表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたつの世界  作者: あくた咲希
ただ、ひとりの
101/132

74

 祈りながら早足で歩いて、焦土の端へきた。道路の生垣の向こう側にはふつうの町があって、その差に打ちのめされそうになる。

 ひと気がないのを確認して、狭い路地に入った。宏志さんの風貌は目立ってしまうから、できるだけ周りから目視できなさそうな場所を選んで歩く。

 ここは知っている町だろうか。それとも、方向を間違えてしまっただろうか。

 この世界にはもう、頼りにできるよすがはない。あたしがしっかりしないと。宏志さんを無事に元の世界に戻してあげなくちゃ。

「……なあ、一花」

 うしろから聞こえてくる、うかがうような声。

「なんか、これ……迷いこんじまった感がすごいんだけど」

「……そう、ですね」

 振り向かずに歩いていく。

「宏志さんの世界は陰の世界と呼ばれていて、こっちは、陽の世界って話です」

「五行か」

「関係はありそうですけど、よくわかりません」

「一花は、おれらのほうの人、だよな?」

「メインはそうなんですけど、合わさってるみたいです」

「ええっ。それって、どうなん」

「無極って言われました」

 ーーヒロさんに、と続けそうになって、立ち止まる。すれすれで宏志さんも立ち止まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