本編-0083 微笑みと屍の検問所②
詳細まではわからないが、きっとあのエボートという男は前々から目をつけられていたんじゃないだろうか。だが、それを逆に利用して、自分自身は死ぬつもりで"陽動"役を引き受け、決死の覚悟で検問所全体を引きつけようとしていたんだろう。
その隙に、協力者であったろう少年ジャニアンが、検問所も関所の門もすり抜けるという手筈……と。
だが、探知魔法なんかが発達した「この世界」だ。
なるほど、見た目は中世じみた文化と世界レベルに思えるかもしれないが――ともすると"技術"というか、機能面においては「前の世界」を上回ることもあるだろうよ。喩えるならば、目には見えない「金属探知機」「手荷物検査機」の上位互換が門に取り付けられているようなもんだ。
だから……この程度の"仕掛け"だけで突破できる、だなんてさすがにあの二人も思ってたわけがない。でなきゃ、仲良く並んで吊られている他の「腐りかけ」どもは無駄死にだったことになってしまう。
つまり、ジャニアンが確実に検問所を突破できるように、例えば【探知】への妨害工作を行ったり、せめて情報だけでも受け取ろうとした「仲間」の存在を疑うべきだろう。
――いたじゃないか。
"騒ぎ"を起こして衛兵達の注意を引いていた「関所外」の『陽動役』達が。武装商人達に列から叩き出されていた旅人風の3人組というわけだ。
……ソルファイドの【心眼】は、この意味で非常に便利であるよ。
人の波でさえ"群体"として把握できているようで――何が言いたいかというと、お見通しのようだった。先ほどから何度も検問待ちの列を抜けたり戻ったり、まるで何かのタイミングを計っていたような一団の存在が、な。
ジャニアンが捕らえられた辺りで足早に去っていったことから、こいつらが本当の"待ち合わせ"相手であったと思われる。短時間ゆえ【情報閲覧】で有意な情報は得られなかったが――状況から見て十中八九『森の兄弟団』かその協力者の可能性が高かろう。
あえてエボートとジャニアンを救おうとはしなかったところを見るに、"命の価値"は少なくともエボート氏とジャニアン少年よりはずっと高いものなんだろうかね。
ならば、内部の何らかの情報を彼らに渡すのがジャニアンの目的だったのかもしれない。
これか。
これが『関所街ナーレフ』というわけか。
代官ハイドリィの足元での"蠢動"は、こういう意味か。さて、この展開をどう利用してつけ込んだものか――。
そう思っていると、観衆の中で声を枯らして叫ぶ少年の姿がふと目に止まった。
「ジャニアンの馬鹿野郎! なんで……こんなヤバいことに手を出したんだ! お前の弟、妹達を誰が食わせてくってんだよ、畜生……!」
年の頃は――ジャニアンという名前の小盗賊少年と同世代か、家族の事情まで知っているということは、単なる顔見知りよりはもっと親しい間柄といったところか。
材木工のエボートの木こり仲間達に連れられ、それ以上衛兵達に目をつけられないうちに、連れて行かれる少年を横目に、俺は次の展開を待つ。
既に、ルクに命じて、すこーしだけ「列の順番」を入れ替えたところだ。
紳士協定? いやいや、俺達は最初から次に並んでいたとも、なぁそう思うよなぁ、俺達の後に並んでいた商隊さん。
「検問を再開する。次の者達、入れ!」
さて、それじゃ行きますかね。
***
"微笑みのお代官様"などという呼ばれ方をされるハイドリィであるが、決して民衆から敬愛されてつけられた仇名ではないことは、自覚している。むしろその逆であり、彼の統治の苛烈さ残虐さを引き立てるかのように"微笑み"という言葉が使われているのであった。
すなわち「拷問の様子を微笑みながら見守る」だとか、「老若男女が平等に泣き叫ぶ様を見ると思わず微笑む」だとかいった類の悪罵雑言である。
