6恐怖の牛怪物
夜6時
ティーモス第31支部
数千人の信者たちが怪しげな儀式を行うため集まっていた
受け付けの男に対し
「カサドス
と言っておじぎをすると、受け付けの男もまた
「カサドス。
と言っておじぎを返す
信者たちのみに共有される聖なる言葉だ。
施設内は様々な宗教からイメージを寄せ集めて来た。いびつな教会をしていた
真正面の道の最奥に祭壇があり、そこに教祖、玉木奈央の石像が置かれている
法衣をまとったなんともありがたそうな石像だ
そのまわりに集まる信者たちは祈りを捧げていた
ティーモス第31支部を任されている奥野木。
奥野木が言った
「あなたたちは栄えあるティーモスに選ばれたのだあああああああああああ!
両手を広げ芝居がかった風に両手を上げる
その中のひとりが着ていた服を脱ぎ捨てる
「君たち!俺たちと一緒にゲバラで戦おう!人類の手に平和を取り戻すんだ!
明らかに過激派組織ゲバラの人間だった
「誰かその男をつまみ出せ!
「君たちは目を覚ますべきだ!平和は待っていては訪れない!
「いいから来い!
「きっ、君たち!目を覚ますんだあああああ!
「暴れるな!
ドゴオオオン!
壁が吹き飛ぶと牛の怪物がいた
「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
うなり声をあげた。
黄色い両目がランランと輝いている。
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!
悲鳴が轟く
「逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「わああああああああああああああああああああああああああああ!
人々を殴りつけその怪力で思うがままに殺していく。教会は一瞬で地獄と化した。
そのときだった。
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
突如、教会入口側の方からエンジン音が響き
ドガアアアアアアアアン!
七色に輝く、ステンドグラスの窓をやぶってトラックが現れた。
キキーーー!
急停車する。
「わあああああああああああああああああああああああ!
雪崩れるように人が逃げていく。
男はトラックから降りると人の波に逆らうようにまっすぐ歩いていく。
三輪ユウキだ。
「ジンライ!
ロザリオ型腕時計から光が放たれると光の中からロストバスターが姿を現す。
「ロストバスターレイブン!」
全身に生々しい傷跡が残る漆黒のロストバスターが現れゆうぜんと歩いていく
薄暗い教会の中、両目が緑色に光り輝く
「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
うなり声をあげ突進してくる
「とお!
バシュウウ!
角を両手で抑え込み、迎え撃つ。
足が線を引くように地面に摩擦の筋が描かれ、白い煙が巻き上がる。
「はあ!
突進してくる牛怪物の角をつかんだまま体を横にあった椅子に叩きつける
椅子が粉々に吹き飛ぶも牛怪物はなお突進してくる
その場に存在するあらゆるものを武器に見立てて利用していく。
そうすることで効果的にダメージを与えるのだ。
「とお!
二つの角を持ち上げ、牛怪物の巨体を頭上高く持ち上げるとテーブルに叩きつけた
バギィ!
「おおお!
さらに壁に叩きつける
「ふん!
祭壇に投げつける
ドガン!
祭壇が粉々に破砕される。
「や、やめろおおおお!
奥野木が叫ぶ
「まだいたのか!早く逃げろ!
「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
「ぐお!
一瞬の隙をついて牛怪物が突進をしかけてくる。
角が深々と胸に刺さり
「ぐはあああ!
壁まで激突した。
凄まじい衝撃が背に響く。
必死にどうすれば勝てるか計算する。
やつの胸は柔らかい。この柔らかい胸なら!
「でやあああああ!
全力の拳を腹部に叩き込むと拳が人体にめり込んだ。
胃を潰した。これで致命傷を与えたはずだ。
勝ったかに思えたそのときだった。
「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
「何!
牛怪物は平然と動き、角を振り回すとレイブンの体を地面に叩きつけた。
「がはっ!・・・な、なぜ!やつは動ける。
牛怪物は牛の怪物だ。胃を5つ持っている。それは致命傷足りえないことを意味していた。
「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
ドシ!
重量のある足がレイブンを踏みつぶした。
「ぐっ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
苦痛の中、もがき、活路を見出す。牛怪物の一気に足を投げ飛ばし、跳ねのける。ぐるんと転がり距離を取る
「一か八か、至近距離で技を叩き込むしかない!何かやつを引き付ける方法は・・・。
頭上を見ると赤い布の装飾が垂れ下がっていた。
「あれだ!
赤い布を手に取るとそれを振るい。牛怪物を誘う。やつが牛の怪物ならこれで効果があるはずだ。
「来い!
挑発する。
「モオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
突進してくる。
「はあ!
衝突寸前で布を手離すと牛怪物は読みどおり布に突進していき、壁に激突する。
腕のロザリオ型時計から電子的な音声が言った
シャフトクリスタル・べシンダー!
レイブンが叫ぶ
「シャフトクリスタル・べシンダー!
クローに光が宿ると一撃必殺技の強烈な光がほとばしる
「はああああああああああああああああああああああああああああ!」
最大威力の必殺技を牛怪物に叩き込む、大爆発が巻き起こった。