第016話 「造られし偽神への信仰を深考」
また天ちゃんです。
上手く書けるかな……
設定の説明が難しい。
※大規模修正
取り敢えず、伊勢様は今後[イセちゃん]とお呼びせねばならないようですね……。
様を付けるか悩ましいところですが、ここはご本人の希望通りに[ちゃん]だけの方が自然ですかね。
心の中では呼び捨てにしたいところですが、思考すら読まれかねないので自重しましょう。
斎京様は[キョウちゃん]ではなく[キョウ様]とお呼びした方が、天の声らしくて、かつ皮肉が効いていてよいでしょう。
さて、今の内に……キョウ様がゲジゲジに転生してRPGもどきをやらされている間に起こった、裏側の話を整理してみます。
キョウ様が居なくなり、イセちゃんと私の二人だけに戻った白い部屋(+放送室)でしたが、そこへ異世界の人族が招かれました。
……「招かれた」というのは正しくないですが、拉致されたというのも響きが悪いので、ここでは招かれたという表現で進めます。
私はいつも通り別室である放送室に居ましたが、なぜか隣でのやり取りがしっかりと把握できました。
これはキョウ様の天の声役において、色々な状況を把握出来る能力が必要なため、イセちゃんが私に何らかの能力をお付けになられたのでしょうと邪推します。
あるいは、盗聴器でも仕掛けたか。
見た目や能力の変更の際は、一声掛けて下されば助かるのですが。
そう言うお方ですので諦める事に致します。
報・連・相などという概念は、神の世界には存在しないのです。
取り敢えず、此方で認識した話では、イセちゃんはその生き物を今回の仕込みにするようです。
[この役目は他の者でもよい]と言っていましたが、それは多分嘘です。
あの方がそんなに優しい筈がありません。
適当に見繕った駒ではなく、最高に嫌なタイミングで使うための「特効薬」として選んだはずです。
それと、隣の部屋での話が終わったようです。
そろそろ扉が開くかも……と考えていると、予想通りに[プシューン]と扉が開きましたね。
自動ドアの駆動音だけは近代的です。
開いた扉の先に、白と薄紫のシルエットが見えます。
驚いた顔をした人族の裸の少女ですね。
目が合いました。
怯えていますね。
ついでに少女の情報をコンソールで確認してみましたが、ゾウリムシ…ミドリムシ?
どちらでもいいですね。
ソレに転生したキョウ様に捕食されて死んだ内の一体です。
既に現世での肉体は溶解し、存在しないようです。
被害者ですね。
続いてイセちゃんは顎をしゃくって、裸の少女に放送室へ移動するよう促していますね。
それを見た少女も大人しく放送室へと移動してきました。
素直な良い子です。
異世界人ですが。
「天ちゃんや、ちょっと思考転送しておくので対応を頼むのじゃ。
妾はキョウちゃんの冒険譚を考えるのに忙しいのでの。
権限を貸与しておくので上手くやるようにな。
でわのぅ」
それだけ言うと、イセちゃんは放送室の扉をお閉めになられました。
丸投げです。
これは「後はヨロシク」というものでしょう。
とは言え、これまでの放置と比べれば何倍もマシです。
仕事があるのは良いことですね。
暇死にしそうでしたから。
イセちゃんの言葉通り、思考転送によりイセちゃんがこの少女に[やらせたい事一覧]が私の頭に直接入ってきました。
同時に、システム権限の一部譲渡も確認。
貸与された権限も結構な上位権限のようです。
世界そのものを弄れるレベルですね。
まずは情報を整理しないといけませんので、少女は少し放置しておきます。
手持ち無沙汰な感じの裸の少女。
少々気の毒ですが、取り敢えず無視します。
見慣れていますし。
まず、[やらせたい事一覧]は以下の通りです。
――1つ、異世界の神のフリをして少女を騙すこと――
私に神のフリですか……?
