これからについて
サキュバスになったことはもう仕方がないことだ。
問題はこれからどうするかである。
まずはマサキとカンナに復讐……なんて気はさらさらない。
彼らの裏切りを予見できなかった私の落ち度だ。
もちろん許す気もないが、こちらから手を下さなくても時期に自滅するだろう。
魔物になったからと言って人類と敵対しようと言う気も全くない。
向こうから斬り掛かって来るなら話は別だ。
可能であれば人類とは友好的関係を築いて行きたいと思う。
サキュバスとしてのセカンドライフを楽しむのはそれはそれでありかも知れない。
だが、先程も述べた通り人類の敵にはなりたくはない。
「やはり田舎でのんびりと暮らすのが一番ね」
この王都でそれは難しいだろう。
ここから南西なら隠れ住むにピッタリかもしれない。
「とりあえず、王都は出た方がいいわよね」
マサキがいるし……まあ、見た目が変わっているから気づかないだろう。
「その前に、出来ることなら母の形見のペンダントを回収したいわ」
ペンダントは宿屋に置いてきた。
後の荷物はどうでもいいので、あれだけは回収したい。
「まあ、まずは無事にダンジョンを出なければ始まらないわね」
立ち上がってその場から移動……の前に、この格好で人と出会うのは不味い。
私は人に会っても問題ないように格好を整えた。
角と羽と尻尾はしまい、髪と目を前と同じ金髪碧眼に戻す。
服装は銀の鎧と青いドレスに変え、腰に剣を差した。
これ姿ならサキュバスとはバレないだろう。
それでは出発。