77
別の道を探すのか、それとも、自分で作るか、どうするのか……。可能性のある解決策が見つからない。この廃虚の町なら、めったに人に会わないだろうから身を隠すことだけはできそうだけれど、それも有限だ。
瓦礫で陰になっているところに宏志さんとしゃがみ込み、一切合切を話した。この非常事態で、事情を知らせないわけにはいかなかった。ヒロさんのことはたぶん、実感が沸かないのだろう、宏志さんは軽く絶句はしたものの意気消沈した気配はなく、
「もう一人のオレに会って、同化とかしちまう心配はないってことだな」
努めてサラリと言った。
「一花にもその心配はもうないようだし、道を探すか、作ることに専念すればいいんだな」
「あと、人には極力会わないようにするしかありません。政府の人なんかには、とくに」
「お役人といっても、誰だかちっとも知らないもんな……。一花は、知ってるの」
「う……、記憶にないです」
「そっか。ほんとに、オレたち寄りなんだな」
呆れたのか、安心したのか、どっちともつかないような笑みを浮かべた宏志さんは、急にあたしの頭をわしわしと撫でた。
「話してくれてありがとうな」