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ある日、突然、付き合っている相手が忌むべき世界の住人になっていたら――?
彼女であっても排除する?
それとも、受け入れる……?
腕の力をゆるめた悠星から逃れ、びくびくしながら距離をとる。斗真に駆け寄りしがみつきたい思いに駆られるけれど、ぐっとこらえる。
陰の悠星とは接点がほとんどないから、こんなとき、どう出るかわからないし、不安になることはない。
でも、陽の悠星は――陽のあたしが付き合ってた彼は、超のつく短気だ。ただの一ヶ月にも満たない交際期間に、何をされたか……思い出したくも、ない。
逃げ出したかった。あたしは、悠星から逃げたかった。
「あたしは陰の世界に帰るから」
帰るのか、行くのか、どっちなんだろう。ふたつの感覚が混じり合おうとしては相反し、でも、確実に同化していく。陰と陽が一緒になる。
由真ちゃんみたいに?
斗真みたいに?
あたしも、いつか消えるなら……斗真と一緒ならと、喜んでいい?