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そうしているうちに、階段のほうから急いだ足音、けれど極力ばたばた言うのを抑えた足音が聞こえてきた。男の人のシャワーって早いんだな、と思っていると、まだ上半身はだかで髪も乾かしていない状態の斗真が、
「携帯に着信があった。母親から」
焦った表情で現れた。私の腕を引いて立たせ、携帯を握らせる。
「念のため充電はしていたんだが。やっぱりこっちだとつながるみたいだ」
彼の機種は私のと同じ携帯会社で、同じメーカーだった。試しに自分の携帯から、口頭で教えてもらった斗真の番号にかけてみる。けれど、私の携帯は使えないようだった。発信音すらしない。
「俺、本体の留守電を使ってるから……今まではつながるはずなかったのがつながったから、親も気づいただろう。俺が、こっちに戻ってきてるって」
「それじゃあ、ここに帰っていらっしゃるかも……?」
「だな、ひとまずは手がかりがないからうちに帰ってくるかもな。過保護……だから、な」
苦々しい顔をしながら、斗真はクロゼットからシャツと、薄手のパーカーを取り出す。やっぱり、コーディネートに悩む素振りは見せない。兄妹とも、私と違ってセンスがいいみたい。