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【悲報】在宅ワーク中に「リアル垢BAN」されました。 ~派遣先の同僚(実は神だった)がノルマ達成のために俺を異世界へ強制連行~  作者: 無呼吸三昧


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第024話 「落ち穂拾い(偽)」

え?そうだったの?

な~んだ。

って感じ。


あれ?


※大規模修正

 凄く狭い場所に5人程が押し込められています。


 密です。

 ソーシャルディスタンスなんて言葉は、この白い部屋には存在しません。

 しかも全員マスクはしてません。

 まぁこの世界だと関係ないですけど。


 2畳の部屋が2部屋あって、2人と3人で別れている。

 状況、理解できるだろうか。


 4畳で5人。

 1畳1人を超える密度。

 満員電車よりはマシですが、神の領域としては威厳がなさ過ぎます。


 ただ狭いってだけの話です。


 2部屋の内、3人居る方の部屋。


 通称「放送室じゃないほう」。

 俺はこの部屋をそう名付けることにした。


 今、そこにはドヤ顔で説明している幼女がいる。

 諸悪の根源、イセちゃんだ。


「妾はドラマチックな展開が好きなのじゃ。

 悲劇の後の希望、破壊の後の再生!

 そうじゃの……

 何なら例の剣聖の男も良い感じで登場させてやるのじゃ!

 転生先のお隣さんとかでどうじゃ?」


 なんか変な事言ってるので、とりあえず心の中で驚いておこう。


(えーーーっ!……え? 死んだんじゃなかったの?)


 多分ドラマチック? と言ってるのは、俺が不幸のどん底なヒガシカの姉と結ばれるストーリーの事だろうと思う。


 きっと、剣聖の事はどうでもいい人が多いんじゃないかな。

 え?

 ……違うの?

 おっさん需要あるの?


 それよりも、重要な事を聞いておかねばならない。


「そこの2人はそんな話に納得出来るの?」


 1番の問題は、俺がウチカさんとお近づきになれるかだろう。

 半径何メートルまで近づけるか……。

 彼女の中の俺は「緑の悪魔」で「弟の仇」だぞ?

 そこが勝負だ!

 無理ゲーにも程がある。


 そして、次はヒガシカとニシカの気持ちだ。

 被害者である彼らが、加害者である俺の子供になるなんて。


 流石に俺は俺の価値が分かる。

 伊達に独身と言う名の貴族社会にいた訳ではない。

 自己評価は適切に低い。


 ウチカさんにとっては決して良縁ではないしな。

 というか悪夢だろう。


「僕は神のご意志に従います」


 そう答えたのはヒガシカ君。

 透き通った体で、穏やかに微笑んでいる。

 本当にいいのだろうか。

 悟りを開きすぎではないか?


「もし今の記憶を持って生まれてしまったら、父殺しの汚名を頂いてしまう事になるかもしれませんが……」


(うん、気持ちは分かるんだよ?

 でもね? 俺、悪くないよだよ?

 そもそも何にもしてないよね!! 勝手に殺したことにされただけだよね!?)


 俺、今は愛らしき17才前後の美少女です。

 でも中身のオッサンの顔面は、今真っ青になっていると思いますよ?


 そんな事を思っていると、不意にヒガシカがこちらに向かってニコリと微笑む。

 爽やかイケメンスマイルだ。


「と言うのは嘘です。

 同じ記憶を共有した僕は、あなたの事も分かっていますよ?

 あなたが悪くないことも、罪悪感を持ってくれていることも。

 だからきっと、いい親子になれると思います。


 ただ……


 姉上を差し上げるのは……非常に……


 全く持って……


 全然納得が行きませんが……」


(最後、滅茶苦茶本音が出てるよね?

 笑顔が引きつってるよね?)


 だけど、ヒガシカの気持ちは分かる。

 俺なら身内を俺みたいなキモい奴の嫁にはやらん。

 絶対にやらん。


 ではニシカはどうなんだろう?

 彼女は巻き込まれただけだ。


 それは目の前にいる本人に聞いて見た方が早いな。


「ではニシカちゃんはどうですか?」


「私の意見ですか?

 兄もそうですが死んだ身ですから、ウチカお姉様の子供として生まれるのは嬉しいです。


 なんというか、私はその、キョウちゃん様? の事は余り存じておりませんので何とも……。

 ですので、姉様がお決めになる事だな……と思ってます」


 あ、はい。

 興味ないですよね。

 すみません。


「本当だったら死ななくても良かったかもしれないんだよ?」


 俺は不思議だった。

 ヒガシカ君もニシカちゃんも、本当は死なずに幸せに暮らせていたかも知れないのだ。

 イセちゃんの気まぐれがなければ。


 俺は彼等に恨まれるだけの事をしたと思っている。


「キョウちゃん様?

 それに関しては言っておかないといけないことがあるんです。


 ショーヴ叔父様やお兄ちゃんには黙っていたんだけど……


 実は私、重い病気でもうすぐ死んじゃいそうだったの。


 お兄ちゃん……ごめんね。

 黙ってて」


 横にいるヒガシカが物凄く驚いた顔をしている。

 どうやら本当に知らなかったみたいだ。

 魂だけになっても、顔色は変わるらしい。


「ずっと我慢して……隠してたの!!

