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脳髄-0001 我らぷるきゅぴ四天王

きゅぴ。

僕の名前はウーヌス。

創造主オーマ様の第一の頭脳にして、同じ頭脳仲間のみんなの中でいちばん凛々しい迷宮(ダンジョン)の賢者きゅぴ!

何を隠そう――僕達がいなければ、創造主様は水をかけられた餡パンみたいに、えんざん能力が大幅に減っちゃうんだきゅぴぃ。


『チーフぅ~、餡パンってなぁに?』


『な~に~』


きゅ!

この間延びしたちょっとおバカなしゃべり方は、食いしん坊さんのイェーデンだね?

いつも食べ物の話になると、真っ先に僕のあたまの中をのぞこうとしてくる、困ったさん。欲望を自制できる僕のこと、もっと見習ってほしいね!

そして相槌を打ったのが、のんびり屋のウーノきゅぴ。普段は自分から楽しいおしゃべり(きゅぴきゅぴ会議)を始めてくれないのに、誰かにくっついて二番目に話すのだけは、上手なんだから!


『きゅぴ。みんなで創造主様の「食べ物」記憶をのぞいてみて。すごいよ、なんと穀物を砕いた粉に、変な色の木の実を砕いてこねた粒粒を入れて、ぷうううって膨らませた食べ物なんだよ!』


創造主様が【人界】へ言ってしまったおかげで、はっきり言うと毎日の「心話」がすっごくハードになったきゅぴ。具体的に言うと、こうりつが100分の1ぐらいで、大事な情報を全然伝えられなくて、うまく情報を絞って伝えないと僕達がヘトヘトのヘッロヘロになってしまう。

……でも、思わぬ「役得」がゲットできたんだきゅぴ。

以前は「記憶のすり替え」によって創造主様の"昔"の記憶領域が、全然入り込めなくされちゃったんだけど! 【人界】に行っている間は、元から「心話」の効率が悪くなってるせいもあって、みんなの力を合わせて少しずつこっそり"読書"するぐらいなら、全然バレないんだきゅぴ!


『すごいね! 食べ物なのに、バッチイさんと闘う怪力で心優しい戦士だなんて、アルファさんもびっくりしちゃう!?』


このいつも大げさで喋るたびに「!」をつけないではいられないのは、元気屋さんのアン。

みんなのムードメーカーなところがあって、ウーノとは逆に、おしゃべりタイムはアンの思いつきで盛り上がることも多いきゅぴ。おかげでチーフの僕は楽ができる……いいぞ、もっとやれきゅぴ!


『うう、イェーデンじゃないけど僕もお腹すいてきちゃったよ? ひさしぶりに「魔素」じゃなくって「体」で甘々を味わおうよぅ?』


アンとは逆に、喋るたびに「?」がいつもつく心配屋さんはアインス。

でもとっても慎重屋さんでもあって、創造主様に「お仕置き」される前に、僕達を注意して助けてくれる確率が一番高い、頼りになるヤツきゅぴ……うぅ、僕のチーフの座は渡さないからね? 下克上なんてダメったらダメだからね?


『あはは、チーフはほんとみんなの影響受けやすいきゅぴねぇ!』


きゅぴ! 「そういうの」は面倒くさくなるから止めてって言わなかったかきゅぴ?

全くもう……この茶化してきたは悪戯っ子のモノだね! いつもいつも僕をダシにみんなの話題をかっさらうなんて、油断も隙もあったもんじゃない。

でも、すっごく頭が良くて、楽をしたい時はモノになんでもお願いしているのは創造主様には秘密きゅぴ。創造主様への「ごほうこく」は僕が代表してやってるけれど、小難しい計算とか「統計」とかすっごく面倒くさいのは、全部モノにやってもらってるんだよ。だからモノのことは僕大好き!


『あはは、照れるじゃないかきゅぴぃ』


『あー、またいちゃいちゃしてるぅ~』


『創造主様がいないからって、みんなきゅぴきゅぴしすぎだきゅぴ!』


『……そう言えば今日の「創造主様当番」って誰だった?』


きゅぴ。

心配屋さんのアインスがまたいつもの台詞を!

よし来た、ここは頼れるチーフが!


『確かチーフの部下達じゃなかったかな、ドゥオ達――ん? チーフ! こんなところで油売ってていいきゅぴ!?』


ふっふーん。

おやくそく通り僕の出番を奪いつつ、話題を変えたつもりかもしれないけれど、甘いきゅぴねぇ、モノ君。そのお考えはお腹と背中がくっつくぐらいお見通しだよ!