中間管理職に、社長の代理を務めろと。
そう言えば、イセちゃんの創造する異世界のベースには、確かエターノル神王国なる国が誂えた[居もしない神]の設定がある筈。
……
貸与された権限で確認した所、キョウ様用の異世界にも……あぁ、同じみたいですね。
多分ここの国教であるピュリナック教の神のフリをするようにとの事でしょう。
ちゃんとした星の管理神も割り当てがあるようですが、人族ベースの星じゃなく犬神の管理下のようです。
あの方のテンプレート惑星ならそうなるのは仕方ありませんか……。
なるほど。
管理の神の犬種はキャバリエですか。
女の子ですのでキャバ嬢ですね。
上手いこと言ってますか? そうですか。
笑えませんね。
土着の生命体は星の管理神を認識していないので、語ったところで誰も崇めてくれないでしょうし。
それに本物の神を語る訳にはいきませんしね。
役割が違います。
しかし、ピュリナック教ですか。
私自身が何度目かの異世界転生を楽しんでいる時を思い出しました。
確かその時は……人類の敵として認定された記憶が蘇ってきました。
魔王の眷属扱いされて、聖騎士どもに追い回された日々。
あの宗教の事を考えると腹が立って仕方がありません。
今ある権限を使って毛ほども残さず消し去りたいところですが、今はその衝動は抑えておきましょう。
私の旅は終わったのですから……。
私怨で仕事を台無しにするほど、私は若くありません。
さて、気を取り直して設定を続けましょう。
確かあの宗教の神は[光の神アラデンス]だった筈です。
データベースを確認してみましたが正解でした。
まず最初にいっておきましょう。
実は神の力と言うのは、大凡の神はお題として付いている[光]とか[水]とかの純粋力が働くのです。
XXの神とかXXの女神のXXの部分の力です。
いいですか?
純粋な光属性ってなんだと思います?
波長が380~760nmのただの電磁波。
所謂、[可視光]です。
光るだけの神です。
LED電球と変わりません。
せいぜい、光触媒で殺菌くらいは出来るのでしょうかね。
いいところ点滅する程度の存在です。
点滅の神アラデンス?
さて、どこが光るんですかね?wwww
あ、私としたことが草を生やしてしまいました……。
失礼。
これはキョウ様のせいですね。
地球で暮らしていた頃のネットスラングの癖が蘇ってしまいました。
しかし、闇の神は真なる邪神です。
暗黒では読書が出来ません。
じゃあ光の神が居ないと読書出来ないのではとお思いでしょう?
安心してください。
居てもよりいっそう光るだけの神ですので、居なくても大丈夫です。
太陽があれば十分です。
とは言え、残念ですが光の神は闇の神には抵抗出来るかもしれません。
懐中電灯代わりにはなりますから。
役に立つ部分があるのが残念ですが。
おっと、ピュリナック教の事が嫌いすぎていけませんね。
まぁ光の神とかネ申以下、GTOにもなれませんね!!というのは事実です。
はっ……
いけません。
これ以上をイセちゃんに悟られれば私は消されてしまうかもしれません。
思考盗聴、くわばらくわばら。
とは言え。
私が今更になって男性の神を演じるのには納得がいきません。
ハゲの神については、此方で再定義した女神に設定を書き換えて差し上げましょう。
意地悪でも仕返しでもありません。
職権の乱用でもありません。
正しい仕様変更です。
アップデートです。
はい。
[光と癒やしの女神フォンティーヌ]に決めました。
設定致しました。
エンターキーを、ッターン!
これで異世界中のアラデンス神像がフォンティーヌ女神像になっている事でしょう。
ざまあみろです。
明日からおっさんの像ではなく、美少女の像を拝むが良い。
しかも癒やしの効果を追加付与です。
本当の神じゃないのでどちらもプラシーボ効果なのは秘密でもなんでもありません。
信じる者は救われるのです。
さ、次に行きましょう。
――1つ、20歳位で聖弓になれる程度の弓術スキルを授けること――
非常に簡単です。
まず、少女の弓術レベルのベースを50に設定します。
そして年齢でレベル1つ自動上昇するようにするのです。
これなら10歳の段階でレベル60、20歳でレベルが70になります。
達人を超えて英雄の領域です。
間違い無く聖弓に認定されるでしょう。
はい。
次です。
――1つ、キョウちゃんの転生先の少年ヒガシカの膝に、必中で矢を命中させるスキルを与えること――
……そんなにあの設定をやらせたいのでしょうか。
確かに私が地球にいた時に流行ったときもありましたが……。
10年以上前のネタですよ?
