表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしかして創世記 〜宿命のアレクシア  作者: iliilii
§ 世界の真ん中に街をつくる
4/163

004 一緒に楽しいことしようね

「来たか!」


 ランと一緒にギルドに顔を出すと、待ち構えていたギルド長自らが、ランの腕を引っ張って奥の部屋に連れて行こうとする。


──どうしよう。

 一緒に行っていいのかがわからない。


「シア、おいで」

 まるで思ったことが通じたように、ランがそう言って手を差し出す。


 ランの言葉が聞こえた受付のお姉さん、アルダさんも頷いていた。ランの手を握り、ギルド長に続いてランと一緒に昨日と同じ奥の部屋に入る。


「防音を頼む」

 ギルド長にそう言われた瞬間、部屋の内側が薄い膜のようなもので覆われた。


「はーあ。本当にすごいな。お前の魔法」

「それはどうも」

「でな、昨日の話なんだが……本当に俺でも名付けができるのか?」

「できますよ。正確に言えば、誰にでもできます」

「はあ?」

 ギルド長が素っ頓狂な声を上げた。


「さらに言うなら、程度の差はあれ、魔法は誰もが使えます」

「はあ?」

 ギルド長が胡散臭げにランを見る。


「昨日の丸い石はありますか? 登録に使った」

「ああ。用意してある。嬢ちゃんの名前の登録がまだだったからな。ついでにやっちまおうと思って用意しておいた」

 ギルド長に手振りで勧められて昨日と同じ横に長い椅子に座ると、目の前の低いテーブルの上にはすでに丸い石が用意してあった。


「では、先にシアの名前の登録をしてください」

「嬢ちゃん、これに手をのせて……よし、シアだな」

 ランと繋いでいた手を離し、丸い石の上に手をのせた。ランが言っていた通り、五文字のアレクシアの名前は隠されているようで、ほっとする。


 ギルド長が丸い石を覗き込みながら声を上げた。

「おっ! 今までの実績から小さな星ひとつ付くぞ。よく頑張ったな」


──星付き! 星付きになれた!


「よかったね、シア」

 ランが褒めてくれた。頭も撫でてくれた。ほかっとする。ここ数日は嬉しいことばかりだ。


「そこに、魔法師でしたっけ、その表示はありませんよね」

「ああ。嬢ちゃんは魔法師じゃない。魔法適正もない」

「シア、浄化の魔法わかる?」

「さっぱりするやつ?」

「そう。それを思い浮かべて、ダリルさんをさっぱりさせてあげて」

 ランが手を握りながら言う。


 浄化の魔法。あのさっぱりする感じ。ギルド長をさっぱりさせる、さっぱりさせる……。


「嘘だろ!」

 突然ギルド長が叫んだ。あまりの大きな声に、耳がきーんとなる。


「嬢ちゃん! もう一回ここに手を乗せてみろ!」

 ギルド長の勢いがちょっと怖い。目がぎらっとしている。


「大丈夫だよ。もう一回あの石に手を乗せてごらん」

 ランの落ちついた声に、恐る恐る丸い石の上に手を乗せる。


「おかしいだろ! 魔法師も適正も表示されてないじゃないか!」

「でも浄化されたのはわかりましたよね。シアが力を使ったのも、わかりましたよね」

「ああ。間違いなく嬢ちゃんが俺に魔法を使った」


──魔法……使えたの?


「シアが魔法……いや、魔力を使ったんだよ。シアは魔力師だよ」

「まりょくし?」

「そう。おそらく魔法師とは違う方法で力を使っているはずだから、魔法師じゃなくて魔力師」


──すごい。魔力師! シアは魔力師になった!


