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【悲報】在宅ワーク中に「リアル垢BAN」されました。 ~派遣先の同僚(実は神だった)がノルマ達成のために俺を異世界へ強制連行~  作者: 無呼吸三昧


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第012話 「成り上がれ、勇ましき者」

教室に貼り出した啓蒙プリントよりは、人に見て貰えてるようですよ!

ユーモアなんて必要ないですかね。

今回はキョウちゃん視点です。

記憶は混ざっていますが、ヒガシカな感じは成りを潜めています。


※大規模修正

 ここは……どこだろう。


 少しだけ夢を見ていた。


 俺が、ではない。

 この身体に元々居たヒガシカの精神が、だ。


 湖の畔。

 ヒガシカの生まれた村の上流にある湖なんだろうと思う。

 水面を覗き込んだ映像から推測するに、ヒガシカはまだ2~3歳くらいだろうか。


 近くに揺り籠がある。

 あれは多分ニシカだろう。

 まだ1歳になるかどうかの筈だ。


 遠くに2人の母様方と、幾人かのメイドの姿が見て取れる。


 母様は2人で間違い無い。

 長兄と次兄、姉上は本妻の子。

 ヒガシカとニシカは第二夫人の子だ。

 そう言う文化なのである。

 貴族社会では普通だ。


 その周りには父上、長兄、次兄と、5~6人の兵士。

 皆、腰に剣を佩いている。

 兵士は護衛かな。


 今日は天気が良い。

 風も穏やかで気持ちがいい。


 確かピクニックの時の光景だったかも知れないな。

 意識の混ざり合った俺にも、まるで自分の思い出のように懐かしく感じられる。


 実際には体験していないのに不思議だ。


 気になるのは、湖の大半が緑色のヘドロに覆われている事。

 グリーンフラット……異世界ゾウリムシだ。


 ヒガシカの見た目からの計算だと、あの大惨事は2年後に発生するのだろう。


 とは言えこれは夢、過ぎた日々の記憶だ。

 もう亡くなっているヒガシカの家族を救える訳じゃない……。


「ヒガシカーーー!!

 こっちにいらっしゃい!」


 呼ぶ声が聞こえ、キョロキョロと見回す。

 母様ではなさそうだ。


「こっち! こっち!

 ニシカがとっても可愛いのーーー!

 こっちで一緒に見ましょう!」


 ニシカの揺り籠の横に少女がいた。

 揺り籠の中に手を入れ、そっと撫でているように見える。

 どうやら彼女が呼んだようだ。


 気が付いたヒガシカが彼女に向かって走り出す。


「あねうえーーーー!!」


 パタパタと走って少女の元に辿り着く。

 そうすると少女はヒガシカをギュッと抱きしめた。

 お日様の匂いがした。


「あぁ、ニシカもヒガシカも可愛らしいわ。

 うふふふ……

 弟も妹も可愛らしいなんて、私はほんとに幸せね」


 彼女はそう言ってヒガシカをの頭を優しく撫でていた。


「えへへ。

 ぼく、ウチカおねえちゃんだいすきーー」


「ありがとう、ヒガシカ。

 それと呼び方は『姉上』ですよ?

 少しずつ直していかないとね」


 そう。

 彼女はワグチ家の長女ウチカ。

 ヒガシカとニシカからは腹違いの姉にあたる。


 確かヒガシカの5歳年上だった筈だ。

 年の頃は7~9歳位だろうか。


 身長は子供のそれだが、上品そうな水色のワンピースから白くすらりとした手足が伸びている。

 整った目鼻立ちに、ふわりとウェーブ掛かった薄紫色の長い髪。

 少しだけ優しく垂れた両の目尻にある、泣きボクロが印象的だ。


 照り返す湖畔の光を背景に、幻想的な美しさが映える。

 将来は絶対に美人になるだろう。


 ――違う――


 それはもう見ることが出来ない未来だ。


 俺がそれを望んではいけなかった。


 俺のせいで……俺が増やしたグリーンフラットのせいで……。

 彼女は、彼女達はこの世界から居なくなってしまうからだ。


 その光景を俯瞰的に見ていた筈の俺の目線が、何故かヒガシカの目線に引き寄せられ重なる。

 目の前には美しく微笑む姉の顔があった。


 姉上……。


 ハッと気が付くと、元の俯瞰的な目線に戻っていた。


 多分俺は、あの彼女の微笑みを忘れることはないだろう。

 何故かそう思えた。

 胸が締め付けられるような、鋭い痛みと共に。


 ヒガシカの身体が夢から覚めたのだろうか。


 外界から、師匠、そして知らない年配女性の声が聞こえている。

 深刻そうな声色だ。


 俺の意識もヒガシカの身体に同調するように、主観視点に戻っていた。


 どうしようか。


 もうとっくに目が覚めてると言いづらい……。

 タイミングを完全に見失った。


『どうかな? 天ちゃん。

 もう起きたって感じで大丈夫そう?』


 しん、と一拍の間。


 ガコガコッ!『あ……』ブツッ!!