こんなこともあろうかと、僕の「当番」じゃない昨日のうちに、寄生小虫(パラサイト)ちゃん達には先回りで指示を出していたのだきゅぴぃ! おかげで、【人界】で創造主様のお相手はドゥオ達に押し付け……任せておいて、僕はこうして大事な会議(おしゃべり)を大好きなみんなと楽しむことができるきゅぴ。


『ウーヌス、怠けすぎるといつか創造主様からチーフ交代させられちゃう?』


『ちゃうきゅぴぃ?』


きゅぴ。

アインスはそんなこと言ってるけど、賢くて凛々しい僕の「しょせいじゅつ」ってやつだね。

それに、今の創造主様にとって優先順位が高い仕事は、キチンと把握しているので無問題きゅぴよ。「人間」さんを動かすのはまだまだパラサイトちゃん達には難しいんだけど! リスさんとか小鳥さんみたいな小動物は、数も多いしおびき寄せてちょっと「協力」してもらうのも楽だし。

こうやってぇ、しっかりと"森"の地図作成は順調なんだよ!


『【因子】になりそうな生き物も、忘れちゃダメだよ。集めて走狗蟲(ランナー)さん達に、しっかりと味わってもらわないと……じゅるきゅぴり』


まーたイェーデンが走狗蟲(ランナー)さん達の舌に"同調"して美味しい想いをしようとしているね!?


(いや待て。その擬音はさすがに無理があるだろ)


!!


ぎゅぇえ、創造主様!?


……と思ったけど。

まーたアンの"一発芸"みたいきゅぴ。


『あ! まーた速攻でバラさないでよチーフ! これで"新人"ちゃん達を驚かすのが、最近のナウい流行の遊びなのにぃ!』


『ナウいねぇ~あはは』


マジで創造主様にバレたら、こっぴどく怒られそうだから、早く飽きてくれないきゅぴかな、それはちょっと……うぅ、最初に思いついたの僕なのに、なんでアンが一番上手なのか謎で仕方がない! みんな、能力も同じぐらいのはずの仲良し副脳蟲(ブレイン)四天王なのになぁ。


え? 六人もいるじゃないかってきゅぴ?

知らないきゅぴ。世の中には「五人揃って四天王さん」もいるんだから、きっと四天王さんって役職はローテーション制じゃないかきゅぴ。

それに僕らは、創造主様曰く! 「六体で一人前」なんだから、東西南北が合わさって一つの世界なのと同じで、一心同体の僕らは四天王なんだよ、きっと。以上、三段論法できゅぴ.E.D!


『ん? ねーねーチーフぅ。ドゥオから創造主様の新しい"指令"が来てるから、先に読んでおいちゃった!』


『どんな内容なの~モノ~』


『ふむふむ、ふんふん。すっげぇきゅぴ! 新しい迷宮(ダンジョン)見つけたから、パラサイトちゃん達を送り込めだって!』


まーたモノの悪い癖が出たきゅぴねぇ。

まぁ、僕らは一心同体だからその気になればお互いの考えてることを共有するのは簡単だから……えっと、つまりこれは今日の「当番」である僕のなまけを補ってくれたナイスフォロー? ありがとう、モノ!


『ふんふん……えぇ!! 「人間」さんになんとかしてパラサイトちゃん達を入れられないか、だって! 難しいよう~』


『うーん。僕達がいっしょうけんめい頭をひねったけど、まだまだ創造主様の閃きには及ばないんだよねぇ? うーん、むむむ?』


きゅっふっふ……みんな、僕に良い考えがあるきゅぴ。

餅は餅屋、こんな時は『チーフ~、餅ってなぁに? 食べ物!?』ええい、割り込むなイェーデン! 砂糖に溺れて口を塞ぐきゅぴ!

創造主様にあって僕達には足りない「閃き」をどうすれば良いか、そんな答えは簡単なんだきゅぴ。


『お、珍しくチーフがチーフしている』


『頼りになるぅ~それでそれで~』


創造主様と僕らの違いは簡単なんだよね!

創造主様は「人間」さん……"元"がつくけれど、基本的な発想は「魔人」さんに染まりつつあるけれど、やっぱり「人間」さんで、僕たちはただのぷるぷる副脳。

ならば、同じ「人間」さんにアイディアを求めればいいということなのだきゅぴ!

というわけで、頼みます、ミシェール先生!


『――はいはい、あらあら……今日も楽しそうで元気いっぱいね、脳みそちゃん達』


これが僕達の力の源ッ。

エイリアンネットワークで、創造主様の「眷属」も「配下」もみーんな仲良くおしゃべり(きゅぴきゅぴ)できちゃうんだよ? くっくっく、三人寄ればもんじゃの知恵のところ、僕達は僕達だけでも四天王並にすごい上に、"似たような"能力を持った知恵者のミシェールお姉さんを加えれば千人力なのだきゅぴ!


『そうね……あなた達は、お互いに通じる「精神同調」みたいな方法で、会話しているんだよね? ということは、寄生小虫(パラサイト)達も同じ。でも、そのパラサイト達は、寄生した生物の感覚とか機能を利用しないと上手には働けない――』


おお!

さすが生き字引と密かに謳われるルクお兄さんの妹さん! なんだかアイディアが閃くような、閃かないような、このもぞもぞした感じが心地よいきゅぴ。


『同じ「人間」でも私達みたいにオーマ様の"配下"じゃないなら、【心話】が通じないってことは、単に寄生されただけの「人間」は――その"精神"が邪魔になって、あなた達との交信が上手くいかないかもしれない。それなら、簡単なこと。壊しちゃおう』


『きゅぴ! それだぁ!』×6


大・解・決!

