第005話 「白い世界の環境改善(上)」
おや、伊勢の様子が…
※2021/09/18 続投に向け整合性見直し、全体の記載方法統一、誤字修正実施
「た…」
だいま!と言おうとした所で、伊勢がこちらに手のひらを向けて俺の行動を遮る。
少し待てと言う事だろうか?
[お帰りなさい]と言われる前に[ただいま]を言ってやろうと思っていたのだがな。
仕方が無いので少し待つ。
しかし、何故こんな2畳程度の広さの白い部屋に二人きり+αにならないといかんのかね?
もう少し広くしたり、家具置いて部屋っぽい場所にしてもいいと思うのだが。
そもそも椅子もないんだけどさ……
これも後で聞いてみるか。
そんな事を考えながら待つこと数分。
どうやら一息ついたらしい伊勢がこちらに向き直る。
「おまたせしました。
ログボとデイリーミッションは取り終えたので大丈夫です。」
「……」
「そうそう。
おかえりなさい。
今回も面白かったですか?」
テメェ!
コノヤロウ!!
「人待たせてログボ取ってんじゃねぇよ!」
「小さな積み重ねは大事ですよ?」
「後でよくね?
なんで今なの?」
「先にデイリー消化初めてたんで仕方ないじゃないですか。
それに斎京さんは日跨ぎOKで時限性ないですし後でも問題ないですから。
やっぱデイリーが先であってますね。」
死んで 戻って ログボ以下。
デイリーミッションに勝てない程度の間柄…てな。
大人の人付き合いって切ない!
「ああ、そうそう。」
伊勢が急に思い出しました~って感じの素振りで話し出す。
「この空間を改善する事にしました。」
お?
おぉ?
何かタイムリー!
「マジか。俺もついさっき、ログボで待たされてる時にソレを思ってたんだよ。」
「いや、待たせてたのはデイリーミッションでログボは一瞬で取り終わってましたよ?」
「言いたい事はソッチじゃねぇよ!
この空間を改善してくれないかなって丁度考えてたって話だろ!」
ふん。
ログボがログインしただけで取れるのくらい知ってるもんね。
「まぁ私も流石にこの絵面の悪さは改善すべきと思いましてね。」
なるほど。
それは重要だな。
40半ばのオッサン、肥満のてっぺん禿げが半裸とかモザイク案件だからな。
そこにもう一人同じようなのが居る訳だし…
「で、やっぱ流石に伊勢のその格好からだろ?」
「はい。
まずは私の見た目から多少なりとも改善致します。
では…」
そう言ってゴソゴソと股間の葉っぱを弄る伊勢。
ヤメロ危ないだろう!
ポロッじゃない!
しなかった!!
しなかったけど毛が!
大量のお毛毛が生えてきてる!!
なんと、伊勢は股間からモッサリとした毛の塊を取り出したのだ!
そしてモゾモゾと毛の塊を開き、ゴソゴソと頭に乗せる。
なに?
頭に乗せるのそれ?
「これで禿げは隠せましたね。
どうですか?カツラ1つで若返って見えませんか?」
「ちっげぇよ!!!!
見苦しさはソコがメインじゃねぇんだよ!
分かれ!!」
半裸の40半ばの肥満のオッサンだぞ?
禿げてても禿げて無くても変わらんわい!
「そうですか…厳しい物言いですね。
じゃあいっそ性別変えてみましょうか?
女性化でどうです?」
ふむ?
悪くないんじゃね?
そもそもオッサンしか出てこないのはマズい状況だし、伊勢が女神化すればオッサンが減って女性が増えて二度美味しい。
「いいじゃな~い。
どうせなら美人で頼むよ?
妙齢な感じで。
な?」
どうせ目に入るなら美女でしょ?
「あ~、体の性別だけ変える予定ですけど?」
体の?
性別だけ?
だと?
じゃあ、40半ばの肥満で禿げにカツラを被せただけの女神が出来上がると?
「顔は?」
「このままですけど?」
ぶぶぶーぶぶっっぶつつっーーーーー!!
何ソレ!?
罰ゲーム!
何の意味あるのそれ??
「無し!
絶対に無し!
で!!お願いします!!」
俺の必死の説得に[やれやれポーズ]を返す伊勢。
「あーもう、分りましたよ。
じゃあ見た目は私の好みでいいですよね?
