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もしかして創世記 〜宿命のアレクシア  作者: iliilii
§ 世界の真ん中に街をつくる
2/163

002 贈りもの

「シア、大丈夫だから目を開けてごらん」

 後ろから聞こえてきた声に、恐る恐る目を開けてみれば、見たこともない景色が目の前に広がっていた。


 あらゆるものが足の下で小さくなっていた。そびえ立つたくさんの木々や、その先に見える王都までもが、ずいぶんと小さく見えた。

 目の前に広がるのは、よく晴れた空の色。

 森の上に浮かび上がった、魔物じゃない魔物みたいなものの背から、ゆっくりと周りを眺めると、ずいぶんと森の奥に入っていたことがわかる。きっとあの大きな木がうろのある木だ。


「あの大きな木の下」

「あの木の下にシアの家があるんだね」


 魔物じゃないものがばさっと一度だけその晴れた日の雲の色をした翼をはためかせると、あっという間に大きな木の上にいた。魔物じゃないものの背は風を受けることも、揺れることもない。

 ゆっくりと魔物じゃないものが下に降りていくと、あのうろが見えた。


 間違えてなくてよかった。


「これ? が、シアの、家?」


 魔物じゃないものが地に降り立つ。後ろに跨がっていた人がその背からひらりと飛び降り、降りたその人の腕に抱きかかえられるようにして魔物じゃないものから降ろされると、男の人がどこか困ったようにそう聞いてきた。それにひとつ頷く。


「あー、うん、なんとなくわかった。あー…どうしようかなぁ。さっき森の向こうに見えた街って?」

「王都、です」

「行ったことある?」

「もともとそこにいた、です。ここを見つけて、ここで寝るようになるまで、です。今はギルドに通ってる、です」

「ギルドか……。俺も登録できるかな?」

「丸い石の上に手を置くと、色々わかって、十二歳から登録できる、です」

「色々って?」

「歳とか、性別とか、名前とか、その人に関することが全部わかるって言ってた、です」

「なるほどね。じゃさ、俺をギルドに連れてって?」


 ひとつ頷けば、魔物じゃないものの背にまた乗せられた。今度は飛ばずに歩いて行くようだ。


「これは翼って名前だからね」

「ツバサ?」

 魔物じゃない魔物みたいな生き物はツバサ。三文字も貴族の名前だ。


「そう。俺はランでいいからね」

「ラン、様」

「様はいらない」

「でも五文字……」

「ああ、平民だと二文字だって言ってたよね、五文字だと?」

「王族か、上流貴族、です」

「なるほど……じゃあ、アレクシアの名前も隠しておいた方がいい?」

 しっかり頷く。平民が五文字を名乗ると間違いなく首が飛ぶ。


「じゃ、アレクシアの名前はシアで、俺はランってことにしておくか。翼もギルドに登録する?」

「いい。二文字にするとツバかバサになるから嫌!」

 ツバサの言葉にラン、は声を上げて笑っている。本当に様はいらないのか、少し不安。


「ラン……は、王族? です?」

「あー、うん、そうだな、皇族ではあるかな。でも内緒だよ。あと、です、はいらないから。普通に話していいよ」

「内緒……だから、様はいらない?」

「そういうこと」

 王族は貴族より偉い人たちだ。ランは王族なのに偉そうじゃない。王族は貴族より偉いから、貴族よりもっと偉そうにしているかと思った。


「どうした?」

「お貴族様は嫌な人って思ってた」

「ああ、エルもそんなこと言ってたな……」

「エル?」

「エルは妹」

「妹? ……名前は、五文字?」

「いや、エルネスティーヌだから、六文字か? 七文字になるのか?」

「神様!?」

「いや。絶対に(・・・)違う。俺のいたところでは、名前の文字数は自由だったんだよ」


 そんなところもあるのか。初めて知った。学校でもそんなことは言っていなかったような気がする。


 いつも平民の学校の窓の下に座って、窓の中から聞こえてくる授業を盗み聞いていた。

 貧しい家の子や、裏路地の子たちは大抵そうやって言葉などを覚えた。学校の大人たちも見て見ぬふりをしてくれる。見て見ぬふりをしてくれない学校に通う子たちに、時々追いかけられることはあったけれど。