これで創造主様に褒められるね! わーい、わーい!


『……ルク兄様も多分同じこと思いついていると思うから、大丈夫だと思うよ?』


きゅぴ。

なんだ、残念。せっかく創造主様に「心話(おしゃべり)」する口実さんが……げふきゅんげふきゅぴん。


でも大丈夫、落ち込む必要は無いのだ、四天王諸君。

創造主様に任されたお留守番だけど、僕達にはやらないといけないお仕事が、たくさんあるから、褒められるチャンスはむじんぞう。

……ところでモノ、何があったかこっそり教えてきゅぴ。

のぞくとのぞかれるから、チーフの沽券のためにここは一つこっそりと。


『え~、仕方ないなぁ、チーフったら。今のところ取り組むべきは、そうだね、こんなところかなきゅぴ』


その1。

こうりつ的な同胞(エイリアン)さん達の段位上昇(レベルアップ)方法の確立!

もう創造主様が何度も条件を変えて実験しているところなんだけれど、【揺籃臓】とか【培養臓】で強制的に成長させたゴブリンだと、ぶっ殺させても全然レベルアップ――そうそう、みんな分かってると思うけれど、レベルアップとか経験点とか技能点とかの"がいねん"は、まだまだミシェールさん達にも秘密だからね! ちゃんとネットワークから切り離しておいてね、アインス!


『大丈夫だよ?』


きゅぴ。

話を戻すと、そうやった「そくせいさいばい」ゴブリンだと、ろくな経験点が得られないせいで、創造主様の強兵計画さんは修正を余儀なくされているのだきゅぴ。

これを解決するか、突破口を"閃き"できれば、功一等は間違いないぜきゅぴぐへへへ。殿、きゅぴはおーみ一体に所領さんを構えるのが夢なんですきゅぴい、なんつって。


『もはや創造主様のどの知識をネタにしてるか訳がわからないよ? チーフ……』


その2。

これは難易度が高いんだけれど、ヒュドラさんをなんとか突破する方法を考えることが必要なんだよね。

【人界】の「創造主様当番」とおんなじように、迷宮管理の一環として「ヒュドラさん当番」を僕達の中で決めているんだけど、なかなか海の探索が進まなくって難航しているんだよね。

あのドラゴンさん強すぎきゅぴ……しばらくは、コストの少ない潜水蟲(スイマー)さん達で、最果て島周辺の整地だとか落ち物拾いで【因子】ゲットワンチャンをコツコツ狙うしかないのかなぁ。


……そういえば、最近グウィースちゃんが海岸の方によく遊びに行ってるから、何か気づいたことが無いか、ちょっと意見聞いてみようかな。


その3。

創造主様きもいりの「空飛ぶお船お城さん!」のかいはつも大切なお仕事だきゅぴ。

今は兵力さんもそこそこの数が確保できてるんだけど、おかげで島が完全に手狭になっちゃったから、せっかくの生産力もちょっと持て余し気味なのがもったいないんだきゅぴ。【人界】へ送り込むのは創造主様からきつぅく制限されてるから、ひたすら魔石と命石を蓄える作業にしつつ、奴隷蟲(スレイブ)ちゃんと鉱夫蟲(マイナー)ちゃん達を増やして地下深くまで掘ってるんだきゅぴ。

創造主様いわく「まぐま」を見つけろって話なんだけど……ちょっとワクワクしちゃうな。


きゅぴ。

以上が議題きゅぴ!

それじゃあ、ウォーミングアップも済んだことだし、今日の真面目な会議(きゅぴきゅぴ会議)を始めるよ!


『おー』


『おー!』


『おー?』


『きゅぴぃ』


『きゅ~』


   ***


自称『迷宮の頭脳』達が甘いもの談義(きゅぴきゅぴ会議)に夢中になっている頃。


幼き新種の祖、魔人樹グウィースは洞窟内の『水路』を移動していた。


エイリアンだろうが何だろうが、生物を問わず「乗りこなす」ことに好奇心を覚えていた幼樹であったが――。

【エイリアン使い】オーマが【人界】でこつこつと活動を重ねていた裏で、ウーヌス達の指揮によって水棲エイリアン達による『海域探索』が繰り返し試行されており……グウィースが根枝をがっちり絡みつかせ、うたた寝をする寝床にしている"騎獣"こそは、ちょうどその「第7次決死隊(・・・)」に合流しようとしている【水流カメ(ジェットータス)】の内の一体なのであった。


ウーヌスらがきゅぴきゅぴ会議に夢中であり、またグウィースが正式な配下としては【報いを揺籃する異星窟】に属しておらず、エイリアンネットワークから微妙に漏れていたこともあり――副脳蟲達が事態に気づいたのは、事が全て終わった後の話となるのであった。

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