第六話 それぞれの休日
拙い文章ですが、よろしくお願いします!
それでは、お楽しみ下さいませ!
今日は休日。白羽勇樹はクラスメイトの上田麻耶、下北愛とともにショッピングモールに来ていた。
上田と下北はクラスのギャル筆頭。二人は特に白羽勇樹へのアプローチが強いことで有名だ。犯罪ギリギリのことまでしてるやら、してないやら……。
そんな二人はお得意の交渉術と話術でデートを勝ち取ったのだ。
「付き合ってくれてありがとう。俺だけじゃ、女の子にどんなものが喜ばれるかも分からなくって」
「ううん。こっちこそ、教えてくれてありがとうね。勇樹くん」
「勇樹君と一緒にお出かけなんて嬉しすぎるよ!」
二人はいつもの通学路を外れ、駅前の大きなショッピングモールにやってきた。
目的は勇樹の妹の誕生日プレゼントを買うため。いつもお世話になっている妹への感謝を込めてプレゼントをしたいのだが、どうやら女性へのプレゼントがどのようなものがいいか分からないので、彼女達に頼っているようだ。
周りを見渡せば多くの淑女たちが次々と店舗を覗きながら、あれがいいよ、これもいいねと話に花を咲かせている。
「ところで勇樹君、予算はどのくらい?」
「んー。……一応、上限は50万くらいで」
「「えっ!?」」
「え、さ、流石に低すぎるかな?もっと高価な物の方が──」
「違う!高すぎるのよ!」
「さすが男の子……金持ちだね……」
男性のいる家系は基本的に金持ちだ。だか金持ちにも二種類ある。元々金持ちの家だから定期的に男の子が産まれる場合と、男の子が産まれたから金持ちになった家になった場合の二種類だ。
勇樹は後者である。一般的な家庭から生まれた奇跡の男子なのだ。男がいる家庭ならたとえ親が働かなくても金に困らないくらいは政府から補助金が配られる。諸々含めたら月に100万は超えるだろう。
「そ、そんな!ごめんね!不快な思いさせちゃったかな?」
勇樹は苦笑いを浮かべる。そんな姿も様になっており、まるね映画のワンシーンを演じているかのよう。サラサラの黒髪マッシュに白い肌。中性的な彼の顔立ちであるが、女性的である訳でもない。むしろその端正な顔立ちは凛々しさがある。
「全然大丈夫だよ!こっちこそごめんね!」
「しょんぼりしたお顔も素敵っ!!」
白羽優樹の一挙手一投足にキャッキャッと叫び声をあげながら、ショッピングを楽しむ。
「このペンダントなんてどうでしょうか?」
店員さんは白羽勇樹にぐいっと近づく。店で一番大きく高価なペンダントを白羽勇樹の首に無理やりかける。
「えっと……プレゼント用なので僕がつける訳じゃないんだけど」
「これは失礼しました!だけどすごくお似合いですよ!」
「ちょっとそこの店員!距離が近い!」
「私の勇樹君に離れて!」
白羽勇樹の買い物はいつでも騒がしい。必ず女性同士で彼の奪い合いが始まるのだ。それは彼が彼の護衛や使用人を共にしないから、という原因ももちろんある。
護衛をつけない男性などいない。護衛をつけないことは留守中の家に鍵をつけないのに等しい。
襲ってくださいと言っているようなものだ。もちろん襲う方が悪いに決まっているが、日頃欲求不満に苛まれ、常に腹を空かせている女性の目の前に極上の餌があれば食いつくのも仕方がないだろう。
例えば男性はむやみやたらに肌を見せてはいけないという法律があることからも男性側も相応の配慮をすべきだと考えられていることが分かるだろう。
護衛がいないのはタブー。しかし、白羽勇樹は護衛を強く拒んでいる。その意図は誰にも分からないが。いつものことである。
「まあまあみんな落ち着いて……」
だんだんと周りに人が集まってきた。うだうだしているといつもこうなる。人だかりができまでに移動しなければ。
「男性がいるわよ!」
「本当だ!めっちゃイケメン!」
「私連絡先聞いてくる!」
「待って!私も!」
白羽勇樹があまり目立って外出できない理由はこれだ。女性は獣とよく言う。美味そうな獲物があればそれに躊躇なく群がる。彼は女の格好の餌だ。女性は目をギラギラ輝かせて涎を垂らしている。
「勇樹君!はやく!」
「こっちきて!」
二人は手を引いて勇樹を連れ出す。走って走って人気の無いところまで、来た。
「はぁ…はぁ….ここまで来たら」
「……誰もついてきてないね」
薄暗く狭い路地。人気がなく少し肌寒いくらいに冷んやりしている。
「それにしても……はぁはぁ。ショッピングモールからだいぶ離れちゃったね」
白羽勇樹は額に滲む汗をハンカチで拭き取る。上田はそのハンカチを強引に奪い取って白羽勇樹の首元にハンカチをあてる。
「じ、自分でもできるって……」
「麻耶っちずるい!」
だんだんと三人の距離が近づいていく。ボディタッチが増えて、三人の息遣いが激しくなる。
吐息が路地に反響する。言葉数が少なくなり、体温が上昇する。三人ともこれから何が起こるかは分かっていた。
なぜなら、こうなることは2回目だからだ。
白羽勇樹がにやりと静かに笑う。
二人を強く抱きしめて耳元で囁く。
「熱くなってきたね。今から休憩……行こうか」
二人の乙女は顔を真っ赤に染めながらこくりと大きく頷いた。三人の陰は夕暮れにかき消えていった。
ここまでご覧頂き本当にありがとうございます!
お楽しみ頂けていたら幸いです!
もし「次も見たい!」「この作品面白い!」と感じて下さったなら[高評価]と[ブックマーク]よろしくお願いします。いいねとコメントもじゃんじゃんお待ちしております!