、な』


『きゅ、きゅぴぃい』


『でまぁスレイブの話だが、連中だって使うことはあるだろうさ。だが、仕事のメインが運搬やら掘削やらだからな……現状、枝道の補修とか改装はあまり考えちゃいないから、自然機会が少なくなるってだけだ』


単純に、制空権を得るという意味でも重要。

その意味では、枝道は『軍用通路』の性格が強いだろうか。

後は――岩丘が最果て島で最も標高の高い場所であることを活かして、近い将来に【飛翔】因子が解析完了した後のことも見据えて『発着陸場』として旧出入り口を整備するってのも有りだな。


『きゅぴ~、任せて~』


ん、この間延びしたしゃべり方は……イェーデンか?

ウーヌスの"同期"として、俺が生み出した副脳蟲(ブレイン)の一体だ。

――ぷるきゅぴ検定3級ぐらいだったら一発合格できそうなぐらい、今の俺には連中を見分けることは容易いのだよ。この小学生みたいな連中を捌くのも、いつの間にか昔の感覚(・・・・)が戻ったようで、大分気苦労を感じなくなってしまったものだ。



――おっと。

――"そんなこと"今はもはやどうでも良いな。

――全ては過ぎ去った■■■■■だった時代の、終わった話だ。



さて。

岩の丘の周辺には『ゴブリン強制労働区画』を設置する。

ここでは、農場や牧場と異なる様々な手工業品を生産させる予定である。

島の開拓のための道具も、ゴブリンの汚らしい素肌を覆い隠させるための布製衣服も、全てここで彼らに自給させる必要があり、そうした日用品の他にも、俺の迷宮を運営するにあたって有用な様々なものを作成させる。


その中でも、今俺が個人的に注目しているものが、奴隷蟲(スレイブ)の【凝固液】を利用した"建材"である。これは朽木だとか、地下坑道ネットワークを張り巡らした時に出た土砂礫なんかを、スレイブの【凝固液】で固めたものなのだが――このレンガもどき、強度はそこそこでしかないから、建材としては有り合わせでしかないのだが、軍事的には結構な利点がある。


"罠"に使いやすいんだよ。

なにせこの【凝固液】製の建材は――噴酸ウジ(アシッドマゴット)ら【強酸】因子持ちの"酸"で、非常に溶けやすいのだ。それがどんな猛威を奮ったかは、前のゴブリン氏族連合に対するダンジョン防衛戦で披露したところである。

これを利用した『罠部屋』なんかも、地下の坑道ネットワークには徐々に配置を進めているところである。


その他にも、先に述べたような『実験農場』や『実験牧場』のための広大な予定地を設定しているところだが、実際の開発はまだ先になりそうである。


というのも、農地として切り開こうとすると、当然ながら最果て島の森の木々が邪魔になる。

下手に木々を切ろうものなら、それが『樹冠の枝道』を一区画丸ごと倒壊させかねず、しかも連鎖的に周囲の倒すはずのなかった木々までドミノ倒しにする可能性があるのだ。だから、本格的に切り開こうと思うと『樹冠の枝道』の補修や"切り離し"など、別の土木作業……いや、この場合は木木作業か? が発生するため、手出しできずにいる。

とはいえ、ゴブリン達を遊ばせておくわけにはいかないため、ひとまず強制労働区画で、ごく小規模な『農場』や『牧場』の管理はさせているところではある。


<入江近辺>

岩丘から見て北北西、湾となっている入り江部分にして、最果て島における海への出口である。

今はヒュドラに挑む「流刑船」のおかげで、日々木片が流れ着いているがな。

いつヒュドラが入江まで回遊してくるかわからないため、なかなか掃除できないのだが――あいつ入江から内陸部にまで平気で突っ込んでくるからなぁ。

水陸両用の多頭竜とか悪夢だわ。まぁ、散らばる木片どもはどうせ死んだ(・・・)樹木の魔物であり、情報の一つも吐き出してくれるわけで無し。今は、別に放置しておくのも仕方あるまいよ。


将来的に『港』や『軍港』を作っていきたいところだがな。

まぁ――どうしてもヒュドラの脅威を除く必要がある以上、本格的な開発は後回しだな……てぇか、ソルファイドとヒュドラの闘争の顛末を軽く聞いたんだが、マジでどうするかね。

想像以上に強大な存在だぞ、ありゃ。単にでかいだけの捕食者的存在だと思っていたら、とんでもない。迷宮核の知識でもその危険性が繰り返し語られていた――【竜】なる種族の末裔だとはなぁ。


