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Lonely Peace  作者: 天気雪晴
無責任の代償
19/35

信じたいもの

 チャップと私の剣がぶつかる。

 性道流で威力が大幅に上がった私の攻撃は相手の力を上回り、後方へ吹き飛ばす。

 チャップは踏ん張ることで背中から壁に激突する衝撃を小さくした。

「へえー、すげえ力だな。力の流れを上手く利用する剣技か」

 今のたった1回のやり取りで性道流の基礎を見抜かれた。

「なるほど。それにチビの色力が合わさることで、こんな馬鹿力が出たってわけか」

「……頭良いんだね。最初見たときは知性とかなさそうだったのに」

 ノースエンドのときとは全然違う。

 最初の戦闘狂のようなイメージが湧かなくなってきた。

「いいや、俺は頭は悪い。書物なんか読んでも全然理解できん。だが、人には得意不得意がある」

 1歩前に出るチャップ。

 余裕の笑みだった。

 こっちは緊張がさらに増して冷や汗をかいてるのに。

「戦いってのは理屈じゃ通らないことがバカみたいに多い。色力もそうだ。考えても答えが浮かばないことの方がザラだ。なら、考えたって意味がない。戦いに重要なのは状況を受け入れる器と鋭い勘ってわけだ」

「なにそれ、バカみたい」

 そんなのギャンブルじゃん。

 命をかけた戦いでそんなことするなんて本当にバカみたい……。

「でも、間違いではないね、それ」

 そう。間違いではないのが凄い腹立たしい。

 戦いを知れば知るほどチャップの言葉に納得できるんじゃないだろうか。

 どれだけ作戦を考えても、どれだけ相手の能力を把握しても、戦場では当てにならないことがほとんど。ぶっつけ本番と変わらない。

 だから恐くなる。

 だから死ぬ覚悟をしてしまう。

 先の展開なんて、誰にもわからないから。

「じゃあさ、こんなのはどうか――な!」

 色力を手のひらに集中する。

 集まった色力は黄色い光の玉になり、チャップへ飛んでいく。

「なっ!? 放色系だと!?」

 面食らうチャップ。

「だが甘い! 俺を倒すには威力が全然足りねえ!」

 剣で光の玉を真っ二つに斬られる。

 だがそれはお見通しだ。

 自分の能力は自分が1番よく知っている。

 私の作る放色系の攻撃じゃ犬だって倒せない。

 だから、本命は私自身の攻撃。

 光の玉に目を向けている隙に私はチャップの背中に回り、首に向けて剣を振る。

 いける!

 チャップは気づいていない。

 ここから気づいて反応しても私の方が早い。

「……」

 ……は? なんで?

 硬い物同士がぶつかったときに鳴る音がした。

 そんな……チャップは私を見てすらいなかった。

 なのに……。

「どうやって……」

 私の剣はチャップの剣によってとめられていた。

 見ることもせずこんな完璧なガードをするなんて。

「俺は他色系、対象に色力でマーキングをすればどこにいようと把握できるって前に言ったはずだが」

 マーキング!?

