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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第九十四話 三人目

「改めて、私の名前はパスピ・ディアン。神の使徒が一人、"神の手"のディアンよ。この船の船医をさせてもらうわ。私の手にかかれば治せない怪我や病気は一切ないから、堂々と怪我しなさい!」

医者が怪我しろというのも変な話だ、と僕は苦笑いをした。

雲はやや多く、快晴とはいかない天気の中、僕たちを乗せた船はゆっくりと進む。船員が4人に増えるとさすがに小船では厳しいだろうと、港にある船から好きなものを持って行っていいとメリー王女が許可してくれた。港には大小様々な船があり、フラッシュは派手で豪華なキャラック船をもらおうと目を輝かせていたが、三十人は乗れそうな大型船だから必要ないとベラに却下された。結局、小さめのキャラベル船が多数決で選ばれた。フラッシュは最後までキャラック船を指差していた。キャラベル船の船首には女神が取り付けられていて、ディアンはそこが気に入ったらしい。僕も悪くないと思う。内装もシンプルで良く、ダイニングテーブルにはちょうど椅子が四つ添えられていた。

「それにしても、何年ぶりかしら? こうやってまたベラと一緒に旅するのは」

ディアンはテーブルに肘をついてニヤニヤと笑った。

「今度は逃がさないからね」

「どういうこと?」

「昔ね、一人旅してた頃に出会ったの。私以外の神の使徒って初めて見たし、長く一人でいたら寂しくなっちゃってて……それで一緒に旅しようってベラを誘ったの。ベラも承諾してくれたんだけど、何ヶ月かしたら急にいなくなっちゃって。私はそのまま島に戻ってそれっきり。もう会えないかと思ってたけど、神様のいたずらかしら?」

ふふふっと笑うディアンは本当に嬉しそうだ。フラッシュもグッと親指を立てた。

「良かったなディアン」

「ベラ、何も言わずにいなくなるのはいけないことだよ。もうしちゃダメだよ」

「そうやって説教できるのも今のうちだ」

ベラが不機嫌そうに吐いたセリフに僕は首を傾げた。ベラはビシッとディアンを指差す。

「コイツは男体好きなんだ。男風呂を覗き、治療と言って身体をまさぐる変態女医だぞ。もうアルも逃げられないからな」

背中にゾクッと悪寒が走り、僕はディアンの方を見れなかった。

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