「もう一度丸い石に手を乗せてごらん」

 ランに言われるがままに丸い石に手をのせる。


「魔力師……おい! 魔力師って表示されてるぞ!」

 ギルド長が呆然とした声で呟いたかと思ったら、次の瞬間には大きな声で叫んだ。また耳がきーんとなる。


 どうやらあの丸い石にも魔力師と出ているらしい。

 本当に魔力師になったんだ。すごい。


「本人が強く認識すればそこに表示されるみたいですね」

「まさか名前もか!」

「おそらくは。私は昨日、力のことをここでは魔法と呼んでいると認識していたので、魔法師と出たのでしょう」

 そう言いながら、ランが丸い石に手をのせる。


「昨日は魔法師だったのに、魔力師に変わってる。こんなこと……」

 呆然と呟くギルド長に、ランがこともなげに言う。

「その程度のことなんですよ、きっと」

「これは……。消されるぞ、俺たち」

 ギルド長が青い顔をして丸い石から目を上げ、ランに縋るような目を向けた。


「消されませんよ。彼らよりダリルさんが強くなればいいだけです。単に黙っていればいいことでもありますが」

「強く、なれるのか? 俺が?」

 まるで何かを怖がるかのように、けれど大きな何かを期待するかのように、ギルド長がどこか呆然としながら呟くようにランに聞いた。


「なれますよ。私が教えますから」

「すまん。俺は教えてもらえるほど金は持ってない」

 穏やかなランの声とは対照的に、ギルド長ががっかりとした声を出す。


「はぁ? 魔法を教えるのにお金まで取っているんですか?」

 驚くランが大きな声を上げた。


「ああ。ひとつの魔法の伝授に一番安くて金貨十枚だ」

「なんですかそれ……だから魔法師は金持ちなのか。金があるから権力が付随する……」

 まるで汚いものを見るかのような目をしながら、ランが嫌そうに呟く。


「そういうことだ」

 ギルド長も嫌そうに溜息をついた。


「なるほどな。エルが嫌がるわけだ……」

 エル。ランの神様みたいな名前の妹のことだ。ランの妹は魔法師が嫌い。


「この辺りの土地の権利ってどうなってます?」

「この辺りにそんなもんはないよ。掘っ立て小屋でもなんでも建てた者のもんだ。まあそこを守るだけの力がないとその場所は力のある者に奪われることもあるが」

 うーんと唸りながらランが腕を組み考えている。眉間にしわが寄っている。


「魔法を無料で教えると言ったら、人は集まりますか?」

「集まるどころか押し寄せるさ」

「ダリルさん、信用できる人を集めることはできますか?」

「そりゃ、ギルド長なんてやってるからな、俺が、ってのでいいなら可能だが……貴族にはそんな知り合いはいないぞ」

「正直貴族はどうでもいいです」

「それならできる」

 断言したギルド長の言葉を受けて、ランはまた、うーんと唸りながら考え込んだ。


「目立たないように魔力学校みたいなものを作りましょう。そこで魔力の使い方を教えます。当然、無料です。どうせギルドの登録内容なんて貴族や魔法師たちは見ることもないでしょう?」

「確かに奴らが登録内容まで見ることはないが……。無料の魔力学校か、いいな! 目立たない場所、目立たない場所か……」

 今度はギルド長が腕を組み、うーんと唸り声を上げる。


「最初はそれほど大きな規模じゃなくていいと思います。まずはダリルさんの信用できる人にだけ教えてみます」

「なら、この部屋でもいいか?」

「いいんですか?」

「俺も教えてもらうからな。近場が楽でいい。それに、案外ここの方が目立たないだろ」

「なるほど。では人選はお任せしてもいいですか」

「おう! 任せとけ」

 ギルド長が胸を張ってどんとその胸を拳で叩いた。




 ギルドを後にすると、ランが迷いなく歩き出す。

──ここでお別れ、かな。


「シア? どうした? おいで」

 ランが少し前で立ち止まり、振り向いて名前を呼び、当たり前のようにおいでと声を掛けてくれる。


 まだ一緒にいてもいいとわかり、嬉しくなって急いでランのそばに駆け寄る。

 急に走り出してもランからもらった靴が脱げることはない。


「シアの家のそばに俺の家を建ててもいい?」


 ランがあのうろの近くを住処にする。

 なんだかすごくいいことのように思える。これからもランが近くにいる。それはすごくいいことだと思う。

 力一杯何度も頷く。


「そんなに勢いよく頷くと頭が飛んでっちゃうよ」


 慌てて頷くのをやめて、頭を抑えた。

 それを見たランが大きな声で笑う。すごく楽しそう。それを見ていたら、なんだか楽しくなってきた。


「シアが笑うと俺も楽しくなるな」


 ランが楽しそうだから、楽しくなったのに。


「これからも一緒に楽しいことしようね」


──これからも?

 思わず首を傾げる。


 これからも一緒にいていいのだろうか。それは、もうひとりぼっちじゃなくなるということ……。

 なんだかすごく嬉しい。本当にここ数日はいいこと尽くめだ。




 ランと一緒に街外れまで歩く。ぴったりとした靴のおかげで足取りは軽く、ランが近くに住むとわかって心も軽い。まるでふわふわと体が浮いてしまいそうだ。


「よし。転移するよ」

 ランが周りを見渡しながらそう言った瞬間、木のうろの前にいた。びっくりするよりも先に、なんだかちょっと頭がくらくらする。


「シア、大丈夫? 頭痛い?」

 頭は痛くない。ちょっとくらっとしただけ。ふるふると首を横に振れば、もっとくらっとした。


「ああ。少し目が回った感じかな。ほら。ここに座って」

 なんだかすごく立派な椅子が鞄の中からにゅわーんと出てきた。


 ランに支えられ、ゆっくりと座ると、ぽすんと体が沈んだ。

 ギルドで座った椅子とは比べものにならないくらい、ほわわんとしている。まるで体が包み込まれるかのよう。


「そこに座って少しだけ待ってて。すぐに家を作るから」

 ランが少し考え込むかのように、腕を組んで目を閉じている。


「リビングは広めで、キッチンもそれなりに調っていた方がいいか、風呂は外せないよな……ああ、泉源があるな、単純泉だけどいいか。トイレと洗面と……」

 そこまで呟くと、ふと目を開けたランに聞かれた。


「ねえ、シア。シアの部屋って欲しい?」


──シアの部屋? シアにも部屋をくれるの?