 そうか、最初に斬り合ったときに私のどこかに触れてたのか。

 移動速度を上げるために足に色力を集中したことが裏目に出た。

 もし最初のように腕にも色力を込めていれば、ガードされてもそのまま吹き飛ばすことができたのに。

「色力無しの攻撃だと、色力有りの俺と互角ってところか。それでも大したもんだが――な!」

 左腕で私の右腕を掴み、そのまま私を地面へと投げつける。

「ガハッ!!」

 背中から衝撃とともに痛みが襲ってくる。

 血反吐で口の中が血の味で満ちる。

 ダメ! ここで動かなかったら追い打ちを喰らう。

「おらぁ!」

 踵落としの体勢になったチャップを見て、すぐに体を起こして離れる。

「惜しかったな。あとちょっと遅ければ頭蓋を割れたのに」

 ……強い。

 明らかに私以上に戦闘慣れしている。

 効率的に一撃で終わらせようとする私とは違う。

 攻撃に遊びのようなものが感じられる。

 私の一撃が死だとするなら、チャップの一撃は死ではなく、傷。

 つまりどのような攻撃でもダメージにさえなれば当てにいくということ。

 まるで人を苦しめるのを楽しむ拷問官のようだ。

「……」

 1歩後退る。

「どうした? 今のでもう勝てる見込みがないって悟ったか?」

「ふん、そんなわけないでしょ。まだまだ余裕だもんね」

 虚勢を張って自分を鼓舞する。

 そうだ、ここで私が負ければチャップはミーゼのもとへ行ってしまう。

 そうなったらケルロスと合わせて2対1になってミーゼに勝ち目はない。

 だからここで私が勝たなきゃならないんだ。

「そうか。じゃあこっちからいかせてもらうぜ!」

 足に色力を込めて走るチャップ。

 はやっ!? ミーゼほどじゃなくても私より全然速い。

 後ろに回ったチャップはそのまま私に迫り剣を振る。

 ギリギリで振り向き、なんとかガードするが、チャップはそれを予測していたかのように空いた私の腹を蹴る。

「クッ!」

 私は痛みに耐え、すかさずチャップの顔にパンチを喰らわせた。

「ふひひひ、やるねえ!」

 笑いながら剣を縦横無尽に振るチャップ。

 私はなんとかチャップの連撃に対応するが、ある瞬間に競り負けてしまう。

 そして最後の一撃によって、私の体は後方へ飛ばされた。

「なるほどな。お前の剣技、見破ったぜ」

 ……やっぱり、今のでバレちゃったか……。

「お前の剣技、一撃の威力は高くても連続で同じ威力は出せないんだろ。攻撃を繰り返すたびに弱くなってた」

「……御名答、と言うべきなのかな」

 性道流はそのほとんどが一撃必殺の剣技。

 連発するために作られてはいない。

 だから、連発するとすぐに筋肉が悲鳴をあげて威力が弱くなってしまう。

 5回ぐらいなら少し休めばすぐに回復できるけど、そうするには相手との距離を取る必要がある。

 しかも今ので20回ぐらい連発してしまったので、回復にはかなりの時間がかかりそうだ。

「疲れたか? 生憎だが待つつもりはないぜ」

 休む暇もなく迫るチャップ。

「おらおらおらおら! どうしたぁ! イーストエンドの兵士の力はこんなもんか!」

 また連撃。

 もうダメだ、剣が重く感じてきた。

 手に力が入らなくなってきた。

「終わりだあ!」

 チャップの最後の一振りで、私の剣は宙を舞った。

「剣技は大したもんだが、実戦に使うにはお前の体はまだ弱すぎた。もっと身長とかあればまだ戦えただろうな」

 剣を私の首に突き出す。

「ほら、最後の言葉を言え。遺言くらいは仲間に伝えてやるよ」

「……」

 ホント、私の体は弱い。

 チャップの言うとおり身長がもう少しあって筋肉ももっと多ければ良かったのに……。

 いや、まだ成長しきっていないだけ。

 大きくなれば、私だってもっと……。

「ほら、さっさと言えよ。時間がないんだからよ」

 ……違う、そうじゃない。

 戦場でたらればの話をするなんてバカのすることだ。

 ここはそんなものが通じる世界じゃない。

 そんなものが通じてれば誰にも敗北など訪れない。

 この状況、それだけが全て。

 それだけで、自分の未来が決まるんだ……。

「……なんかさ、後悔しかないよね、人生って」

「は?」

「だってさ、もしミーゼを救出したあとそのまま城から出ていけばこんなことにはなってなかったってことでしょ? たった2択の問題を間違えたってことだよ、わたし」

