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アーカイブ  作者: 歩色
1/4

偶然な、単なるプロローグ

閲覧ありがとうございます。

気まぐれで更新いたします。

『もちろんだよ! 明後日も、その次も、その先もずっと会えるよ!

 じゃあ、また明後日ね』




「……ですか……のー……大丈夫ですか? 風邪ひきますよー!」


「─?!」


 突然飛び込んだ光に思わず少年は目を細めた。と、同時に自分がそれまで眠っていたことを知る。


「おー起きた、良かった良かった」


 少年の横には中腰の少女。肩には茶色く細長い小動物が乗っている。

 焦点の定まらないまま、少年は少女に聞いた。


「……ここは…?」

「ここ? アシュートリア街とセトリノ村の間かなー。もうちょっと行ったらセトリノ」

「…そうなんだ…」


 少年にとっては知らない場所だった。




 それはもう理想的な、明るい緑一色の草原。そこに通る一本の道。道から少し外れた小高い丘に立つ一本の大きな木。

 今日は気持ち悪い程気持ちいい快晴で、絵に描いたようなこの場所はまさにピクニックにぴったりだろう。


 そんな木のふもと、まるで死んだように一人の少年が寝ていたら、誰でも気にはなるものだ。


「君は?」

「あたし? いやぁたまたま通りかかっただけなんだけどね、きみがこんなところで寝てるからさーつい気になって声かけちゃった」

「………」

「ね、きみはなんでここにいるの?」

「なんでって…」

「だってここ、普段は人こないよ? ピクニックには最適だけど見たところきみは手ぶら。つまり客観的にみて目的が分からない」

「えっと……」


 しばしの沈黙。

 少年は黙りこんだあと徐にわからない、と呟いた。


「えっ?」

「…分からない。僕がなんでここにいるのか。というか、ここに見覚えがない」


 予想外の返答に、少女は思わず絶句する。


「家は?」

「…………」

「分から…ない?」

「過去の記憶が、こう、もやもやして、…うっ」


 突然少年に頭痛が走る。


「ああ無理しないで!」

「だ、大丈夫…ごめん」

「うーん、状況から判断するに、きみは記憶喪失だね…」

「そう、なの、かな?」


 頭をおさえ目を泳がせる少年を見ながら、少女は考える。


「……………事件の匂いがする……………」

「? 今なんて」

「よし! じゃああたしがきみの記憶を取り戻す手伝いをしてあげるよ!」

「えっ?! い、いいよ! なんで」

「いやいやこれから何すれば分からないでしょ? あたし一応放浪の身で、暇だし助けてあげる!」

「ひまっ、え?」


 少女は張り切り、少年の手を引っ張り立たせた。


「こう見えてもあたし情報屋なの。きっと役にたつよ!」

「えっと……」

「きみの名前は? 思い出せる?」


 握られている手と少女の顔を交互に見ながら、やがてはっとして考え込み少年は言った。


「…メノ。僕の名前はメノだ」

「そう、名前が分かって良かったよ! あたしの名前はネルティ。忘れないでね?」




 少年─メノと少女─ネルティ。

 これは、偶然出会い偶然展開される、二人の小さな物語である。

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