 ……。


『……はい。問題ないと思われます』


 あ、これ、何か他の事してたよね。

 ガコガコ言ってたよね。

 そんな慌てなくていいのに。


 そんなシステムみたいなの期待してないから。

 中に人が居るの見た後だしね?

 机の上でなにか食べてた?

 寝てた?


 別に分かってるから無理しないでね?


『ありがとう。

 なんか話も長そうだし、それっぽく目覚めようかな~と思って……』


『ぱらららーん、キョウ様は新たに[勇者]の称号を獲得しました』


 ぱら……ってそれ、口で言うの?

 マイク通して言ったね今?


 ノートパソコンあったよね。

 SE(効果音)のフリー素材くらい、予め探しておこうね?


 で?


『なんで[勇者]の称号?』


『重要そうな話を中断して目覚めようとしているためです。

 その[シリアスを殺そうとする勇気]に対し称号が与えられたのだと判断致します』


 俺が起きるとシリアスが死ぬのかよ……。

 空気読めない認定されただけじゃねーか。


『もう少し待った方が良いってこと?』


『その点はご安心ください。

 既に膝の呪いについての説明は終わっております。

 概ね立ち上がる事も難しい状況にあるのは、ご理解頂けておりますでしょうか?』


 ああ~


『まぁ実際には俯瞰的に見聞きしてたからね』


 気を失ってたのはヒガシカの身体だけだ。

 どうやら身体が意識を失った場合、自動的に俯瞰視点サードパーソン・ビューになるようだ。


 これ、寝た時に寝れるのか……

 自分の寝顔を見ながら一夜を過ごすとか、ちょっと心配だわ。


『キョウ様が満足に[立てぬ]ようになった事で、異世界での[成り上がり]の物語が開始したということです。

 [勇者]の称号も無事に得られました。

 イセちゃん様がお望みの展開になられたと考えて頂いて問題御座いません』


 イセちゃんの?


 ちゃん様?


 ――ここはスルーでいこう。


 イセちゃんの?

 望みの展開……。


 まずは[立てぬ]ようにって所か。


 俺が?

 いや、ヒガシカが立てない事が重要なのか?


 それで[成り上がり]の物語が始まったと。


 現状、ステータス激減で、歩行困難。

 どん底に突き落とされたと言っても過言では無いよな?

 なら後は這い上がるだけなのは理解出来る。

 王道だ。


 そして[勇者]の称号か。

 これが重要なのかもしれない。


 [立てぬ勇者]に意味はあるのか?


 いったいどうやって[成り上が……]


 ……あ!


 あーーーーっ!!


 ――[立てぬ勇者の成り上がり]か!!!――


 [盾の]と[立てぬ]を掛けましてってことだろう!?


 クソッ!!!!

 クソクソクソッ!!!


 クソ?


 あぁぁ! ド畜生がぁぁぁぁ!!


 このために……。


 この[タイトルのパロディ]の為に、ここまで仕込んで来たのか……!!

 家族を消して、膝に矢をぶち込んで、歩けなくしてまで!!


 また[カ○カワ]じゃねぇかーーーーーーーーーーー!!!!!


『キョウ様。

 残念ですがシリアス様が本格的にお越しのようです。

 お目覚め頂いたほうが宜しいかと』


 またシリアス様がキターーーーーーー!

 俺の激情ツッコミを置き去りにして!


 チッ! シリアスめ、強敵だな……。


 というか、俺は対シリアス撃退兵器かよ。

 何かちょっとシリアスに飲まれそうになってるんだけど?


『ま、期待された分の仕事はしましょうかね』


 俺は心の中で毒づきながら、ゆっくりと重たい瞼を開けた。

凄い展開への序章でした。

次回、衝撃の出会いです。


誰と出会うのかが気になりましたら★★★★★頂ければ幸いです。

ブックマークやコメントも嬉しいです。


宜しくお願い致します。


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