おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!2.王との謁見
私はエドガー・バルマー。大変なことになっている。王が聖女であるマリアに会いたいと仰られた為、聖女担当として謁見の間に一緒にいるのだ。しかし何故、マリアの恰好はパーティドレスなのだ……
「其方が聖女か。奇跡を使って戦に勝利したと聞く」
流石は王だ。動じていない……明らかにマリアの盛り上がる筋肉と青髭で、男だとわかるはずなのに……
「何か褒美をやらねば。なぁ、クララ」
王の隣にいる第一王女のクララ様こそ聖女に相応しいのに。どうして、マリアだったのだ……
「はい。お父様」
なにか、クララ様は寂しそうだ。勇者の神託を受けた隣国の王子に嫁ぐとは聞いたが……
「なんでもいいのかしらぁ?」
そう言うとマリアはクララ様に向かって歩き出した。不敬だぞ! だが、止めに入った近衛兵が弾かれていく……これでは私も同罪だ……
「待たれよ、聖女殿!」
おお! 騎士団長のハインツ君! 割って入ってきてくれて助かった……君は平民出だが使える男だ! なんなら、マリアを切り捨てていいぞ!
「貴女……これ、もらっていい?」
マリアが指を差した先はハインツ君だ。マリアは獲物を狙うような顔をしている。しかし、何故クララ様に聞いたのだ?
「だ……駄目です! ハインツ様は私がお慕いしている方です!」
私は驚愕した。クララ様があのようにハッキリと意思を示すとは……え? お慕い?
「あっそ、じゃあ諦めるわ。勇者だから夜の聖剣も凄いと思ったのに〜」
王の御前でなんて卑猥な……弟よ、バルマー家を頼んだ。兄はもう終わりだ……って、勇者?! 王もクララ様も驚いた顔をしている。
「え? これ、貴女の旦那になる勇者じゃないの? 貴女、勇者と結婚するんでしょう?」
私は急いでマリアに状況を説明した。これ以上、マリアをしゃべらせてはいけない。すると、マリアは大笑いをし始めた。
「ここに本物がいるのに~? ばっかじゃな〜い?」
そうだった……勇者を選定する方法……それは神託か聖女の天啓。このような奇跡を目の当たりにしたのは良いが、王を侮辱したのは駄目だ。ご先祖様、バルマー家は今日途絶えます……
私の意識はここで途絶えた。
◇
今、私はクララ様のお茶会に同席している。どうやらクララ様はマリアを気に入ったらしい。あの後、クララ様は勇者ハインツ様との結婚が決まったそうだ。
できれば「聖女の記録書」に載せたかったが、このような不敬極まりないことは残せない。そうだ、一枚この記録を挟んでおこう。子孫の為にも……