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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第八十七話 愚者の過ち

「伏せろ! フラッシュ!」

ボクの掛け声にフラッシュはすぐに反応した。ボクが放った火球はフラッシュのしゃがみ込んだ頭の上ギリギリを通過し、腐王の土手っ腹にクリーンヒットした。腐王が吹っ飛んだ隙にフラッシュの袖を掴む。

「おい、フラッシュ。立てるか? 逃げるぞ」

フラッシュはボクを見上げ、目をパチクリさせた。

「……ホントにベラ?」

「それ以外の何に見える」

呆れたようにため息をつくと、フラッシュはいきなり抱き着いてきた。バランスを失ってフラリと落下する。

「治ったんだな! よかった! よかったよベラ!」

「うるさい! ウザイ! 重い! 離れろ!」

引き剥がそうと力むがフラッシュはビクともしない。それどころか、より一層ニヤついた顔でスリスリと頬擦りをしてくる。

「お前は猫か!!」

パシンッと頭を叩くと、フラッシュはジッとボクの顔を見て、今度はうるうると瞳を揺らめかせた。

「よかったよベラー!!」

ギュウギュウと抱き締められながら、コイツ酔ってるのか? なんて考える。酔っ払いの相手の仕方なんて知らない。困り果てて視線を遠くにやると、部屋の奥でゆらりと立ち上がるものがあった。あの方向は、さっきボクが腐王を吹っ飛ばした方だ。闇に浮かぶシルエットもそれで間違いない。あの一撃で倒れないだと!? とギョッとする。

「おいフラッシュ! いつまでやってる! 腐王が起き上がったぞ! 早く逃げろ!」

振り返って腐王を確認したフラッシュは、バッとボクを見た。目が会った瞬間、フラッシュの考えが読めてしまう。

――ベラにいいとこ見せなきゃ!――

「やめろ! お前じゃ無理だ!」

駆け出したフラッシュの背に手を伸ばして叫ぶ。起き上がるのが遅くて届かない。チカチカと両手を光らせるフラッシュの奥で、闇に浮かぶ腐王が大きく背を反らせた。やっと掴んだフラッシュの襟をグイッと引き、勢いのままに前に飛び出る。おかげで腐王が吐いた毒霧をモロに浴びてしまった。グニャリと歪む視界いっぱいに炎を吹き付け、腐王諸共辺り一面焼け野原にして出口へ急ぐ。

「来い!」

へたり込むフラッシュの腕を引っ張ると、今度は素直に従った。

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