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点在する道がどうやってできたのか、自然生成なのか人為的なものなのか。可能性はひとつじゃない。
「宏志さん……すごい」
「ん、なにが」
「あたし、考えもしなかった」
「ん? ……ああー、単に、オレがあとからきた人間だからじゃね。おまえと違って、置かれてる立場も気楽なもんだし、余裕があるだけの話さ」
さらっと言ってしまえる宏志さんが、なんだかとてもかっこよく思えてしまった。感心して見つめていると、
「やべ、惚れさしたら斗真に悪いなー」
悪戯っ子のように笑って、あたしの頭を撫でた。
「さてさて、ともかく現状打破だな」
「……はい。無極はいるだけで目立つって言ってましたから、あたしがここにいること、いつバレちゃうか時間の問題ですし」
「レーダーかなんかに映るのかねぇ」
「陽の人は、陰の人がすぐわかるぐらいですから……第六感みたいなのが鋭いのかも」
「オカルトだなあ」
「あたしたちに気づいた人が必ずしも通報するわけでもないみたいなのが救いでしょうか。陰と接触した、それだけで咎められるらしいので」
すれ違った人たちのことを思い出す。一般人なら見逃していてくれるかもしれない。町ごと、消されてしまう危険があるのだもの。