無論、下々の言葉狩りまでしていたら、いくらなんでもキリが無く、人手も足りなくなってしまうため、そういった愚民達には……適当な"見せしめ"に少々怪我をしてもらう程度で済ませる、という寛大な対応をしているが。
その代わり、『森の兄弟団』に協力する者には絶対に容赦しない。
己が成り上がるために、大切に育ててきた「踏み台」であるが故に、その収穫は徹底的に行う必要があるという意味において。
――実際、"微笑む"というのは、ハイドリィが身につけた処世術のようなものである。
彼自身はその仇名の、本質的なところまで含めて気に入ってはいた。
すなわち――武器であると同時に盾でもある、という意味において。
他家や他国の間諜だけでなく、一般の市井の民達をも相手とするならば、表の権力の世界でも生きようとするならば、微笑むというのは己の底を悟らせないための最大の盾となる。また、下手に凄んで見せるよりも、裏の裏まで知り通した上で「微笑む」ことは、時に脅しとしても有効であった。
所詮は足を引っ張り合う人の世なればこそ、どれだけ窮地に追い込まれても、それがハッタリであっても「余裕」を見せることが、相手の油断や焦りを誘うことをハイドリィは学んでいる。それがつけ込む隙となり、勝利を大勝利に変えることもあれば、敗北を引き分けに変え、時に逆転の目を残す布石をも招き得る。
単に"闇"にのみ生きるのでなく、表の世界での栄光も求める野心溢れる若きハイドリィは、己の器が単なる【魔導侯】家の"懐刀"である以上のものであると確信していた。
そんな彼にとっては、愚直ひたすらに【紋章】家の裏方に徹してきたロンドール家の、ドブネズミのような生き方は憎悪の対象ですらあった。成功しているかどうかはともかく、他の【魔導侯】家の"走狗"達は、闇に生きつつも表の権力に根を伸ばすなどいざという時のための布石を打っている。
それを自ら放棄していることの愚かしさよ――故に、ハイドリィは当主たる父の病臥と【紋章】家の後継ぎ問題のどさくさに紛れて、掟破りにも関所街ナーレフという要衝の代官選定に名乗りを上げたのであった。今から5年ほど前のことである。
……そんな彼だからこそ、今目の前で口の端を歪める男の不敵な"笑み"に、己のものと同種の"余裕"を感じ取る。
(露骨だ、あんまりにも露骨すぎて、逆に問いただしにくいな)
次の検問相手達に、ハイドリィはわずかに気を張っていた。
というのも「中から外へ」が『兄弟団』の本命でないならば――今しがた行われた"寸劇"でさえも陽動として、その混乱の余韻の残る間を狙った「外から中へ」の検問者達が、最も臭い。
とはいえ、「彼ら」はハイドリィの想像の斜め上、別の意味であまりにも臭すぎる面々であった。
金属槍を背負った、不敵な笑みを浮かべる若い旅人風の男は、ところどころで扱うオルゼンシア語には"硬い"表現や慣用句が混じる。お前は王都の古語学者か、とでも言いたくなるような表現をわざと散りばめたような物言いを流暢に操る男――オーマも大概だが、彼の従者もまた曲者ぞろいである。
この近辺では非常に珍しい竜人……だが、彼は眼帯で両目を覆っている。
趣味の悪い仮面で顔を隠していながら、ただならぬ敵意を隠しきれない眼差しを時折投げかけてくる、貴族然とした青年。
主人と同じような言葉遣いをする、やけに分厚い外套と上着を羽織った、少々不均衡な体躯をした美丈夫は、こちらをまるで肉屋の品物でも見るような目で内心の見下しを一切隠さず。
おまけで、とてもその身の丈に似合わない巨大な斧を背負った女戦士ときた。
確かに、先日に王都の【魔導会議】より全土へ布告された「迷宮開放令」によって、関所街ナーレフを越える者達の種類が増えたが――ここまで訳有りそうな連中が堂々と検問の場に姿を晒してくるとは、逆に何かの陽動かと疑いたくなる。
無論、そうでなくとも監視はつける腹づもりではあるが、念のための確認は必要だ。
