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あたしの迷いを知ってか知らずか、宏志さんは深く追及しようとはせず、ただ地道に様々なブレンドを試してくれているのだった。

「もうちょい冒険したかったんだがなー、さすがに女子高生がこんな匂いさせてたら引くもんな」

そういって、宏志さんが嗅がせてくれたのはなんともいえずまったりとした、イメージするならば夜の蝶、といった感じの香りだった。

「む、むせますね」

パフュームは直接斗真に使ってもらったほうが効き目があるんだろうけど、彼はこういうものにまったく興味がないので、必然的にあたしがつけることになっている。あたしだって香水とかオーデコロンとか、つい最近まで縁がなかったので、最初はかなり抵抗があった。

それに、斗真がじゅうぶんパフュームを吸い込むためには、そのぐらい接近しなくてはならないということで……。