 痛かったけど、苦しかったけど言えなかったの……


 なんかね、お骨や身体が腐っていく病気だったみたい。

 村の先生とか神父様は原因が分からないって言ってた。


 貰ったお薬を飲んでても、夜中とか身体の中が凄く痛くなって、何度も『死んじゃうんだろうな』って思ってた。


 でもね。


 私が病気だなんて言ったら、きっとお兄ちゃんは帝都に行くのを辞めちゃうもん。


 お兄ちゃんが物凄く頑張って、強くなって、やっと皆に認められたの、毎日見てて知ってる。


 だから、お兄ちゃんの邪魔をしたく無かったの!


 本当にごめんなさい!!!」


 ポロポロと涙を流すニシカ。

 その涙は、白い床に落ちる前に消えていく。


 横にいたヒガシカはそっとニシカの頭を撫でる。

 触れられないかもしれないけれど、その手は優しく彼女を包んでいた。


「ニシカ……


 兄ちゃん、お前が病気だったなんて全然知らなかった……


 ごめんな……


 気付いてあげられなくて……


 辛い時もずっと我慢してきたんだよな?


 でも僕は、そんなニシカの辛さも考えないで毎日毎日、剣の稽古ばかり。


 ――僕は自分が頑張って立派になれば幸せになれると。

 ――自分が偉い人になれば、きっとニシカも幸せになれるんだと思ってた。

 ――そんな程度の考えしかなかった。


 師匠から剣の天才かもって言われていい気になってた!


 これで偉くなれる!

 幸せになれる! って。


 僕達の幸せは、本当はもっと前に壊れていたんだね……

 僕はそれに気がつけなかった。


 だから、もう特別な才能なんかいらない。

 裕福な暮らしでなくっていい。


 ニシカとウチカ姉様と一緒に……ただ人並みに幸せな人生を送りたい……そう思うよ」


「お兄ちゃんは悪くない!

 悪くないよ?


 ね?


 私達はもう死んじゃったけど、私はこうしてお兄ちゃんと話せてる。

 叔父様とお兄ちゃんを見送った日が、二人と話せる最後なんだと思ってた。


 イセちゃん様が私の前に現れて『病気を治すか、最後に姉に会わせてやる代わりにお前の身体を妾に貸すか選ばせてやるのじゃ』なんて言われた時、私はベッドの中で死にそうになってて、もう駄目だって思ってた時だった。


 最後に『ウチカ姉様に会わせて』って言われたのが本当に嬉しかったから、私は身体を貸す方にしたの。


 しかも、今度は上手くいったら、ウチカ姉様の子供になって、また私はお兄ちゃんの妹になれるんだよ?

 ウチカ姉様は綺麗だし優しいもの、お母さんだったら私達きっと幸せだよ!」


 ヒガシカとニシカが2人揃って俺をみる。

 キラキラした目で。


「「宜しくおねがいします」」


 ハモってお願いされてしまった。

 未来のパパ(予定)に。


 ヤメロ。

 もう既に泣いているのに涙が止められないじゃないか……。

 責任重大すぎるだろ。


「あ~そうそう、キョウちゃんや。


 そのニシカという娘は地球で言う所の骨肉腫? だったのじゃ。

 脊椎から発症したのじゃろう。


 地球の医療でも既に死んでいておかしくない状態じゃった。

 だから妾は言うておったのじゃ。

 『時間がないから連れてきた』との。


 病気を消す事も考えたのじゃが、本人の希望に添ってあの流れにしたのじゃよ」


 イセちゃんが、いつになく真面目な顔で言う。


 確かにそう言っていた。

 俺はてっきり、物語を終わらせる時間(尺)に拘っているんだと思ってた。


「そうか、そうか! それでか!!


 だからウチカに会わせるために、わざわざ連れて来たて言ってたのか……

 そう言うことだったのか……」


 俺は嬉しかった。

 ただ闇雲に辻褄合わせや展開のためだけでは無かったことが。

 イセちゃんの中に、ほんの少しでも慈悲のようなものがあったことが。


 だが疑問が残る。


 ヒガシカが死ぬことになったのは何故だろうか。


「ニシカは病気だった。

 それは分かった。

 じゃあヒガシカは何故死んだ事にしたんだ?

 彼は健康で、未来ある若者だったはずだ」


「あ、はい!」


 なぜかイセちゃんじゃなくて、ヒガシカ君が元気よく手を挙げている。

 当事者意識が高い。


「はい、ではヒガシカ君。

 どうぞ」


 俺は学校風にヒガシカを指名する。


「それは多分、僕に勇者の芽が植えられていたからだと思います」


「……はい、良い答え……です……ねって? そうなの?」


 勇者の芽?

 なんだそのファンタジーな用語は。


「ん? おぉ!

 そうなのじゃ! 大正解なのじゃ!!


 まぁ正確には[勇者]なんてのは[呪い]なのじゃがな」


 なんかまた[呪い]なんて面倒臭い事を言い出すイセちゃんに、一抹の不安を抱きかけた斎京なのであった。

 膝の次は、勇者かよ……。

おや?イセちゃんが意外といいやつ?

頑張れワグチ兄妹!


気になりましたら★★★★★頂ければ幸いです。


ブックマークやコメントも嬉しいです。


宜しくお願い致します。

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