第2話 古王国エルディア
ここは古王国エルディア
世界に数百と存在する国の中で2番目に古くからある王国である。王都の周りは高い壁で囲まれておりモンスターからの侵入を防げるようになっているようだ。壁の門の前で3人が会話をしている。
「今日は一緒にクエスト受けてくれてありがとな!」
「いいや礼を言うのはこっちだ。君のおかげでクエストをクリアする事ができた。ありがとう」
「あ!そろそろ行かなきゃ!それじゃまたどこかで会いましょう!」
そう言うと白髪の少年は剣を背負い直すと手を振りながら笑顔でその場を立ち去ってしまった。その様子を見つめながら手を振り返す2人。
「面白い子だね」
「そうですね.....なぜ彼の服にはこのエルディア王国の王家の紋章が描かれていたのでしょう?」
「さぁね~さてと俺ももう少し頑張るか!君も一緒に来るかい?」
「はっはい!」
数十分後
王都のどこかの脇道で1人の少年が走っていた。
「道に迷ったぁぁあぁぁあ!!ここどこ!?」
どうやら目的の場所に辿り着けないらしい。周りをキョロキョロと見渡すもどこがどこなのか全く分からない様子だ。
「あぁー!ギルバさん達に道を聞けばよかったぁ!」
「どうしたんだ?」
道に迷う少年に誰かが声をかける。男性の声だ、少年が振り返るとそこには高身長の金髪の男が数人の女性と共にいた。
「み....道に迷ってて.......」
「どこに行きたいんだ?俺が案内してやる。レディーと子供には優しくしねぇとな」
「きゃー♪ボルグ君かっこいい!」
金髪の男は女性に囲まれながらキラキラとしたオーラを放っている。それを見て白髪の少年ジェネスは「なんか変な人に声かけられてしまったな」と思ったそうだ。
「この王都にある城に行きたいんですけど.........」
「城か......ちょうど俺も用があるんだ。行こうぜ、こっちだ」
そう言うと金髪の男は数人の女性と共に歩き始めた。少年は後ろをついていく。金髪の男ボルグの背中には自分と同じように剣が背負われていた。しかもかなりの大きさが大剣というものなのだろうか。もしかしたら自分の身長を超える大きさかもしれないジェネスはそう思った。
歩き続けていると15分後には城の前にいた。思っていたよりも早く着くことができた。王都の象徴でもあるこの城は彼の想像の何倍もの大きさだった。なぜ自分はこんな大きな建物を見つける事ができなかったのだろう。少年はあまりの大きさに空いた口が塞がらない。
「よし着いたぜ。じゃあいくぞ。レディー達はここでお別れだ。また一緒に遊ぼうぜ」
「は~~い♪ボルグ君とジェネス君ばいばーい♪」
「またあそぼうねぇ~」
数人の女性は手を振りながら立ち去ってしまった。ボルグは姿が見えなくなるまでてを手を振る。少年も一応手を振った。
「いくぞ.......お前の服のやつここの紋章だろ?」
「え?」
先ほどまでとは全く違う真剣な声でそう言った。門の前にいた兵士がこちらに気づいて近づいてくる。
「ボルグ様おかえりなさいませ。帰宅予定時間よりもお早いですが.....そちらの方は?」
「肩の紋章見れば分かるだろ。」
「なるほど、では私が案内しましょう。」
甲冑を着た兵士に2人はついてくる。門を潜ると美しいバラの庭園が脇に広がっている。城までの道は長かったが周りを見ながら歩いていたらあっというまについてしまった。
「このまま中に入ってそのまま真っ直ぐ進めば王の間です。王の間が開かれるまでまだお時間があります。控え室でお待ちください。」
「いや、俺はジェネスにこの城を案内するよ。」
「かしこまりました。」
兵士はそのまま元の場所に戻っていってしまった。ジェネスはボルグについていく。
「その紋章はな、聖剣に選ばれた剣士に与えられるこの世に数着しかない特別なものだ。ある程度の攻撃なら防いでくれる。あと俺の事はボルグでいいぞ」
「へーーあ、ボルグは身長いくつ?」
「急にタメ口になったなお前。そう言うのはちょっと躊躇うものだろ?一応俺の方が年上だし。187だよ」
2人はたわいもない会話を繰り返してひたすら長い廊下を進んでいく。