「んー、一応シアの部屋と俺の部屋も作っておくか。翼は本当にうろでいいんだな」

「いいよー」

 ツバサが姿を現す。魔物みたいな姿の方だ。隣でちょこんとお尻を落として座っている。


 顔は鳥で体は四つ足の獣。その羽根は晴れた日の雲みたいな色で、その毛は人型の時の髪と同じ、日の光と同じ色。木々の間から零れ落ちる光を受けて、きらきらしている。すごく綺麗。


「んー…どうすっかなぁ。力で作るか」

「さすがに鞄から家が出てきたら嫌だよ」

「出せるんだけどさ」

「力で作って!」

「はいはい」

 ランがそう言った途端、ざわざわとするような、ぞくぞくとするような、なんともいえない感覚に襲われた。


 見るとランの体から何かが滲み出ている。まるで霧のような、さっき見た膜をたくさん重ねたような、なんだかよくわからない何かがランの体から出ている。

 それが一気にぶわっと広がったと思ったら、目の前に家ができていた。しかも前にちらっと門の隙間から見えたお貴族様の家のような、とても綺麗な建物だ。


「こんなもんかな。シア、頭ぐるぐるするの治った?」

 いつの間にか頭がくらっとするのは治まっていた。いつの間に治まったのだろう。ひとつ頷いてみる。なんともない。完全に治まっている。頭を動かしても大丈夫。


「よし。じゃあ、俺たちの家に入ってご飯を食べよう」

 そう言って、手を差し伸べてくれる。


 ランは俺たちの家だと言った。

──俺たちは、ランとツバサ?


「俺とシアの家だよ。その代わりシアの家だったうろを翼に譲ってくれる?」

 お貴族様のような家とうろを交互に見る。


──このうろの代わりにこの家に住んでもいいってこと?


「うろと交換?」

「そう。うろと交換。シアの部屋もあるからね。交換する?」

「する!」

「じゃあ、家の中に入ろう。そのうろはもう翼の物だよ」

「やったー!」


 ツバサの声を聞きながら、ランが差し伸べてくれた大きな手に、そっと手を乗せる。すると、ぎゅっと握って力強く引かれ、椅子から立たせてくれた。

 その椅子は、鞄の中にぎゅにゅうっと小さくなりながら吸い込まれていく。うっかり鞄に吸い込まれないよう、気をつけないと。


 とんとんとんとんとん。

 5段の階段を上がり、立派な扉の前に立つ。扉の前は木でできた通路みたいになっていて、それが左右に伸びてかくっと曲がり、その先に続いている。少しだけ気になって、じっと先を見ていたら、ランがふっと笑った。


「ああ。ウッドデッキが回廊みたいになっているんだよ。家の周りをぐるって一周している」

 そう言いながらランが扉を開けると、ふわっといい匂いがした。


 花の匂いのような、木の匂いのような、なんだかよくわからないけど、ずっと嗅いでいたいようなとてもいい匂いだ。


「いい匂いがする」

「ああ。俺の誕生花の香りだよ。これが俺の香りなんだ。そこまで再現しちゃったのか……」


 かおり。いい匂いのことを香りって言うのか。

 そういえばそうだった気がする。香水屋の前で売り子のお姉さんが「いい香りでしょ」と言ってお客さんに勧めていた。でもあれは、こんなにふわっとしたいい香りじゃなかった。


 玄関から足を一歩踏み入れると、浄化されたのがわかった。


「ああ。家の扉に浄化の陣が刻まれているからね。扉の先に入ると勝手に浄化されるんだ」


 浄化の魔法。はっきりとわかるようになってきた。

 本当に魔力師になったのかと思うと、今までよりも少しだけだけ偉くなったような気がする。




 目の前に広がるそこは、とても広い部屋だった。さっき座ったような立派な椅子がふたつ並んでいる。それの向かいにはそれを寝そべられるくらい横に長くした椅子がひとつ。その間に低いテーブルがある。その下には見ただけでもふかふかしているとわかる絨毯が敷かれ、それはギルドに敷かれていた絨毯がいかに薄っぺらだったかと思うほどに分厚い。