 王都の端が見えてきたところで、ツバサから降りると、ツバサの姿がぶれて人になった。


「これが人型の翼。覚えておいて」

 そうランが言うと、ツバサはふっと消えてしまった。


 驚きすぎて、ツバサの姿が掻き消えた場所から目が離せない。


「今はこの石に宿っているんだ」

 その声に、ゆっくりとその目をランに向けた。


「でも会話は聞こえるから悪口言うとあとで報復くらうよ」

 ランが耳についた、綺麗な石を指して笑う。


 ツバサは、驚くほど綺麗な人だった。きらきらとした日の光のと同じ色の髪に同じ色の目。

 あんな綺麗な人、初めて見た。


「ほら、口閉じて。翼みたいなものはみんな美形なんだよ」

 渋い顔でそう言うランだって、薄い土の色の髪に晴れた空と同じ色の目の綺麗な人だ。


 ツバサが人じゃないみたいに綺麗だとしたら、ランは人としてすごく綺麗。きっと格好いいとは、こういう人のことだと思う。

 考えながら歩いていると靴の中で足が滑って躓きそうになる。すかさずランが支えてくれた。


「ほら、しっかり歩いて、って、その靴歩きにくそうだね。うーんと、はいこれ」

 ランが鞄をごそごそしていると、中から靴が出てきた。どこからどう見ても上等な靴だ。こんな立派な靴はお金のある平民だって履いているのを見たことがない。


「履いてみて。サイズは合ってると思うんだけど」

 よくわからない言葉を言いながら手渡された。そのあまりの立派さにどうしていいかわからない。じっとランの顔を見ていたら、ランが屈んで靴を履かせてくれようとする。慌てて履いている靴を脱ぎ捨てた。


