第7章 朝の賑わい
レオンとエミリーは店内に入り、窓際のテーブル席を選んだ。朝の陽射しがガラス越しに差し込み、焼きたてのパンやコーヒーの香りが漂っている。
店内はすでに朝食を楽しむ客で賑わっていた。
カウンター近くでは、地元の老人たちが新聞を広げながらコーヒーをすすっている。彼らは時折記事について語り合い、穏やかな笑みを交わしていた。
中央の席では、地元の仕事帰りの労働者たちが頑丈な手を組みながら話し込んでいる。長時間の仕事を終えた彼らにとって、このレストランは憩いの場なのだろう。
その一方で、観光客らしきカップルが地図を広げ、楽しそうに次の目的地について相談している。
店内全体に、朝の温かみと活気が満ちていた。
窓の外を眺めると、昨夜とは打って変わって賑わいを見せている。
店の前では、朝食を終えたライダーたちがバイクのそばで談笑している。彼らは地図を広げたり、コーヒー片手に次の目的地について話しているようだった。
この店の前を通る道は、町を貫く主要な幹線道路だった。通勤で都市部へ向かう車や、旅行中のファミリーカー、ツーリングで列をなすライダー達、物流のトラックなど、頻繁に行き交い、田舎町とはいえ朝の時間帯は意外にも活気がある。
レオンはぼんやりとその様子を眺めながら席についた。
エミリーは軽く腕を組みながら微笑んだ。
「何食べる?この店、唯一のまともなレストランだから選択肢は少ないけどね」
エミリーが笑いながらメニューを指さす。
レオンは肩をすくめながら答えた。
「じゃあ、オススメを聞こうかな。地元民としての推薦を頼む」
エミリーは冗談っぽく考えるふりをしながら言った。
「ハンバーガーか、ハンバーガーか、ハンバーガーね!」
レオンは苦笑しながら言った。
「なるほど、最高の選択肢だな」
レオンはゆっくりとメニューに目を走らせながら、定番のハンバーガーを注文しようとした。
「ハンバーガーにフライドポテトもつけようかな」
しかし、エミリーが素早く反応した。
「ちょっと待って!ここのベストな組み合わせは、フライドポテトじゃなくてチキンナゲットよ」
レオンは眉を上げながら「へぇ」と興味を示しつつ、軽く笑った。
「そうか。でも俺、ジャガイモ好きなんだよな。ポテトはつけたいんだけど…」
エミリーは腕を組みながら、軽く考える素振りを見せた。
「ふーん、ジャガイモ好きなのね。じゃあハッシュドポテトにしなさい。で、ナゲットは頼んで損はないわよ」
レオンは一瞬考えたあと、肩をすくめて微笑んだ。
「そんなに推すなら、ナゲットとハッシュドポテト、両方頼むことにするか」
エミリーは満足げに微笑み、レオンは近くを歩いていた店員に目を合わせ、手を軽く上げた。
すぐに店員が気づき、テーブルへとやってくる。
「ご注文はお決まりですか?」
レオンはエミリーに視線を向けながら「ハンバーガーとナゲットとコーヒーを2セット、そしてハッシュドポテトを1つ」と答えた。
店員が尋ねる。
「ナゲットのソースは何にしますか?」
エミリーは即答する。
「マスタードでお願いします」
レオンもそのまま追随しようとして「じゃ、俺もマスタードに…」と口にしかけたが、エミリーがすかさずアドバイスを入れた。
「確かにナゲットにはマスタードね。でも、ハッシュドポテトにもソース付けたくない?なら、バーベキューソースにするといいわ。マスタードは私のを分けてあげる」
レオンは驚きながら「そうか!俺、ソースはバーベキュー派なんだ」と笑った。
エミリーは先読みしていたかのように、自慢げに答える。
「ポテトが好きならバーベキュー派なのは容易に想像つくわ」
にやりと笑いながら、さらに続ける。
「あなた、マスタードで食べたことないでしょ?マスタードで食べたらバーベキューに戻れなくなるわよ」
エミリーは満足げに微笑み、挑戦的な視線をレオンに送る。
レオンは思わず笑い、軽く肩をすくめて言った。
「望むところだ!」
店員は微笑みながら注文を確定し、カウンターへ戻っていった。