まぁ神のご意志と言う事ですので仕方がありません。
[必中攻撃スキル 両膝砕き]
弓術専用 追尾型スキル
指定した対象の膝へ矢を命中させ、確実に呪いを発動
※一定条件の時、一度のみ使用可能
鏃がオリハルコン、または準ずる強度の材質以外の場合は必中効果減少
これを付与しましょう。
狙撃する時期も指定する必要があるみたいですし、制限をつけることにします。
それに、必中スキルをポンポン打たせる程、私も異世界人には甘くありません。
バランスブレイカーは好みじゃないのです。
あと、もう一つあります。
――1つ、ヒガシカ君に緑の悪魔の魂が宿っている事を説明して殺意を持たせること――
――悪趣味。
私はあの方のこう言う部分が非常に好きになれません。
性格の悪さが露呈しています。
ですが……
指示通りにやらねばなりません。
それこそが私の使命、私の存在意義なのですから。
まずは少女を私に傾倒させる準備から始めましょう。
信者獲得キャンペーンです。
貸与された権限はかなり上位の改変権限です。
設定を作り込めという事でしょうから、しっかり刷り込みを行います。
それにはまず、私の姿を変更する必要がありますね。
このスーツ姿では、ただの面接官です。
が、その前に。
舞台設定から。
まずは椅子から立ち上がると同時に[パチン!]と指をならす。
先程まで存在していた無機質な机や椅子が消え、部屋が一瞬で荘厳な礼拝堂へと変わりました。
ちなみにキリスト教会のものではありません。
また、本来は神像が鎮座するべき巨大な台座には今はなにも存在していません。
そこは私の立ち位置ですから。
[パチン!]
続けてもう一度指を鳴らす。
すると、裸の少女は修道服を着た少女になりました。
(美少女ではありますが、いつまでも裸では格好がつきませんし、目のやり場に困ります)
本来は指を鳴らす動作は不要ですが演出としては悪くないです。
雰囲気作りは大切です。
少女も驚いているようですし良いのではないでしょうか。
口をあんぐりと開けています。
最後は両の腕を大きく左右に開き、胸の前で[パンッ]と手を鳴らす。
そして変身です。
錬金術じゃありません。
等価交換?なんですかそれは。
ここでは真理の扉など開かなくても異世界人ならいくらでも創れます。
失礼致しました。
只今変身中です。
少々お待ちください。
どこからともなく虹色の光が差し込む演出を入れましょう。
神々しさ3割増しです。
良いですね。
キラキラしています。
BGMとしてパイプオルガンの音色が天から降り注ぐような、精神影響も与えておきます。
まず眼鏡が消えました。
顔はちょっとだけメイクを豪華にしています。
髪が自然とはだけ、ふわりと広がる様を演出します。
風もないのに揺れる髪、これぞ女神クオリティ。
そして服を如何にも女神な服へとチェンジ……ちょとポロリしかけましたが見られても相手は少女です。
モロパインでも美しく思って貰えるでしょう。
ただし、シモヘアーの類いは幻滅されるので絶対に見えないよう配慮しました。
そこは神聖不可侵領域です。
着替え完了です。
そしてもう少し高く浮き上がってから、少女の方に向き直りました。
目線は上から、これ基本。
こちらを見る少女の目は、魔法少女を見るアレです。
憧れと畏敬の念。
大成功でしょう。
そして音声エコーをオン。
リバーブ深めで。
最初はこういうの良いでしょう。
「私は光と癒やしの女神フォンティーヌ
絶対神の僕。
恐ろしき魔の生物により命を落とした哀れな少女よ
絶対神様より、お主に力と天啓と与えるよう仰せつかりました。
跪き、神に祈りを捧げなさい。
これから貴女に大事な使命を告げます。
心してお聞きなさい」
さて、ここからが本番です。
私は心の中で舌を出しながら、慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。
天ちゃん、頑張ってみました。
次回、ウチカからどう見えてるの?
このごり押しの設定が気になりましたら★★★★★頂ければ幸いです。
ブックマークやコメントも嬉しいです。
宜しくお願い致します。




