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密室の謎

「あなた大変! すぐに帰ってきて!」

 いつもと違う妻の慌てふためいた電話を受けて僕は急いで自宅に帰った。

「落ち着いて、一体何が起きたって言うんだ?」いまだ動揺している妻の両肩を掴み、僕は問いかける。

「泥棒が入ったの」妻は涙ながらにそういった。

「泥棒? 盗られたものは?」僕は妻を問いただす。

「お金も、貴金属も、何もかもよ!」妻は両手で顔を覆う。

「状況を整理しよう。鍵はかけていたんだね?」

「当たり前じゃない! 窓は内側から鍵をかけていたし、玄関にもしっかり鍵をかけたわ。ちゃんと確認もしてる。あなたは私が嘘を言っているとでも言うの?」

「そうじゃない、ただの確認だ!」つられて僕の声も大きくなる。

 玄関の鍵はディンプルキーというもので、持っているのは僕と妻だけ。第三者が複製することは考えにくい。

「つまり、密室だったということか」僕はひとりごちた。

「鍵は今持ってる?」努めて優しく妻に問いかける。

「うん」そう言って差し出した鍵は間違いなく僕と同じ物で、妻のものであることを表す猫のストラップがついている。

「もう一度当時のように鍵をかけてくれる?」僕は妻に鍵を返す。

「ほら、やっぱり疑ってる」その言葉に妻は機嫌を損ねた。

 僕たちは外に出た。

「いい? ちゃんと見ててよ」

 妻は玄関を施錠した。

「どう? 文句ある?」妻は振り返ってそう言った。


 ドアのノブに《《掛け》》られた猫のストラップが揺れていた。

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