「ようこそ、麗しき【輝水晶王国】の玄関が一つ、霧と深緑の都ナーレフへ。諸君は異国の出身かな? この街を訪れた理由を聞いても?」
「えぇ、私達は旅の途中で意気投合した者達でして、皆出身は異なります。ですが、共通点がありまして――それは皆"迷宮への挑戦"に魅せられた者達だということ」
「なるほど、なるほど。では我が国へは、王都からの布告を聞いて、というところですかね……見たところ実力のありそうな皆さんだ。これまでの"挑戦歴"を簡単にお聞きしても?」
このやり取りに大した意味は無い。
不敵な笑みの男に時折り補足するように仮面の青年が言葉を挟み、説明を代わることがあるため、彼が"知恵袋役"なのだろう、という当たりをつけることができる程度。
ただ、念のためにハイドリィは一つ聞いている。
「そうそう、ところで――"泉の貴婦人"には嘲笑こそが相応しいとは思いませんか?」
『森の兄弟団』達の精神的象徴にして、かつての亡国【ワルセィレ森泉国】においても特殊な役割を果たしていた存在に関する言及である。少なくとも『森の兄弟団』という立場で"何か"やらかそうというのならば、反応があってもおかしくはないと、部下達に念のための目配せをする。
「なんだ、そりゃ? あんたの情婦か何かか?」
……こちらを挑発しているのかと思うぐらい古語表現を連発していたのも、仮面の男が何やら耳打ちした直後に改めている。だが、丁寧な言葉遣いも同時にやめており、単に挑発のやり方を変えた程度のことだろう。
それをスルーすれば、男の反応は"白"である。
――だが、それはあくまで『森の兄弟団』との関係性という意味においてであり――他家他国等に属する"工作員"的な意味で言えば、依然オーマの存在は「真っ黒」であった。腹にあるのは一物二物だけではないのだろう。
この自分が統治する街で、何をやらかそうというのか、せいぜい泳いでみるが良いという心持ちで問答を続ける。
なにせ「腹に一物ある」程度の者達なんぞは、掃いて捨てるほど関所街ナーレフを通り過ぎていった。
居着いてハイドリィ子飼いの『鼠捕り隊』と微妙な距離感を保つ者もいないではないが、オーマと彼の従者達は、歴代でもトップクラスにうさんくさい。この露骨さは、まるで最初からむしろ「注目」されることを望んでいるようでもある。
(さすがにそこまでは考えすぎかな? ……だが、念頭に置いておいて損は無い、か)
時間が許すならば、この薄氷を踏むことを互いに避け合うような、神経戦にも近い盤上遊戯のような会話をもう少し楽しみたかったというのがハイドリィの本音ではある。
とはいえ、個人的な興味はさておき。
まだまだ、検問待ちの者達が列をなしていた。いつものことではあるが、エボートとジャニアンの如き"騒動"が発生した後は、彼自身いつも以上に慎重になるため、検問もまた滞りがちである。
だが――迷宮挑戦者達はともかく、「商人」達をあまり待たせすぎると、後々非常に始末の悪いことになるため、ハイドリィは一行を解放し、一時通行証の発行を許可することとする。
(「そう来るか」という顔をしているのは、わざとなのかそうでないのか……まぁ、監視の目はつけておかなければ)
住人に対しては、移動と居住の制限という抑圧で臨むことで『森の兄弟団』を締め上げる一方、国境の移動者や、特に商人集団を徹底的に優遇することで、ナーレフの繁栄は成り立っている。
最近はそこに迷宮挑戦を目的としたような旅人、傭兵、食い詰め者、『次兄国』の血の気の多い船乗り達などが増えてきているが――彼らは彼らで貴重な"情報"の運び手であると同時に、交通の要衝でもあるナーレフの宿場産業や、様々な品物を取り扱う各商会に大金を落としていく太客でもある。
住民に対する苛烈な抑圧とは一転変わって、基本的にこうした「外」の者達を優遇するという姿勢をハイドリィはわきまえており、市井の平民や貧民達からはいざ知らず、商人や旅人達などからの評価は決して悪いものではないのであった。
