第025話 「第三者だから見える物」
また不穏な雰囲気を出し始めた?
※大規模修正
なぜ、キョウ様はこの流れに疑問を抱かないのでしょうか。
ヤキモキしますが、仕方ないので黙って流れを見届ける事にしました。
余計な事は言わず、考えもしないようしましょう。
だが、やはり変だなと感じます。
私はイセちゃんにより故意に考えさせられ、脳の思考を観察されている……と思って間違い無いでしょう。
思考盗聴。
伝わっているから気にもされていない。
そういう事なのでしょう。
実際に私はイセちゃんの説明に違和感しか感じていません。
キョウ様がなぜ違和感に気が付かないか……
それは創造神と言う存在を知らなさすぎるから。
創造神とは自我、宇宙は世界、その世界は妄想。
この前提が理解出来ていれば、今この狭い部屋で起こっているやり取りが如何に滑稽な事なのかが分かります。
必要な認識は、イセちゃんの異世界は全てイセちゃん自身の中にあるのだと言う事。
そこの2人にしても、私の認識ではイセちゃんの妄想の一部でしかありませんし、個としての程度はかなり低いと思っています。
ただのNPCに過ぎない。
私が転生中のキョウ様に思考を止めるよう促した事も理解出来てはいないでしょう。
あのまま思考を続けた場合のルートに先はありません。
いえ、ありませんでした。
このルートに至るまで、それなりの数のリテイクを繰り返しています。
私だけが、その記憶を持たされている。
そうです。
この世界はイセちゃんが気に入らないルートに入った場合、ある程度の時間を巻き戻してやり直しているのです。
リセットマラソン。
何故? とお思いですか?
自分の妄想でちょっと失敗するルートを考えた場合、「やっぱこれはなし」って思って考え直しますよね?
作家が原稿を破り捨てるように。
そう言うことです。
ですがこれをキョウ様に説明する事はできません。
認識できるに至っていないからです。
キャラクターが作者を認識できないように。
早く気が付いて頂けると良いのですが……。
◇◇◇◇◇
――イセちゃんの神域とは違う、また別の神の神域――
(おや、[元伊勢君]もそれなりに分かってきたようですね?
てっきり彼は[此方側]に来られないかと思っていましたが……)
次元の彼方より、その様子を覗き見る存在が一つ。
(元々は地球の子ですが既に私の理からは外れましたし、あのワンコの世界からも確立しているようです。
時間軸の影響から外れ、観測者側に回った時点でもう存在する次元が変わったという事ですからね。
やはり、斎京さんを連れていかせたのが良かったのかもしれません。
私の子神の子神、所謂孫神にあたるとは言え、あのワンコ(イセちゃん)は地球の修行でちょっと甘やかし過ぎましたかね?
創造神がどうして異世界転生という手法を使ってまで事を起こすのか、全く理解出来ていないのかと心配でなりませんでしたが……
結果上手く事は進んでいるようですね。
まぁ時間は無限にあります。
何周でも、何百周でも好きなだけリトライしてれば手法や手管も成長するでしょう。
さて、もう少し様子をみましょうかね)
絶対的な上位存在は、カップの中の嵐を楽しむように微笑んだ。
◇◇◇◇◇
場面は戻り、再び白い部屋。
何故か照明が落ちて暗くなり、スポットライトがパッ! と黒髪ツインテ幼女を照らし出す。
ふと天ちゃんを見てみると、どうやら心が違う世界に行っているみたいだ。
遠い目をしている。
(俺も心に翼が欲しいけど、俺の話だしそういうわけにはイカンのだろうなぁ……)
「さあさあ、お待ちかね。
キョウちゃんの次の転生のお時間なのじゃ!
今度の旅は本格的じゃぞ?
試練も世界も設定も、すべてがインフェルノ級じゃ!」
いつも、いつも、次が早い。
全然設定詰まってないよね?
ノリと勢いだけで生きてるよね?
あと、転生初心者の俺じゃインフェルノ級はクリアできません。
イージーモードはありませんか?
「別に良いんだけどさ、なんか前もって設定を盛ってなくていいのか?
そもそもどう言う状態で転生するんだよ。
また既存の誰かか?
次は誰を不幸にするんだ?」
その質問の回答に、チッチッチっと舌を鳴らし、人差し指を立てて横に振るイセちゃん。
「次は元の世界の容姿で行って貰うのじゃ」
は?
「は?
まさか転移させる気なのか!?