「……」

 黙り込むチャップ。

「そんな選択で死ぬ人生なんて後悔しかないじゃん。しかもさ、誰かさんのためにこうなっちゃったんだよ」

 そうだ、ミーゼがケルロスを倒しに行こうとしたとき、私もラージニイと一緒に止めていれば私とミーゼの2人がかりでチャップと戦うことになっていた。

 そうなっていたら確実に私達が勝っていたんだ。

 ……わかっている、これもたらればの話だ。

 これがバカなことだって私もわかっている。

 だけど納得できないことだってある。

 いや、死ぬ理由に納得などできるはずがない。

 この世界にはそんな納得のいかないバカで愚かで吐き気がする出来事が山程あるんだ。

 だから誰かのために生きたり、傷ついたり、死んだりする、そんな後悔ばかりの人生は絶対に送りたくない。

「でもさ……そう心に刻み込んでも信じたいものだってあるんだよ……」

「……何を言ってるんだ?」

 チャップはまだ私の最後の抵抗に気づいていなかった。

 信じたいもの、それが私の抵抗だ。

 きっと来てくれるだろうと、絶対にこの窮地を救ってくれるだろうと。

 なぜなら、彼は私が見えない先を見ているのだから。

 チャップの後ろから人影が現れる。

「ッ!?」

 チャップは野生動物のように鋭い勘でそれを察知し、首に迫る剣を大きくジャンプすることで見もせずに躱した。

「大丈夫かブライト!」

「うん。かなり痛いけどなんとか……」

 私の前に聞き慣れた声を発しながら現れた彼に、私は安心感を抱いていた。

「そっか……、じゃあ少し休んでろ。あの赤髪(バカ)は俺が片付ける」

 優しい眼差しで私を見たあと、彼はゆっくりと立ち上がりチャップを睨みつけた。

「うん……」

 胸が暖かくなる気分だった。

「……」

 ああ、やっぱり心から思ってしまう。

『ナイトだけは信じたい』と。

 この先何があろうと、私の人生の最後まで彼を信じ続けたいぐらいに。

 本当に心から願ってしまう。

『そばにいてほしい』と。

 ずっと人を疎ましく消えてほしい存在としか思えなかった私に生まれて初めてそう想わせてくれる人だったから。

 だからこそ、言わなければならない。

「ありがとう、それと……頑張って……」

「おう、任せとけ」

 含みのない笑顔で答える彼に、私はさらに安心感を抱いた。



 剣を2本持ち、1歩ずつ躊躇いなく前を歩くナイト。

「は、俺を片付けるか……随分自信があるようだなお前」

 チャップも遅れを取らないことをアピールするように前に歩き出した。

「たしか……ナイトだったな。お前にも少しだけ借りがあるぜ。覚えてるか? ノースエンドで俺がミーゼに攻撃しようとしたとき邪魔したよな」

「ああ、そういえばそんなことあったようななかったような……」

 思い出せそうなラインまで行っているがその先が中々行けなかった、のように演技するナイト。

「おい、まさか忘れてたのかよ……」

「いやだってあのときいろいろあったからな。でもカユウほどではないにしろ俺だって記憶力は良いはずだから、忘れてるってことは俺にとっては大したことでもなかったんだろうな」

「ほう……」

 楽しみができたようにチャップは微笑んだ。

「それに俺にとってはお前のことなんかどうでもいい。大切なヒトを傷つけられたんだ……報復ぐらいはさせてもらうぞ!」

 力強く両者は走り出す。

 先に剣を振ったのはナイトだったが、チャップはそれを難なく払いのけ、攻撃を仕掛ける。

 だが、ナイトも同じようにチャップの攻撃を防ぎ、そこから攻撃に転じた。

 その動作を両者は何度も繰り返したあと、平行線状態を嫌ったチャップは後ろへ退く。

 ナイトは体力の回復をさせないためにチャップに迫る。

(コイツの太刀筋、あのチビと同じものか。力の流れを一点に集中するという難しい動作を二刀流でこれほど連発するとはやるじゃねえか。しかも全く疲れる様子がねえ)

 そう考えている間もナイトの攻撃は止むことがなかった。

(とはいえ、力はそれほど強いわけじゃない。色力を込めた俺の攻撃とほぼ互角。それにマーキングも終えた。十分に対処は可能)

 ナイトの分析を終えたチャップは攻撃を激しくさせる。

 ナイトもその変化にすぐ気づき難なく対応してみせたが。

(ここだ!)