だから、基本的に他家他国の工作員については、それが『兄弟団』と関係しない別口である限りにおいてはまず泳がせるのである。
そして主家とロンドール家と、ハイドリィの個人的権益を侵さない限りは、近すぎず遠すぎず。
時に"情報"を売り買いする程度の関係を保つに留める。それはロンドール家の基本的なやり方と合致するものである。
野心に基づいた大胆の行動とは裏腹に、そうした"定石"を守る姿勢もまた、彼が次期当主として早々に有力な部下達の支持を取り付けていく上で役に立った処世術である。
「あの小僧、魔法戦士として油断なりません。下手な【探知】魔法では妨害されたり対抗されたりしそうですが」
「なら非魔法的な手段を使うまでだ。それが一番有効だろう? 手配しておけ、サーグトル」
ハイドリィに耳打ちしたのは側近である"痩身"のサーグトル。
顔色が悪く不健康な研究者然とした魔法使いである。廓狂いが激しいことが玉に瑕であるが、優秀な【風】魔法使いである。
次に、衛兵達が道を開け――守備隊の間をかき分けて、二人目の側近である"巨漢"が現れた。
「おいッッ、代官ッ。竜人がとうとうこの街に現れたという話はッッ本当かッッ!?」
サーグトルと対比される形で人々からは"巨漢"と呼ばれる男デウマリッド。
声を発する度に「ッ」の字がつく、わかりやすい戦闘狂である。一応はナーレフの守備隊長だが――守るよりは攻めることが得意であり、好きであるのは誰の目にも明らかである筋肉ダルマである。
「戦わせろッッ」
「……その時が来たら、だぞ? あと部下達への『可愛がり』もほどほどにしておいてくれ」
それから、複数の役人や子飼いの商会の事務員などが検問所にそのまま、重要度の高い案件や急ぎの報告などを立て続けに伝えに来る。それらを捌き、その場で大胆に優先順位を変更しながらも、ハイドリィは「検問」の手を緩めることはなかった。
さて、オーマ達は何を企んでいるのやら。
確かに興味深くはあるが――それだけだ。
彼らの「目的」がナーレフ外にあり、このまま王国内のどこかへ去るならば、それも良し。
もしナーレフへ留まるつもりならば、監視をつけておけば、いずれ接触の機会はあるだろう。別に、今焦って何かをする必要は全く無いのである。
「良し、次の者達を通せ――あぁ、これはこれは! ブリーディン商会の方々でしたか! お待たせして申し訳ない……おや、ところでそこの荷物持ちの若者は新顔ですか? ――へぇ、それはそれは」
こうしてハイドリィとオーマの最初の邂逅は、互いに薄氷を踏むことを避け合った結果、傍目には非常に無難で味気ない地味なやり取りに映るものとなった。
観衆の多くもまた、その直前に行われた"処刑"の衝撃が冷めやらず、二人の神経戦よりは、吊るされたばかりの無念の遺体に目を向けているのであった。
***
「見逃してくれて重畳、ってところか?」
「……しっかりと"監視役"はついているようだがな、主殿」
「目障りですな、始末しますか?」
「――いや、今はあえて見せ付けておけ。当面は奴に敵対する気も無い。むしろ"宣伝役"も兼ねてもらおう」
思った通り、ハイドリィにとって俺達は「興味はそそる」が、やはり最優先の対応課題からすると捨て置いても良い存在、という具合に印象づけられたようだ。
ソルファイドが気づいたような"監視"が速攻でついたのも想定の範囲内だが――接触をしてくるのは、俺達が何をするのかを見極めてから判断するといったところかもしれない。「目的」が分からなければ、敵対的な行動も友好的な行動も、あるいは中立的な無視も、どれにするか選べないからだ。
……そして、ハイドリィは野心家。
どんな些細なことでも主家へ報告して判断を仰ぐような、忠誠者でも無能者でもない。有能な面従腹背者なのだ、俺達との距離感の取り方を測っているうちは、ギリギリまでそうすることはないだろうよ。
