表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

よるがけ。

作者: 悪之文学

 僕は時々想う。

 死んだらどうなるかとか、もし時間が戻せたらとか、とか、とか、とか…。



そんなの妄想。



でも、僕は動ける。行動できる。



そうだ!何か、行動しよう!いや、行動を起こすんだっ!



今を変えなきゃ、未来なんて変わらない。寧ろ未来が僕を待っていたって過言ではない!


そして、新しい自分と未来へ。




って…




さっきまで握っていた安いサバイバルナイフは一匹の犬の腹部に刺さっていた。



『あーぁ、またやっちゃった』




降りしきる雨の音



湿って重い空気



呼吸は穏やかで、何も感じない。髪の毛から滴る水滴が、犬の鼻先を一層湿らせる。



見慣れてしまった、赤。



未来も希望もこの刃物に乗せてどこまでも…



…っと

僕は、もぅ動かない犬からサバイバルナイフを引き抜いた。



温かい。血の匂い。


生きてた、さっきまで、遠退く、命。




わかってる。わかっているんだ、僕だって…



無意味な事だって。


でも知りたいんだ、命の儚さを。美しさを、屍から感じる無灯火な淡い何かを…


『ありがとう』





昔の夏休みにみんなで公園で遊んでた。


みんな照りつけてる太陽の下で走ってた。


僕は木陰が好きだった。そして、ハサミも好きだった。

お母さんに、色画用紙をもらっていっぱい切った事も覚えてるし、お母さんにお花をあげる為にハサミで切っては摘んで持っていった事だって覚えてる。



お母さんは笑ってた。



それでハサミは持ってたんだけど…それ以前に交ざれずにつまらないという不満が増えたんだと思う。




カマキリの首を切り落とし、バッタの足を切り千切り、蝉の胴体を真っ二つにした。




あの夏が懐かしい。



屍となった『モノ』。





未来…、将来…、希望…。


所詮は大きな箱で、その中に担ったものなんて入っていく訳でも、たかが入れようとなんてしない。




だからか…




僕は違う心の箱を手にしてしまったのかもしれない。そぅ今まさに、その箱にあらゆる欲を投げ入れている。





欲張りで。


メランコリックなリアル。





食べてもいいよね?


僕の一部になるから。








ありがとう、そして




『いただきます。』









なんだお前、気持ち悪っ

病気だなコイツ




違うよ……。






病気じゃないよ見ている世界が違うだけ。





END


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