 その瞬間は訪れ、二人の斬り合いは突然終わった。

「ッ!?」

 何かが折れた音だった。

 ナイトは冷や汗をかくと同時にすぐにチャップから離れる。

「マジかよ、俺の父と母が……」

 短くなった2本の剣をナイトは呆然と見る。

「側面から叩けば剣ってのは脆いもんだよな。簡単に折れちまった」

 勝負あった、とチャップは確信する。

「楽しめそうかと思ったんだが、意外とすぐ終わっちまったな」

 戦意も無くし、あとは2人の首を斬るだけと思った瞬間だった。

「これ、結構お気に入りだったんだがな……」

「あ?」

 突然ナイトの周りから黒い靄が現れた。

 そして同時に針に刺されたような威圧感を感じさせられる。

「今までのことといい、ブライトのことといい、俺の剣といい、お前らなあ……」

(黒の色力、か……? これは珍しいな)

 靄の形は次第に大鎌になり、ナイトはそれを握り締めた。

「これ使うからには、ろくな死に方できないから覚悟しろよお前」

 大鎌を構えると、チャップもまた戦闘態勢に戻す。

(あの鎌、かなりヤバイな。あれから殺気がバチバチと感じやがる。本気で殺しに来るってことか)

 ナイトはその場で大鎌を大きく振り上げる。

(なんだ? そこから振っても俺には届かないだろ)

 ナイトの行動に疑問に思いながらも近づこうと足に力を入れたときだった。

 ナイトが大鎌を振り下ろすと、届くはずのない赤黒い刃がチャップの目の前まで迫っていた。

「なっ!?」

 チャップはなんとか避けると、届くはずのない刃が届いた理由を知る。

(コイツ、刃の部分だけ飛ばしやがった!!)

 そう、届いたのは刃だけでナイトと大鎌の長柄(ながえ)の部分はその場から動いてなどいなかった。

 ナイトが長柄を振ると、細い虹色の糸で繋がっている刃はまたチャップに迫る。

 チャップは驚きながらも避け、分析を再開した。

(なるほど、ネーズのモーニングスターのようなものか。鎖よりも柔らかい糸で繋げることによってより柔軟な動きをできるようにしたってことだな。たしかに厄介だ。糸も見えるか見えないかぐらい細いからネーズのように鎖から軌道を読むなんてこともできない。だが弱点は同じはず)

 チャップはナイト目掛けて走る。

「接近戦ならどうするよ!」

 一呼吸もないほどの時間でナイトの目の前まで来て剣を振り上げた。

 鎌の刃では距離があり、チャップの攻撃を止めるには間に合わない。

 振り下ろされた剣がナイトの頭に当たる直前だった。

「……透明(しゅくめい)……」

 ナイトが小さくそう呟くと、チャップの目の前から消え、同時にチャップの肩に切り傷がつけられていた。

(なんだ今の……一瞬何かが俺の肩を……)

 いつの間にか後ろにいるナイトに対してゆっくりと振り返り両手を見ると、柄頭が虹色の糸で繋がれた青黒い剣が右手に、白い短剣が左手にあった。

(あの長柄の部分が2本の剣になったのか!? 鎌の刃と2本の剣をあんな細い糸で繋いでる武器なんか今まで見たことないぞ。それに、何故あいつが移動したことに気づけなかったんだ? マーキングしてればどれだけ速く動いても感知できるはずだぞ)

 自身を襲ういくつもの現象を奇妙に思いながらも、チャップは同時に狂喜に近いものを感じていた。

「おもしれぇ。そんな扱いづらそうな武器でどうやって戦うのか見せてもらおうじゃねえか」

 チャップは背中を向けるナイトに対して構えの姿勢をしたときだった。

「終わりだな……」

(あれ? なんか、目眩が……)