現状、1対1では俺の迷宮の最高戦力であるソルファイド(体調万全+2剣装備+竜の憤怒解禁)を以てして、遊び半分で戦っていたヒュドラの"生えたて"の首を2つ斬り落とすのが関の山とな。

んーむ。

仮に奴に有利な海上で戦いを挑むとしたら、【螺旋獣(ジャイロビースト)】が、最低でもヒュドラの今の(・・)首の数と同じだけ必要になるだろうが、それでも劣勢だろう。おまけに、ソルファイドの話を信じるならば、ヤツは首を切られた先から新しい首が生えてきて――しかもそんな特性をヒュドラ自身が十分に理解しており、時に捨て身の、首をわざと落とされること前提で自分自身の戦術に組み込んでくるほど悪辣な性格をしているのだから、厄介極まりない。


物量で攻め落とそうにも、俺のエイリアン達は「海」に得意とは言えず、地の利は圧倒的にヒュドラに有利。【因子:水棲】をキッカケに水中戦力を整えようにも、ヒュドラを除かないかぎり海上海中での安全なんかどこにもない、と。


『どう思う? ソルファイド。(おか)に引きずり込むのは、比較的楽だとは思うがな』


ゴブリンを適当に入江に並ばせて、エサとしてアピールすりゃ上陸してくるだろ、多分。


『殺せなくはない――俺だけならば無理であったろうが、主殿が、損害を恐れないのならば、あるいは』


『……へぇ?』


思ったよりは前向きな反応が聞けただけでも、今は良しとしておこう。

繰り返すが、そんな先のことを考えるよりも、目の前のリッケル子爵の襲来をどうにか受けて立つ態勢を整えるのが先である。


<湖沼地帯>

旧レレー氏族、ムウド氏族の縄張りの間に広がっていた泉や沼が多くある場所だ。

ボアファントを繁殖させるという意思も込めて、『実験牧場』にその大部分を組み込んではいる。その意味では、ここについてはあまり木々を切り倒さずに済むかもしれない。

それよりは、青酸モモや野生の様々な効能を持った薬草・毒草を栽培するのにも活用したいところだ。


『実験牧場』内のさらに細かな施設としては、

開発方針としては『貯水池』兼『果樹園』兼『放牧場』というところだろうか?

……あぁ。『貯水池』ってのは、別に溜池を作るわけじゃない。

泉や沼の地下に「水」専用の――【保存臓】をずらりと並べるつもりだ。

水の補給のためにだな。


最終的には、ボアファントや迷彩鹿、跳ね山羊といった草食動物どもを囲い込み。

『牧場』が本格的にできるようになってくれば、ボアファントからは「肉」や「牙」が、迷彩鹿からは「毛皮」と「肉」、跳ね山羊からは「羊毛」と「羊乳」が採取できるようになって、できることが増えるだろう。

そうなると併設する施設もいろいろ増えてくるだろうが――うむ。

ゴブリンを使って建てるも良し、エイリアン=ファンガル種の進化先に期待するも良し、だ。


<古樹地帯>

島の南西部にある複雑な地形が連続する地帯であり、元葉隠れ狼達の根城。

単純に起伏が富んでいるだけでなく、他と違って木々が相当古い時代からあるのか、立ち枯れになった古樹が空洞化しているなど、『樹冠の"枯れ道"』が形成されているのである。

"枯れ道"は、もはやどこからどこが「"枯れ木"の道」で、どこからどこが「"腐れ根"の道」かもわからないぐらい、立体迷路化が進んでいることも特徴であるが――『枝道』と異なり、いつ砕けて崩落するかわからないという意味では、侵入者なんかを迎撃するにはもってこいの地形かもしれない。


ん? 侵入者は船で海から来るだろう、だって?

はっは、魔界側(そっち)の話じゃあないさ。


――【人界】からの侵入者は『環状迷路』と地上部の『古樹地帯』を行ったり来たりさせられるような、地上と地下の2層構造の迷宮(ダンジョン)でお出迎えしてやろうか、とも考えているのである。


一応『野生動物保護区』として指定して、血吸カワセミと言った希少な鳥獣や小動物も放し飼いにしておくが……この領域には、むしろ積極的にファンガル種を配置していって、大自然と我がエイリアン種の感動的な調和も実現させていきたいところである。


その意味では、地上部も俺の迷宮の防衛機構に組み込むための試み、という位置づけか。まぁ、現時点ではまだ『野生動物保護区』としてのみ活用しているだけで、ろくに開発もスタートさせてはいないんだがな。


さて、次は地下部についてだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