そして、利益が互いに食い合わないと判断した上で、利用価値があると判断したならば……そのうちに向こうから何かしらアクションがあるだろう。そしてそれは、俺だって同じ考えだ。
まだまだ予想の域でしかないハイドリィの「目的」ってやつを、それを実現するために『森の兄弟団』をどんな風に踊らせようとしているのか、これも情報収集しておく必要はあるかな。
「さて、と。それじゃあ、事前の打ち合わせ通りに"手分け"するとしようかね」
◆「裏」の情報収集
担当:ルク&ル・ベリ
早速だが、ルクには彼の"得意分野"での活動を開始してもらう。
結局、復讐対象たる【魔導侯】達に至る"階段"をこの街で建てようとした場合、ハイドリィなりその他この街に根を張る様々な勢力に関する情報が不可欠だ。
金と利権が集まるナーレフは、迷宮の開放という大きな政策転換を受けて、今後ますます発展の余地が拡大していく。その分だけ、合法組織も非合法組織も手を伸ばしてきており、勢力争いなんかをしていることもあるだろう。
結局そうした「この街の勢力図」は、俺にとっても有用かつ早急に手に入れたい情報なのである。
それと、荒事になる可能性も見越して、人間の面倒臭さをもっともーっと知ってもらうために、ル・ベリを随伴させることとする。
「――お任せを。必ずや、我が一族の復仇と、オーマ様の野心に貢献する情報を集めてまいります」
「トカゲ、御方様の命とあらば護衛役は一時お前に預けざるをえんな……しくじったら縊り殺してくれる」
「――主殿の趣向だ。よく学ぶのだな……"人間"達の真の恐ろしさを」
◆「表」の情報収集
担当:俺、ソルファイド&アシェイリ
やることは色々あるっちゃあるが……とりあえずはこの手の栄えている街には必ずあるはずの"大市"を巡りたい。ザッと全体像を把握し、可能であれば【魔界】から持ち込んだ珍しい品物を金に変えるなどしておきたいかな。
そしたら、その金を握って飯屋と酒場を夜までハシゴしての、情報収集に努める、と……他に何かもっと良い"人と情報の集まる"場所があるなら、そこも活用するまでだが。
当然、【情報閲覧】も多用する予定――アシェイリの幼馴染も、運が良ければ見つけられるだろうよ。まぁ、マジモンの工作員として養成されているわけだから、そう簡単にはいかないかもしれないがな。
――よそ者が、いきなり街の盛り場なんかで、そうも容易く受け入れられるのかって? そうだな、とりあえずは【高速思考】や【並行思考】をフル回転しつつ、場合によっては『エイリアンネットワーク』経由でルクにも助言を求めつつ、その場その場でベターな対応を重ねれば、コミュ力は補えるだろうよ。【情報閲覧】で、先に相手の素性を大まかに見抜いてしまえるってのも大きい。
それに、田舎者とはいえ、ソルファイドとアシェイリとて「この世界の存在」である以上は、常識知らずレベルでは俺よりもマシ……かな? なんか急に不安だが。
……そしてダメ押しも考えている。
こういう時、セオリーとしては困ってる街の人を助けてやって、そいつの周囲のコミュニティの信頼を得るってのがあるよなぁ?
一見さんお断り――と本質は同じ思想だが、つまり「あの人の紹介なら間違いない」という心理につけ込む技術だ。
「オーマ様。まさかとは思いますが、武闘派を二人とも連れて行くのは……」
はっはっは。
友を失い、しかもその友が養っていたらしい弟や妹の今後を気にかけることのできる、筋の通ったガキだ。彼を、漢にしてやろうってのよ。
――別に、俺のせいでジャニアン少年が死んだことを埋め合わせようというわけでもない。取っ掛かりとして都合が良いと感じたからだが……結果的にそうなるんなら、それはそれで俺も悪い気分にはならないとも。
「さぁ、方針は決まったぞ、征こうか、我が愉快なる紳士淑女諸君よ!」




