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アビス・コーリング〜元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら〜【Web版】  作者: 槻影
第五章 奔走する召喚士の物語

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没特典SS『元廃課金召喚士の悩み』

 ギルドの中を見回し、ため息をつく。

 卓を共にしていたナナシノが数度瞬きして聞いてきた。


「どうしたんですか、ブロガーさん。急にため息なんてついて……」


「世も末だなってさ」


「世も末……?」


 もう一度深々とため息をつき、改めてギルド内を見回してみせる。ナナシノも不思議そうな表情をしながらも、きょろきょろと同じように見回す。

 まだ日が高いこともあり、召喚士ギルドの中にはNPC召喚士が十人以上いた。その誰もが足元に、その隣に、あるいは肩の上に眷属を連れている。


「? みんながどうかしたんですか?」


 アビコルはソシャゲだ。召喚できる眷属の種類は多様である。

 現実に存在する動植物に似たもの、物語に出てくるような幻想の生き物をベースにしたもの、あるいはそのどれでもないアビコル独自の種族などなど、数え切れない程種類がある。召喚に使う魔導石の入手方法が限られるこの世界では、連れている眷属が被ることなど滅多にないくらいに、だ。


 だが、この世界に来てから僕が一度も見ていない眷属がいた。


 机に頬杖をつき、もう一度ため息をついた。


「誰も可愛い眷属、連れてないんだよね。なんでだろう。出ないのかな」


「え? …………ブロガーさんのサイレントさんも、可愛いと思いますけど……」


 気の所為だよ……いや、確かに、サイレントもマスコット的な可愛らしさはあるだろう。手抜きこの上ないグラフィックだが、感性は人それぞれだ。だが僕が言いたいことは違う。


 ……ああ、ナナシノはソシャゲとかやったことないんだったな。


「もっとこう、アビコルには色々いるんだよ。わかんないかなぁ?」


「も、もっと、ですか」


 もっとだ。アビコルはソシャゲだ。ソシャゲなのだ。


 癖なのか、唇に指を当てナナシノが考えている。その仕草はとても可愛らしい。

 だが、本来ならばそんなナナシノが霞むくらいの眷属がこの世界には大量にいるはずなのだ。なにせソシャゲなので。


 ナナシノがジェスチャーを交えながら聞いてくる。


「可愛いというと……こう……もふもふしていたり?」


 方向性が全然違うわ、この一般人が。

 僕は言葉の代わりにため息を返し、もう一度ギルド内を見た。


 女の子の眷属が全然いないのは一体どうしてなのだろうか。ゲームだった頃は眷属の半分は女キャラだったはずなのに。


 逆ピックアップ? 確率落ちてる?


 イラストで釣って課金させるのが手口だっただろ。こんなのアビス・コーリングじゃない。萌えが足りない。肌色が足りない。本気だせよ、本気。ユーザー舐めてんの? そんなんじゃ課金しないよ? いや、するけど。できるならするけど!


「……はぁ……ちょっと楽しみにしてたのに」


「……よくわからないですが、ため息つくと幸せが逃げますよ? 元気だして、ほら!」


 方向性変えたのかなぁ……迷走してるよ。改悪だ。お金払うから戻して欲しい。

書籍版一巻の店舗特典用に書いたけど全然納得いかずにボツにしたSSです。せっかく書いたので置いておきます。

店舗特典はこんな感じので、もうちょっと面白いのがいい感じになってついてきますので気になった方は是非!


書籍版、アビス・コーリング一巻、12/29発売です。よろしくお願いします。

特設ページもあります。書き下ろし短編が載っておりますので、詳しくは活動報告をご確認下さいませ!


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書籍版一巻、ファミ通文庫さんより発売しています。
全般的に加筆修正されている他、巻末にアビコルの闇を深堀りした書き下ろしが収録されています。 よろしくお願いします!

新作の投稿を開始しました。皆大好き、アンデッドの話です。 よろしければご確認くださいませ。
昏き宮殿の死者の王
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