 チャップの視界が突然歪み始めた。

「ゲホッ!」

 そして襲いかかる激痛により徐々に意識が朦朧とし始め、体がふらつき体勢を崩す。

 血反吐を吐き、明らかに何かに蝕まれている状態だった。

「な、なにをした……」

「俺の右手にある剣はな、傷をつけた対象が雄だった場合どんなに傷が浅くても死ぬんだよ」

「な、そんなことがあ、るわけ……」

 ついに顔を上げることすらできなくなり、力無く倒れてしまった。

「ゲホッ! ゲホッ! い、いてぇ……いてぇよ……」

 激しい痛みは次第にチャップの意識を奪い、涙を流しながら叫び声になっていない叫びをあげさせる。

「お前は戦いを楽しみながらたくさんの生き物を殺してきたんだろ。これはその報いだ。今まで殺された者達の痛み全てを背負え。お前にはその責任がある」

(ま、まじかよ。死ぬのか俺? ああ、目が霞んできた。な、なんでこんなことに……。俺はまだ本気で戦っていないのに……ミーゼと決着すらついてないのに……)

 後悔してもすでに遅かった。

 苦しむチャップを見て悲痛な面持ちをするナイトだが、それでも視線を逸らすことはなかった。

 自身もまたヒトを殺したと、そう自覚させるように。

 殺した責任からは決して逃げないようにするために。

(なんだよ……なんでそんな悲しそうな顔をするんだよ……。勝ったんだから喜んでくれよ。そんなに悲しむなら……殺すんじゃ……ねえ……よ……)

 まるで遺言を伝えるようにナイトを見たあと、チャップは目を開けたまま初めて意識が遠くにいってしまった。

「……せめて、この命の記憶が無事届きますように……」

 息を引き取ったチャップの目を手で優しく閉じたあと、ナイトは1滴の涙を流した。

「ナイト、大丈夫?」

 心配そうな面持ちでブライトが近づくと、ナイトは顔を拭いて振り向いて「大丈夫」と言った。

「ごめんね。私がもっと強かったらナイトに辛い思いをさせずに済んだのに……」

「それじゃあお前が辛くなるだけだろ。そうなったら俺も辛い。これがベストなんだから気にするな。それよりもラージニイやミーゼはどうした? あとバトラも」

「ラージニイは先に城の外へ行かせたよ。ミーゼはケルロスを倒しに行っちゃったけど」

「あー、やっぱりそうなるか。まあミーゼならそうなることはほぼ確定だったから驚くことでもないか。じゃあバトラは?」

「その、バトラは……さっきの爆発で……」

 ブライトがその先を言うことを躊躇っているのを見てナイトもすぐにバトラの死を察した。

「そうか……ならいつまでもここでじっとしてるわけにはいかないな。シュランもケルロスを倒しに行くって言ってたから俺達もカユウを探しながら加勢にいくぞ。まだ走れるか?」

「うん、大怪我ってわけじゃないからまだ走れるよ」

 ナイトはブライトのペースに合わせて走り始めた。

 ブライトは自分に合わせてくれていることに嬉しさを感じながらも、戦場だからと余計なことは考えないように自制する。

 カユウを探しながら走り回っているうちに窓がある廊下へ出た。

「ナイト、あれ見て!」

 窓に近づいて空を見る。

「あれは……」

 ブライトは空に起こっている現象に驚愕していた。

おまけ


 それはミーゼがまだ牢屋にいたときだった。

 ケルロスによって顕になった羽が気になって落ち着けなかった。

「あいつ背中破いたままにしやがって、手足を拘束されてちゃ隠すこともできないじゃない」

 ミーゼがそんなことを言っていると、牢屋の前に小さな箱を持ったチャップが現れた。

「おい」

「……なによチャップ、私はアンタ達を見るとノースエンドのことを思い出すの。さっさとどっか行ってくれる?」

 殺気を込めながらミーゼは言うが、チャップはお構いなしに牢屋に入ってくる。

 それを見たミーゼは近づくなという意志を目で表す。

「服、縫ってやるよ」

「……は?」

 意外な言葉にミーゼは困惑するが、チャップはそのまま箱から針を取り出した。

「イヤなんだろ、羽出すの」

「そりゃあイヤだけど……でもどうして……」

「別に何かを企んでるわけじゃない、俺にとってお前は倒すべき相手だからな。そんなやつが羽を出しただけで苦しんでたら俺の面子がなくなるだけだ」

 そう言ってミーゼの着ている服の色と1番近い色の糸を取り出した。

「上手くねえから背中に刺さっても文句言うなよ」

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