ちゃんと女性化しますから安心してください。
ほら!」
あっ。
と本当に女性になっとる。
「お、おぉ。
女性だな?
っていうか…女神?」
そうですね。
確かに女神ですね。
ふわふわ金髪。
青いお目々。
白き衣を全身に纏い。
少し?ばかりふくよかな体を隠す。
それ、見たことありますよ?
西洋美術史の絵画でな!!
「伊勢さんや…
流石にコレはない……無いとおもう。
芸術性はあるけど?
…女神ってさ?
そう言うの多分求められてないから……」
「やっぱりそうですか。
昔は流行ったんですけどね。」
声もちゃんと女性化してるがオバハン声だ。
芸が細かい…
と、そう思えばいいのか!?
それに昔っていつだよ!
16世紀とかじゃねぇか!?
何百年前だよ!
「冗談ですよ。
じゃあコレでどうですか?」
そういうと、目の前からオバハ…では無くふくよかな女神が消え、どこかで見た事があるような青く長い髪の美女が現れた。
「どうです。
水素と酸素の女神プリウスと名付けました。」
とポーズを取る伊勢。
ネーミング…
「女神の属性定義に燃焼の化学反応式が要るじゃねぇか!?
しかもア○アじゃなくプリウス!?
ってト○タ車かよ!!」
ふふーんと胸を張る伊勢。
もとい水素と酸素の女神プリウス。
「[完全上位]名称です。」
そこはやめようぜ?
カ○カワ作品はマズいよ。
「伊勢…その作品のオマージュだとさ、俺は次の転生でお前を一緒につれて行かねばならんのだが?」
その言葉に伊勢が一瞬固まる。
いや違う。
伊勢じゃない。
水素と酸素の女神プリウスだった。
言い直そう。
「伊……水素と酸素の女神プリウス、次の転生の持ち物はお前だ。」
ニコリと微笑む女神プリウス。
笑顔は天使?
じゃない女神だった。
「お断りですね。」
そして元の伊勢に逆戻りした。
うん。
流石は半裸のオッサン。
…やっぱキモい。
でも、何か逆に安心感出てきた気がする……
「お、おぉぅ。
思い直してくれたか?」
「それはそうですよ。
中身はもとのままですからね。
一緒に転移して、現地で中身がオッサンの斎京さんから女性として見られたり?
とか死んでも無理です。」
「こっちも無理だよこんちくしょう!」
お前だって中身オッサンのくせに!
「じゃあ一緒に転生はしませんが、こういうのはどうですか?」
するとそこには、5~6歳くらいの小さな女の子になった伊勢がいた。
黒髪ツインテつぶらな瞳。
白のワンピースに白のサンダル。
普通に超が付く美少女で間違いはない。
間違いはないのだが…
……
「えっと…」
「なんですか?」
オッサンと幼女。
「ソレは幼女ですか?」
「幼女ですね。6歳設定だとギリギリでしょうか?」
声もちゃんと幼女。
絵面、普通にヤバくない?
「いや知らねぇよ!
そうでなくて、オッサンと幼女の絵面がだな……」
「あぁ。私、ロリコンですので。
私の好みって言ったじゃないですか。
ま、こっちが幼女なのは諦めてください。」
言ってた。
そう言えば言っていました。
確かに、自分の好みで…と。
そっか…伊勢、ガチでロリコンだったんだ。
地球で聞いた時は冗談だと思ってたから忘れてたよ…
あの世界で友達じゃなくて良かった。
もう地球関係ないけど。
「じゃあ私はロリで行きます。
斎京さんは確か幼女は守備範囲外でしょう。
私がババ専を理解できないみたいなものですか。
では、次は斎京さんの見た目を変えましょう。」
はい。
幼女は範囲外なんで大丈夫です。
というかノーマルの人をババ専扱いするな。
そして外観をロリに決めたのを[俺はガン○ムで行くぞ!]みたいな言い方すんな。
まぁ、最悪は俺も一緒に幼女にでもなれば良いのかもしれん。
そうして戦争の真っ只中に送られて魔導師か?
あ、それ、またカド○ワ。
やったらあかんやつや。
最悪じゃねぇか。
「あっ!俺の希望は…」
「じゃあ行きますよ。えい!」
と
俺の言葉は無視され、白く狭い部屋には幼女の掛け声だけが大きく響き渡った。
次回、続きますですよ?
長引きました。
はやく にんげんになりたい!
もし
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