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もう一人の自分がいる。それだけでもにわかには信じがたいのに、そのもう一人が死んでしまったかもしれない。ぴんとこなさすぎて、うまく表情が作れない。
きっと複雑な顔をしているだろう私の手をとり、斗真はやさしく力を込めた。
廃墟の町。長く滞在するのは危険な町。
早く図書館にたどりつき、陰と陽をつなぐ扉をくぐらなくては。
「行こう」
そう言って、斗真の手を握り返した時だった。
「一花? 一花か?」
声はそんなに遠くない。見回すと、崩れた建物のそばで動く人影があった。
「……一花、だよな?」
不安げな響きを帯びて話しかけてくるその影は、風が巻き起こした湿った灰に遮られ正体がわからない。けれど、かすかに私の記憶が刺激されるのを感じた。