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「レアなケース……ですか?」
「そう。あなたは、無極の疑いがあるの」
「むきょく……ですか?」
ぽかんとしてしまったあたしに、ヒロさんは真面目な顔で頷く。
「無限の無に、陽極陰極の極ね。見たところ、陰寄りのようだから……説明するわ。知っておいて損はないでしょ」
テーブルに移動して、ヒロさんは新しいお茶をいれてくれた。チョコレートやクッキーもある。そのどれもがいい匂い。きっと手作り。
あたしがひと通りお茶を楽しむのを待ってくれているヒロさんは、やっぱり宏志さんと対になる人だなと納得させるだけの雰囲気をまとっている。斗真や由真ちゃん、玲さんは逆なケースで、悠星もおそらくはこちらだろう。もっとも、陰のほうの彼の記憶って、あまりないけれど。
無極って、もしかして、陰と陽とが合わさった状態なのかな。だとしたら、由真ちゃんや斗真も同じ。ヒロさんは、二人のことも知っているのかな……?