第4章 深まる夜
部屋に入ったレオンは、深いため息をついてベッドに腰を下ろした。荷物を床に置き、バイクのジャケットを脱ぐと、背中にじんわりと疲労が広がるのを感じる。
「まあ、今夜はゆっくり休むしかないか…」
そう呟きながら、彼は手元のリモコンを掴んでテレビの電源を入れた。小さな画面が青白い光を放ち、途切れ途切れのノイズとともに様々なチャンネルが切り替わる。
ザッピングしていると、あるニュース番組で気象情報が流れているのが目に入った。画面には地元の天気予報士が映し出され、厳しい顔で話している。
「今夜は非常に強い西風が吹き荒れるでしょう。山からの下降気流が街に影響を及ぼし、突風が発生する恐れがあります。不要な外出は避け、屋内で安全を確保してください。」
レオンはリモコンを持つ手を緩め、窓の外をちらりと見た。街灯の光が揺らぎ、風が建物を震わせる音がどこか遠くで響いている。
「なんだか、ますます妙な夜だな…」
彼はそれを気にしつつも、さらにザッピングを続けた。しかし、次のチャンネルで手が止まった。
**地元のテレビ局の特別番組**
画面には、古びた紙芝居のような絵が映し出されていた。薄暗い色調で描かれた街の風景。その中央には、黒い影のような存在が歪んだ姿で立っている。
ナレーションは低く、奇妙に抑揚がない声だった。
「…夜に外出することは控えましょう。西の風が強く吹く夜には、何者かがこの街を歩くと言われています……」
絵が変わった。次の場面では、影が路地の角に佇み、じっとこちらを見つめているように見える。
「…見られても、声をかけてはいけません。足を止めてはいけません。ドアを開けてはいけません…」
レオンは眉をひそめ、軽く息をのんだ。
「全く不気味すぎるだろ…」
彼はメアリーの前で強がったことを少し後悔しつつ、慌ててテレビの電源を切った。部屋には急激な静寂が広がり、窓の外から聞こえる風の音だけが残る。
気を紛らわせようと、彼は立ち上がり、シャワーを浴びることにした。バスルームへ向かい、扉を開ける。
その瞬間、微かな物音が背後から聞こえた。
**カタ…カタ…**
レオンは振り返った。しかし、そこには何もない。ただ、カーテンがわずかに揺れていた。
「風のせいか?」
そう思い込もうとしながら、彼はシャワーを使おうとバスルームへ足を踏み入れた。
だが、そこで彼は異変に気づいた。
**鏡に、ぼんやりとした影が映っていた**




