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ふたつの世界  作者: あくた咲希
ただ、ひとりの
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 やはりお姉さんの姿はなかった。大奥様について尋ねたかったのだけど……。かわりに、姿見に映した自分に問いかける。

 察するに、大奥様と呼ばれる人がここの権力者なのだろう。もしかすると無極の桐さんかもしれない、でもレアキャラに早々に会えるとも考えにくい。天狼たちのお祖母さんだろうか、そうすると二人いらっしゃる可能性もある。でも、大奥様「たち」とは言わなかった。

 和服姿の厳しい表情をした、凛とした女性をイメージして腰がひけた。あたしの祖母は二人とも早くに亡くなっていて、接した記憶すらほとんどないがために、高齢の人との付き合い方がよくわからない。近所の人でも、登下校中に会えば挨拶をする程度だもの。

 和室だったら、障子を開けるマナーにも気をつけなきゃ。言葉遣いは? 髪型や服装は大丈夫だよね、などとオロオロしていると、

「大丈夫よー。銀ちゃんのお姉さんで、おしんちゃんっていうの」

 どこからか椿お姉さんの声がした。見回してみたけれど姿はなく、

「ぜんぜん怖くないから、早くいってらっしゃいよ。むしろ天ちゃんのお母さんのほうが怖いから〜」

 いつのまにかベッドのぬいぐるみにまぎれて置かれていた日本人形から、クスクスという笑い声が漏れ聞こえてきていた。

「ああ、ごめんねぇ。びっくりさせちゃったね」

 これで人形の目や首が動きでもしていたら、あたしはきっと卒倒していたに違いない。

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