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斗真の家は、雨で静まり返る住宅地の一角にあった。我が家と似たような趣の、変哲ない二階建ての一軒家。
鍵を開け、中に入ると、靴箱の上に花瓶と、写真立てが飾ってあった。斗真と由真ちゃん、ご両親とおぼしき二人が写ったそれは、ずいぶん昔のもののようで、斗真が小学生か中学生ぐらいの男の子だった。小さな由真ちゃんがお兄ちゃんにぴったりと寄り添っていて、でもどこか不機嫌そうに、その視線はカメラのほうを向いていない。
「俺たちが行方不明になってから飾ったんだろうな、これ」
斗真がぽつりと言った。
「一緒に写った写真はことごとく撤去されていたからな」
誰に、とは聞かないでもわかる。
「一花、今のうちにシャワーしておいで。普段なら親が帰ってくる時間じゃないが、今どんなふうに生活してるかはわからないから」
「だ……、大丈夫かな?」
「できるだけ急いでくれ。俺も浴びたいから」
斗真はあたしを服のまま浴室に押し込むと、着替えを持ってくると言って洗面所を出ていった。階段を上がっていく音がする。