「あー、靴下も欲しいな。靴履く前にこれ履いてみて。靴が当たって痛くならないから」

 靴下なんて、お貴族様のものだ。

 履いてもいいのかがわからず、思わずランを見上げた。


「いいよ。ほら、足上げて」

 そう言って靴下を履かせてくれようとする。慌ててその場に座り込み、渡された靴下を履く。

 履く瞬間、足が綺麗になったような気がしたのは、気のせいかもしれない。

 靴下はするすると足を滑り、ぴったりと足と同じ形になった。


──すごい。ぴったり。

 靴下の上から上等すぎる靴を履けば、靴に付いている紐をランがぎゅっと結んでくれた。これも足にぴったり。生まれて初めてぴったりな靴を履いた。

 立ち上がり、足を踏みならしても靴が足に貼り付いているかのように離れない。靴の中で足が滑らない。


「気に入った?」

 ランを見ればどうしてか嬉しそうな顔をしている。


「うん! ありがと!」

 ランが頭をわしゃわしゃと撫でてくる。初めて頭を撫でられた。


「シアは笑っている方がいいよ。笑った顔がすごく可愛い」

 言われた意味がわからず、ぽかんとしてしまう。


 確か、可愛いは小さいってことだ。笑った顔がすごく小さいとは、どういうことだろう。


「ほら行くよ。この靴どうする?」

「もらったから、持って行く」

 考えていたらそう言われ、慌ててお姉さんからもらった靴を胸に抱える。ランが、鞄の中にその靴を入れてくれた。




 王都に向かって歩く。

 足にぴったりな靴はこんなにも歩きやすいということを初めて知った。どこまでも歩いて行けそうだ。嬉しくていつもより早足になる。

 ぴったりな靴のことばかり考えながら歩いていたら、いつの間にか王都の端に着いていた。


「王都って割には街壁も門もないんだな」

「街壁や門はお貴族様の暮らすところの入り口にある」

「なるほど」

 少しだけ、ランが嫌そうな顔をしたように見えた。


「ギルドは、こっち」

 ランが周りを見渡しながら、後をついてくる。なんだか難しい顔をしている。王族のランにとっては、きっとこの辺りは顔をしかめたくなるような場所だろう。


 なるべく早足でギルドまでを急ぐ。

 ランの身なりからだろうか、周りからじろじろと見られている。それにランが気付いた瞬間、どういう訳か周りからの視線がなくなった。さっきまであれほどじろじろと見られていたのに、今は誰一人ランを気にしていない。

 その奇妙さに首を傾げつつも、とにかくギルドへと急いだ。


「ここ?」

 ひとつ頷く。

 王都のギルドは、大通りに面した、なんてことない普通の建物だ。ギルドの標札を掲げていなければ、ここがギルドだなんてわからない。

 初めてギルドに登録しようとしたとき、どこにあるかがわからなくて、散々探し回った挙げ句、目の前にあったときはなんだか腹立たしかった。もう少しわかりやすい見た目にしてほしい。


 扉を開けて中に入ると、お姉さんが慌てたように立ち上がり、受付台の向こうから身を乗り出すように声を掛けてきた。


「あなた、昨日戻ってこなかったから心配したのよ。大丈夫だったの?」

 ひとつ頷けば、ふうっと息をつきながらお姉さんが椅子に座り直す。心配してくれる人がここにもいた。それがすごく嬉しい。


「よかった。依頼は明日までだけど、どうだった?」

「依頼って?」

 すかさずランに聞かれ、腰につけた隠し袋に入れていた札を見せ、依頼書が張り出されている場所に連れて行き、その内容を教える。

 すると、ランが鞄から依頼品を取り出し、札と一緒に受付台に置いた。


「あら。ちょっと待ってって。換金するわ」

 お姉さんが奥に行っている間にランの袖をそっと引っ張れば、ランが指を一本唇に添え、「しーっ」と小さく声に出しながら目配せをする。


「はい。なかなか状態がよかったから、少し上乗せしといたわ。あの薬草、なかなか見つからないのよ。よく見つけたわねぇ。この依頼は期限はあるけど受付制限も違約金もないから、依頼が出たら受けるだけ受けて、見つかったら換金するといいわ」

 頷きながらお姉さんの話を聞き、お金を受け取る。ランにお金を渡そうとすると、首を横に振られた。ひとまず隠し袋にそれを入れる。


──あっ、思い出した。ランの登録!


