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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第八十六話 ディアンとメリー

久しぶりに会った妹は、もう私の知っているメリーじゃなかった。背もほとんど同じぐらいに大きくなって、お母さんに瓜二つの美しい顔に、ハッキリとものを言える性格もお母さんそっくりだ。もう、私の後ろをついてくるドジで頼りないメリーはいない。私はそれが嬉しくてついクスリと笑ってしまった。それがカンに触ったのか、胸倉を掴む手にさらに力を込めて、メリーは私を睨んだ。

「何がおかしいのよ!」

「ごめんごめん」

私は軽い口調で謝りながらメリーの手を解いた。

「しばらく見ないうちに立派になったなーって、嬉しくてつい」

「はぁ?」

メリーは呆れたように片眉を上げた。

「言い訳にしかならないと思うけど、王女にはやっぱりあなたが相応しいわ。私は結構いい加減だし、政治とか苦手だし、お上品になんてできないし……」

それから……と続ける言葉を遮って、メリーは言い訳ね、とため息をついた。

「ホント、ディアン姉さんはいつも自分のことだけ……王女をやめたのだって、どうせ海外に行きたかったからでしょ。別にいいわよ! 姉さんの力を借りなくたって、私一人でこの国を守るんだから!」

「どう捉えてくれてもいいわ。海外に行きたかったのは本当だしね。医者には色んな経験が必要なのよ」

でもね、と私は後ろで震えるアルの肩を抱いた。

「それは国民を怪我や病気で失うのが嫌だったから。自分の国の大事な人たちなのよ? 力になりたいって思うのは変じゃないわ。あなただってそう。国民を守ろうと必死なのはわかる。けれど、国民以外はどうなってもいいなんて、そんなことは許されないわ。腐王がどんな者かは知らないけど、女だからって力に屈するのはよくないって、お母さんが言ってたじゃない」

「何よ! 何も知らないくせに!! 偉そうに説教しないで!」

メリーの剣幕にアルは小刻みに震えている。

「そうよ、私は何も知らない。あなたが、国が大変な時に何もしてあげられなかった。でも、まだ間に合うわよね?」

首を傾げるメリーに私はニヤリと笑う。

「その腐王ってやつ、私が倒してあげるわ! それで国外逃亡したこと、許してもらえないかしら?」

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