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沈黙した二人を前に、あたしは焦った。彼らはあたしのことを知ってはいるけれど、斗真のことはノーチェックなのかもしれない。はたして、知られていいことだったのか……?
すると突然、シリウスが手を打って笑いだした。
「ほらみろ天狼、てめーが運命だと思ってることなんて、その程度のことなんだよ」
こらえきれないようにお腹まで抱えだしたシリウスに、天狼は少しムッとした表情で、
「できるかぎりやるのが俺の信条だ。無事に太極が生まれるように尽力する」
「太極になりたかったんだろうに」
「まあ、おまえと行動しているうちに、それは無理かなとは思っていた」
「はっ!?」
言い方にカチンときたらしいシリウスが反論するより先に、天狼はあたしの両肩をつかみ、こわいほどに真剣な顔で詰め寄ってきた。
「その太極候補は、どこにいる? こっちの世界か? それとも向こうか」
「太極、候補……?」
「そうだ。太極になりうる存在は複数いる。俺たちもそうだが、おまえが知ってるそいつは、俺たちより有力候補だ」