表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたつの世界  作者: あくた咲希
ただ、ひとりの
85/132

58

「責任は、そりゃあ誰か何処かにあるかもしれないけれど、一花がどうこうする問題ではないよ。ね」

 ヒロさんは微笑み、あたしに最後のお茶を淹れてくれた。熱いハーブティーを一緒にたしなみながら、彼女は伏し目がちに、こんなことを話してくれた。

「一年前の私だったら、今あなたとこうして落ち着いてお話していられなかったと思う。玲がいなくなってから、考えたの。いろんなことを、いっぱい……私と玲とのこと。似たような世界が二つあること。政府のこと。私が、どうするのかということ。どうしたいのかということ。何ができるのかということ。ここに道ができているのがわかったのだから、もし、こっちでやばくなったら陰の世界へ行くのも一つの手かもね。って、それはもう一人の私に迷惑かもね? ……あなたに会って、あなたとお茶して、私、あなたの力になりたいと思ったの。きっともう一人の私も、あなたのことが好きね」

 ーーヒロさんが見送ってくれたせいだろうか。道に身を投じるときに、少しも不安がなかったのは。

 陰の世界に降り立つと同時に、背中で道が閉じたのがわかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