「で、こちらのお兄さんは? 初めてよね」

 何も言わずとも、お姉さんがランに話しかけてくれた。


「はい。登録をお願いできますか」

「じゃあ、この上に手を置いて」

 ランがあの丸い石の上に手を置くと、お姉さんの目が見開かれる。


「あなた……。奥で登録することになるけどいいかしら?」

 お姉さんが声をひそめた。どうしたのだろう。あの丸い石で何がわかったのだろう。


「彼女も一緒でいいですか?」

「かまわないわ」

 お姉さんが奥の部屋に案内してくれた。


 初めて受付台の奥に入った。

 寝泊まりできる大部屋は受付の反対側。受付台より中に入るのはギルド職員だけだ。だからだろう、少しだけギルドの中がざわめいた。


「ここで少し待っていて、ギルド長を連れてくるわ。あなた、魔法師、よね」

 奥の部屋に入り、一旦扉を閉めると、お姉さんが胡散臭そうにそう聞いてきた。

 魔法師って、あの魔法師だろうか。お貴族様より偉い、あの魔法師様? びっくりして思わずランを見上げる。


「魔法師がどういうものかはわかりませんが、魔法を使うことはできます」

「わかったわ。少し待っていて」

 さっきお姉さんがびっくりしてたのは、きっとあの丸い石でランが魔法師だとわかったからだ。


 お姉さんが出ていった後、すぐに大人の男の人がお姉さんと一緒に入ってきた。

 その男の人に座るよう言われ、ランと並んで座る。

 それはとても柔らかい椅子だった。おしりがふわんとする。こんなに柔らかい、おまけに横に長い椅子、初めて座った。


「ここのギルド長のダリルだ。これは俺の娘でアルダ」

 お姉さんはアルダさんというのか。おまけにギルド長の娘さん。しかもお貴族様だったのかと驚く。


「ああ、三文字だけどお貴族様じゃないわよ。父がギルド長になったから改名して三文字になっていいるだけ。体裁ってことらしいわ」

 アルダさんが馬鹿馬鹿しそうに笑いながら肩をすくめた。


「私は、ランです。彼女はシア」

「あら、名前を付けてもらったの?」

 お姉さんの言葉にひとつ頷けば、「よかったわね」と笑いかけてくれ、登録の書き換えをするから、帰りに受付に寄るよう言われる。


「魔法を使えるなら、この部屋に防音の結界を張れるか?」

「張りましたよ」

「は? 手も動かさず何も言わずに?」

「ええ」

「本当に張れているのか? ……うそだろ! 張れてる! しかもなんだこれ! 見たことないほど強固だぞ!」

 ギルド長の訝しむ声が驚きの声に変わる。


「ダリルさんは力が使えるんですか?」

「力? 魔法のことか? いや、理解できるだけだ。理解できても使えなかったから、魔法師にはなれなかった」

「なるほど。魔法は使えないけど力は見えるし理解もできる」

「そうだ。あいつらよりもその点だけは優れてはいたんだがな」

「その言い方だと、あまり魔法師をよく思っていないようですね」

 ランの言葉に、ギルド長が渋い顔になる。


 平民に魔法師をよく思っている人なんてめったにいない。


「それで? 魔法師がなんの戯れでギルドに登録したいと?」

 ギルド長がさっきのお姉さんと同じ顔で、胡散臭そうに聞いてきた。ランが「あー…」と言いながら、一瞬目を上に向けた。


「そうですね……。私は、とてもとても、信じられないほど、とてつもないほどの辺境から来たので、魔法師がどういう存在なのかがわかりません。魔法師だとギルドに登録できませんか?」

「いや、できないわけじゃない。だが、門の先に行けば、貴族以上の暮らしができるんだ、わざわざその手前で生きていく必要はないだろう」

 どことなく胡散臭いランの言い方に、ギルド長がやっぱり胡散臭そうにランを見ている。


「できればその手前で生きていきたいのですが」

「はあ?」

 当たり前のように言うランに、ギルド長の目が丸くなり、素っ頓狂な声を出した。


「ですので、登録したいのですが」

 ランがしれっと答えると、ギルド長の目が再び胡散臭そうに細まった。


「お前、頭大丈夫なのか?」

「ご心配にはおよびません。どうもそのお貴族様って面倒そうな気がするんですよね」

「いや、確かにあいつらは面倒どころか厄介だが……」

「ではお願いします」

「変わってるな、お前。アルダ、予備の石を……」

 アルダさんがすかさずギルド長の前にずいっとあの丸い石を押しつけた。


「やけに用意がいいな」

 ギルド長の呆れた顔に、アルダさんが少しだけ偉そうに笑う。


「だってこの子に無料(ただ)で名前を付けるような人よ」

「はあ? 無料(ただ)で名付けたのか?」

「そうよね? どう考えてもこの子、名前料なんて持ってないもの」


──名前を付けてもらうのにお金が必要?


