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弾かれたように斗真が振り向いた。私が彼にぶつかって、歩みが止まる。
「ごめんなさい」
「ああ、いや。急にすまない、一花の手が一瞬、火か何かみたいに熱く感じて」
それでも手を離さないでいてくれるのは、本当に短い時間のことだったのか、それとも斗真の我慢強さか、どっちなんだろう。
「静電気でも走ったかな」
不思議そうに呟きながら、斗真はまた走りだした。
しばらくして路地が途切れ、私の背丈ほどの草が生い茂る場所がいくらか続いた。そして視界がひらけたとき、景色は薄汚れた廃墟群に変わっていた。
急に、抑えきれない衝動が込み上げてきて、私は嗚咽とともに地面にくずおれた。
「一花、どうした?」
斗真の驚く声が聞こえる。けれど、質問の答えは私の中で形にならなかった。自身、なぜこんなに泣けてしまうのか明らかではなかったのだ。
でも、由真ちゃんが目の前から消えたときの喪失感に似て、心の中に穴があいたような、そんな気持ちになっていた。