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越えられないその距離は  作者: 月日
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『 プロローグ 』




この度は、このページを開いて頂きありがとうございます!

月日こよみといいます。


今回、初めて小説を書いてみました。

未熟な部分がたくさんあると思いますが、最後までお付き合いいただけると幸いです♪









この世には 絶対に交わる事のない二つの世界が存在する。


それは引き寄せられる訳でもなく、また反発し合う訳でもない。


ただそれはいつの間にかそこにある、そういうものだろう。








 ピロンピロンピロンッ



静かな部屋に通知音が鳴り響く。まだ重い身体を起こし、枕元に置いてあるスマホを手に取る。外から煌々と差し込む明るい光に目を細ませながら時間をみると、既にお昼をまわっていた。



俺の名前は新海凛月(しんかいりつ) 中学2年生で、母親と小さなアパートで二人暮らし。両親は、俺が幼い頃に離婚しており、父親とはそれから1度会っていないため、顔さえも覚えてない。そして現在俺は、引きこもりを極めていて、しばらく家から一歩も出ていないのだ。元々髪は長い方だが、目元を通り越し鼻にまで差し掛かる前髪と伸び切った襟足がそれを大いに物語っている。



凛月(りつ)!!」

「まだ寝てるんでしょ!」

「もうお昼よ、起きなさい!」



案の定、母親から連絡が入っていた。



「またかよ、、もういいって。どうせ学校なんて行かないし、、いつ起きたっていいだろっ」



そうボソボソ呟きながら、充電しておいたゲーム機を手に取り、電源を入れた。



「よっし、今日はここまでクリアするか〜!!」



お昼過ぎに起きて夜までゲームをし、ご飯を食べてまた寝る。それの繰り返し。これが、何の変哲もない俺の日常だ。





そんな日常が壊されたのは、新学期が始まって1ヶ月程が経ったある日のことだった。



「えーーちょっと相談なんだけど、誰か新海の家にプリント持っていく序でに様子を見てきてくれないか?2年になってから1度も登校してきてないよな?」



 …………。



沈黙が流れる。



そりゃあそうだ。1年の中頃から不登校で、さらにクラス替えをした後だ、ほとんど凛月(りつ)と会話したことがある人はいないだろう。しかし、そんな沈黙を打ち破ったのは、ある女の子の声色だった。



「先生!じゃあ私行こっか?」



廊下の窓から身を乗り出してくる一人の女の子。



「ほんとか?綾瀬(あやせ)。」



「うん!」



「そうか、ありがとう綾瀬。よろしくな。」



名乗りを上げたのは、綾瀬千紗(あやせちさ)。彼女は天真爛漫で、いつも周りに人が集まる、笑顔の絶えないクラスの中心的存在。その上、才色兼備で、誰もが憧れるようなそんな女の子である。




――― 放課後 ―――



千紗(ちさ)は いつものメンバーに別れを告げ、先生に書いてもらった地図を片手に一人で凛月の家へと向かう。学校を出てすぐの橋を渡って右折し、そのまま真っすぐ進んでいくと凛月の住むアパートが見えた。



 201……201……



そう呟きながら階段を上り、部屋の前へとやってきた。



 ピンポーン………



チャイムを鳴らすが、返事はない。



「凛月ーーー!!いるんでしょーー!ねえねえー!開けてー!」



「!?!?」



居留守を使おうとしていた凛月だが、あまりにも大きな声で呼び掛けてくるため、慌てて玄関へと向かい、渋々ドアを開けた。(うち)は1DKの安アパート。部屋を隔てる壁が薄く、少しでも大きな声を出せば、隣の部屋にまで丸聞こえなのだ。



「凛月!先生がプリント持っていってって!」


「えっと……??」



目を真ん丸にして、入口の前に立つセーラー服を着た女の子を見ている凛月。まるで『この人は誰だろう』というような顔をしている。後ろで結っている長い髪に、透き通ったような白い肌。長いまつ毛に、愛くるしい瞳。どこかで見覚えがあるような、ないような……



「え!?まさか覚えてないの?去年も一緒のクラスだし!!」


「ごめんなさい、ほとんど学校行ってなくて……」


「うぅーー私、綾瀬千紗!」



うなりながら、眉を下げて口を尖らせている。俺如きが覚えていない、そんな事だけで何故悔しそうな顔をしているのか不思議で仕方ない。



「綾瀬千紗さん、、」


「そう!じゃあ今日からよろしくねってことで!覚えてね!」


「わかりました、綾瀬さん」



そう答えると、とても得意げな顔をしてニコニコ微笑んでいる。元気で優しそうな人だなあ、俺とは似ても似つかない。そんな事を考えていると『あ、そうだ!プリント!』と忘れていたかのように差し出してきた。



「ありがとうございます」


「大事なやつらしいよ?あ、それと学校来てね、私待ってるから!またね〜!」



そう言い残して、手を振りながら綾瀬さんは帰っていった。





――― 次の日 ―――




今日も相変わらず俺は、お昼すぎに起床しゴロゴロしていた。



ピンポーン



「凛月ー!!いるーー?」



!?!?



昨日みたいに騒がれてはならないと玄関へ向かい、扉を開けると

今日も元気な笑顔を向けてくる綾瀬さんの姿があった。



「えっと、、?」


「え、まさかまた名前忘れた!?」


「え、あ、いや綾瀬さん……ですよね、覚えてます。そうじゃなくて……」



ポカンとした顔でこちらを見てくる綾瀬さん。俺がそんな顔になるはずじゃ?と思いながらも、『もしかして今日もプリントか何かですか?』と聞く。



「ううん!そうじゃないけど来てみた!」


『……??』


埒が明かないようなそんな気がして、聞くのをやめた。そうこうしているうちに、次から次へと今日1日の出来事や世間話をして満足気に帰っていったのだった。




次の日もその次の日も、そのまた次の日も綾瀬さんはやってきた。ただ楽しそうに話をして帰っていく。

この人は一体……?

何を考えているのか全く想像がつかない。頭を半分に割って中を見てみたいくらいだ。







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