「名前を付けるのにお金がかかるんですか?」

 ランも同じことを思ったようだ。


「ああ。名前は魂に刻みつけるだろう? それは魔法師じゃなきゃできないからな」

 それを聞いたランが、まるでギルド長がおかしなことを言ったかのように「はあ?」と眉を寄せ、訝しげな顔をする。


「ダリルさんもできますよ」

「なんだと! 本当か!?」

 ギルド長が目を見開いて身を乗り出している。ギルド長のツバが飛んできた。すかさずあの透明な膜みたいなもので遮られる。


 それを見て、一瞬、魔物の滴り落ちるどす黒い何かを思い出しそうになり、慌てて頭を振る。


「ええ、特に難しくもないですし、たいした力も使いません」

 そう言いながらランは、頭を一度だけぽんと撫でてくれた。


 その瞬間、思い出しそうになった不安が遠退く。隣にいるランを見れば、ギルド長に目を向けたままだ。

 よく見れば、ランの周りにも同じような膜があるような気がする。

──この膜、なんだろう。


「そうなのか? どういうことだ?」

「本当にどういうことなんでしょうね。ここでは名前がなくても不便はないのでしょうか?」

 呆れたようなランの物言いに、ギルド長の顔が苦々しいものに変わる。


「そうだな。ただ生きていくだけならなんともないが……。例えばギルドに登録したとする。どれほど腕がよくても名前がなければ星はつかない」

「星とは、ランク、階級のことですか?」

「そうだ。星は全部で五つ。星の種類は大中小の三つ。最高ランクが大の星五つ。最低ランクが小の星ひとつだ。それ以下は星ナシと呼ばれる。階級によって依頼料が変わるし、受けられる依頼も変わる」

「名前料とはいかほどですか?」

「金貨一枚だな」


──金貨一枚! どうしよう。返した方がいい?

 慌てて隣に座るランの袖をくいっと引いた。


「名前、返せる?」

「ん? ああ、お金なんていらないよ。シアの名前は俺からの贈りもの」

「贈りもの?」

 ランが笑いながら頷いて、頭を撫でてくれた。


 頭を撫でられるのは気持ちがいい。心がほかっとして、ほっとする。


「ここでの金貨一枚は、どのくらいの価値になりますか?」

 ランがギルド長に向き直ると、頭を撫でていた手がなくなった。なんだか頭が寒い。


「そうだな、平民でも商人や職人なんかの稼ぐ奴が、飲まず食わずで一年溜め込んだら金貨一枚だな。ギルドに登録しているような奴は二年以上かかる」

「なるほど。馬鹿馬鹿しいですね」

「ああ。馬鹿馬鹿しいことだ」

「名前を勝手に付けると罰せられるとか?」

「いや、それは聞いたことがない。そもそも魔法師以外できないことだ。勝手に付けるもないだろうが……。本当に俺でも名付けができるのか?」

「ええ。おそらくアルダさんもできると思いますよ」

「本当!?」


 ギルド長の隣に座ってたアルダさんが、目を見開いて身を乗り出している。親子って似るのかもしれない。


「ひとまず登録するか。この石の上に手を乗せてくれ」

 ギルド長に言われた通り、ランが丸い石の上に手を乗せた。


「おい。これがお前の器の大きさか? これだけか? そんなわけないだろう!」

「ではもう少し出しますか」

「おい! ……お前、器の大きさを変えられるのか?」

 ギルド長の目がまたもや見開かれる。


「正しくは力をどれだけ抑えているか、解放するか、ですね。おそらく力を抑えれば抑えるほど、そこに表示される器は小さくなりますし、解放すればするほど大きくなると思います」

「最大まで解放する……と?」

 恐る恐るという感じでギルド長が声を上げた。隣でアルダさんの喉がごくっと鳴った。


「その石が壊れます」

「お前……。何者だ?」

「えーっと、なんて言ったっけ? ……魔法の伝道師? だったかな?」

「はあ?」

「魔法の使い方を教えに来ました」

 そう言ってランは、なんだかとっても胡散臭い顔でにやりと笑った。






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