「ここがリビングね。とりあえずソファーとテーブルとラグは出したけど、後は追々だな。こっちがキッチンだよ」

 ランに手を引かれ、連れて行かれたのはリビングといわれた部屋の右側奥。


 そこは見たこともないほどぴかぴかした(くりや)だった。ランはキッチンと言ってた。厨とは違うのか。お姉さんの家の厨とは似ても似つかないけれど、煮炊きするところだと思う。


「ここがシアの部屋」


 ランに手を引かれながらリビングを横切り、キッチンとは反対側のリビングの左奥の扉を開けると、最初に目に飛び込んできたのは大きな寝台。もしかしてこれがベッドだろうか。それに机と椅子、リビングに敷かれていたようなラグが敷かれていた。絨毯より分厚いのはきっとラグと言うのだろう。さっきランがそう言っていた。

 全体的に薄紅という名前の花だったか、そんな色をしている。すごく綺麗な色。


「後でゆっくり見て、足りない物は言ってね。ここがクローゼットで、ここがトイレと洗面」


 クローゼットという場所の扉を開け中に入ると、色んな色の服が掛かっていた。お貴族様の服がすごくたくさんある。


「シアの服だからね。この中から気に入ったの見つけて着てみてね」

「これ、着ていいの?」

「いいよ。全部シアのだから。好きなの着ていいからね」

「全部シアの?」

「そう。全部シアの」


──すごい!

 全部シアのだとランは言った。全部着てみたい。毎日違う服を着ても、いつまでも終わらないかもしれないほど、たくさんある。


「ここがシア専用のトイレと洗面ね。このフタを上げて、ここに座って用を足すんだ。用を足すと自動で浄化の魔法がかかるようになっているから。手を洗ったり、朝顔を洗うのはここ。こうやってこのレバーハンドルを持ち上げると水が出るから。こっち側に回すとお湯になるから。あとこの水は飲めるから」


──すごい!

 透明で澄んだ綺麗な水。お貴族様の水だ。ギルドで使った綺麗な水よりずっとずっと透明な水。


「ほら、やってごらん」


 ランに言われるがまま、その細い棒のようなレバーハンドルをそっと持ち上げると、当たり前のように水が出た。触れるとすごく冷たい。こんなに透明で冷たい水なんて初めて触った。

 くいっとレバーハンドルを回すと、冷たかった水があたたかな湯に変わった。触れている手には熱すぎず温すぎない湯が流れていく。


「後でゆっくり遊べばいいよ。この隣は俺の部屋ね。シアの部屋と同じだから」

 再び手を引かれ、リビングからランの部屋の扉を開けると、そこは色が違うだけの全く同じ部屋だった。ここは夜の始まりの空の色だ。


 リビングを横切り、キッチンの隣の扉を開けると、さっき見た洗面がふたつ並んでいる。驚くのはその壁が一面鏡だった。

 鏡は高級品だ。平民は手のひらくらいの大きさの物しか持つことを許されていない。それでもずいぶんと高価な物で、平民の中でもお金を持っている人しか手にできず、お店の奥に並んでいるのを遠目にちらりとしか見たことがない。それが壁一面。


──ランに手を引かれているのは、誰?


「ん? きょとんとしてるけど、もしかしてシアは自分の姿を見たの初めて?」


 手を鏡に向かって伸ばすと、目の前に映る人も同じように手を伸ばす。


「これ、シア?」

「そうだよ、シアだよ。可愛いだろう?」


──可愛いってなんだろう? これが可愛い?

 思わず首をかしげると、鏡の中の目がぎょろっとした人も首をかしげた。隣に立っているランよりずいぶんと小さい。まるで大人と子供だ。


「で、このガラスの向こうがお風呂ね」


 ランが指を指している方を見ると、大きなガラスの向こうに湯気が見えた。こんなに大きなガラスは見たことがない。それに歪みも曇りもない、まるでガラスなんてそこにないかのような透明すぎるガラス。


「大きめのお風呂にしておいたよ」

 そう言ってランがそのガラスを動かす。


 驚くことにガラスが扉になってる。初めて見た。ガラスの扉。窓とは違う。枠がない。

 ガラスに付いている、さっきの水のレバーハンドルみたいな、それよりもすこし大きな棒のようなものをランが握って下に下げると、かちゃっという小さな音とともにそのガラスの扉が開いた。


 その先はつるつるに磨かれた石畳み。その先には更に一段高く、腰掛けられるほどの高さと幅で四角く縁取られたその中には、透明な湯が湯気と共にたっぷりと入っていた。湯の底の石畳みがゆらゆらと揺れながら歪んで見える。湯気の温かさを顔に感じる。


「タイルは滑りやすいから足元に気をつけてね」


 ランの手をぎゅっと握って、滑らないように湯をのぞき込むと、その縁ぎりぎりまで湯がたゆたっていた。こんなにたっぷりな湯を見るのは初めて。どれだけ使ってもなくなりそうもない。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