「もうすぐバラの庭園に着くぞ。毎日庭師が手入れしているから結構綺麗なはずだぜ。一般人は入るのに金かかるから目に焼き付けとけ」
「入り口よりもすごいの?」
「すごい。」
廊下の扉が開く。すると日の光が注ぎ込んできた。眩しくてジェネスは一度目を閉じるが再び開くとそこには一面中に広がるバラ園が広がっていた。赤色だけじゃない黄色も白も青色もある。世界が輝いて見えた。小鳥の囀りが聞こえる。
「すげぇ~!」
「だろ?もう少し先に行けば他の花もあるけどまぁとりあえずこれだけは見とけ。確かここらへんにいるって聞いたんだけどな.......あっいたいた。おーーーい!」
バラに囲まれた広い場所の真ん中で優雅に紅茶を嗜む桃色の髪の毛の女性が1人いた。髪の毛の長さは肩くらいまででワインのように赤い服を身に纏っている。こちらに気づいたようで優しく微笑んで手を振った。
「こんにちは♪ボルグくん......そっちの子は?」
桃色の髪の毛の少女は椅子から立ち上がるとこちらに向かって歩き始めた。優しく微笑む姿はまるで女神のようだ。
「ジェネスだ。俺達と同じ剣士だよ。」
「もしかして背中に背負ってる剣って幻創の剣フェルメウス?私の名前はグレスよろしくね♪」
近くまで来ると分かった。このグレスという少女は身長が高いということが!
「しっ身長いくつですか?」
「175だけどどうかしたの?初めて会った子に身長を聞かれたの初めてだよ♪君変わってるね。ふふふ」
(コイツなんで身長を知りたがるんだ?)
彼女の腰には剣が納刀されている。するとグレスは剣を鞘から取り出した。珍しい色をしている桃色の剣だ。持ち手にはバラのツルのような造形がある。これも聖剣の一つらしい。
「運命の剣「デステニア」........2人が持ってる剣よりは大きさは小さいけど扱いやすい剣なんだよ。それに特別な能力がある。」
「特別な能力?」
「まだ秘密♪また今度教えあげる。さぁいきましょう、もうすぐ時間みたいだし」
そう言うと彼女は剣を納刀すると王の間に向かってゆっくり歩き始めた。彼女の剣には何か人を惹きつけるものがある。2人は彼女のあとを同じようにゆっくりと歩き始めた。
「なぁージェネス。言い忘れてたけど俺達剣士は5人いるんだ。で、あのグレスが俺達のパーティーのリーダーだ。なんでか分かんないけどな。」
「あの子がリーダー.......強いのかな?」
「強い........前に一回手合わせしたら数分で負けちまった。」
「俺も今度手合わせしてもらおうかな~」
ジェネスがそう呟くとグレスはニコッとしながら後ろを振り返った。
「手合わせ?いいよ♪私もフェルメウスの力見てみたいから。」
そう言うと彼女は再び前を向く。気づいたらもうすぐ王の間だ。大きな扉がギーーーーーという音を立てて開く。王の椅子に座るはこの国の国王であるエルディア王。髭を生やした凛々しいおじいさんだ。その横には秘書官のような者たちが数人待機している。
「よくきてくれた。聖剣に選ばれし剣士達よ。」
おまけコーナー
ジェネス
田舎の村出身の白髪の少年。持つ聖剣は「幻創の剣フェルメウス」で「火」「水」「土」「風」の4つの力を選択して使う事が可能で刃の部分は水色に輝いている。
村から出た事がなくて初めて見る他の場所に興味津々。動物が好きらしい
ボルグ
実はこのエルディアの国王の息子(長男ではない)身長が高く持つ聖剣も聖剣の中で最も大きいらしい。剣の能力はまだ不明で金色の大剣らしい。
綺麗な女性と子供には優しいイケメン(自称)綺麗な女性を見るとすぐ声をかけようとしてしまう為兄妹から距離を少し置かれている。悪いやつではない
グレス
桃色の髪の女性で身長は高め。持っている聖剣は「運命の剣デステニア」(運命と書いてサダメと読む)デステニアは他の聖剣にはないすごい能力があるらしいがそれはまだ秘密♪
グレスは首からペンダントのネックレスをつけていて左の腰にデステニアを納刀。右腰にはポーチのようなものをつけている。この中には薬品が入った試験管が5本ほど収納されている。
スイーツとお茶が好き