転生して即死ぬだけだろ。
俺のオッサンボディに何のスペックがあるんだよ」
「まさか、地球の肉体で送ったりせんのじゃ。
キョウちゃんが居た世界はいろんな制限を厳しくした上に、併せて生きる個体を弱く設定する事で可能性のインフレを多様性で平準化してるのじゃ。
あ~、なんというかな。
こちらの世界とは仕様が違うのじゃ!
OSが違うみたいなもんじゃ。
まぁそれは置いておいて、ちゃんとこっち仕様の身体を準備するのじゃが、アバターが地球の時のやつ?って事なのじゃよ」
「なんでまたそんな駄目アバターを今更引っ張りだすんだ?」
「面白そうじゃろ?」
あれ?天ちゃんが「わかるわぁ……」的な顔をしている。
何か悟った。
これは諦めるところなんだろう。
おもちゃにされる運命なのだ。
「あー、うん。
分かった。
覚悟は決めるけどさぁ。
何か向こうでの楽しみにスキルとか凄いの貰えない?」
「そんな事か。
じゃあ選ばせてやるのじゃ!
ヒガシカ君に!!」
え?そこ俺自身じゃないの?
「まさかの他人に選ばせるって……
俺、自分で希望言えないの?」
「心配要らないのじゃ。
キョウちゃんの希望なんて、きっと現地で糞の役にも立たないからの。
鑑定と収納はちゃんとすでにあるのじゃ。
贅沢言うでない。
ほれ、ヒガシカ君、はよう言うのじゃ」
何故か急かされるヒガシカは、困ったように頬をポリポリしながら答える。
「僭越ながら希望を述べさせて貰うなら……[隠密系の上位スキル]で存在が消せることでしょうか。
生まれた時からあの世界に居れば、それなりに危険は理解できているつもりです。
自分から見て、今の状態でこの方があの世界で生き残れるとは思えません。
ならば敵から認識されない能力があるのが良いかと思います」
ヒガシカ君、冷静だ。
そして評価が辛辣だ。
「死なれると僕やニシカが生まれる事が出来ません。
ですが、希望のスキルさえあれば、最悪は姉上の認識外から夜這いを掛けて頂き、なんとか既成事実を作ってさえ貰えれば望みはあります!」
最後、とんでもないこといってるよ?
少しぐらい期待してくれたっていいじゃない。
純愛ルートとかさ。
今の自分、女子高生の姿だよ?
ヒガシカ君は俺のオッサン姿見てないのに、どうしてそんな期待薄なの?
あ、記憶共有したんだったわ。
そりゃ期待しないよね~。
独身オッサンの悲哀までバレてるよね~。
「やっぱりそうなるじゃろうな。
では[完全認識阻害]でも付与するかの……
本当は嫌なんじゃけど。
……
付与するかの……」
嫌なのかよ。
出し惜しみする神様ってどうなの。
「それ、そんなに付与するのを嫌がる程のスキルなのか?」
それを聴き、ニシカが驚いた顔をする。
「えっとキョウちゃんさん?」
ニシカが何言ってるの?って感じで話し掛けてきた。
「お?おう?あぁ、キョウちゃんでいいぞ」
いいんだよな?
俺、キョウちゃんで。
もう性別とかどうでもよくなってきた。
「あ、はい。
次からはそう呼びます……ね?
えっと、普通に考えて[完全認識阻害]は大変危険なスキルだと思います。
私達の居た世界で持っている人は居ない……と思いますよ?
もし居たら、その方は殺人も窃盗も強盗も好き放題に出来ます。
だって、誰も気が付かないんですから。
世界で一番の暗殺者になれちゃいます。」
確かにニシカのいう通りだ。
本当、そう言われてみると凄い能力だと思う。
悪用厳禁のチートだ。
ただこれ、の○太がすごい道具使って失敗するやつッぽくない?
石ころ帽子的な。
「あーもういいのじゃ。
どうせキョウちゃんみたいなヘタレがそんな大それた事なんて出来ないのじゃ。
もう付与したのじゃ。
はいはい。
いてら~なのじゃ」
[プシュン]
軽い電子音と共に、キョウちゃんの姿が掻き消える。
「あ……
前の転生でヒガシカの持ってたスキルは当然引き継がれておるからの……って言うのを忘れておったのじゃ……。
剣の才能とか、諸々。
まぁ普通気が付くじゃろ。
ん?
もしかしたらうまく機能せんかも…って、特に言わんかったし別にいいわな。
さ、ログボ取ってデイリーでもこなすかのぅ」
次の転生はきっと長くなるだろう。
だが、突然異世界に放り出されたキョウちゃんに、そんな事を考える時間は与えらなかったのだった。
何か色々出てきました。
上手くいくのでしょうか。
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