表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
83/95

第八十二話 魔物

衛兵達はただの人間だったようで、あっという間にノされた。そんな彼らを足先で突っつきながら、フラッシュはつまらんと吐き捨てる。

「これだけか? 弱いな」

「そんな言い方したら、本当に悪い魔女みたいね」

「魔女に良いも悪いもないと思うがな」

フラッシュは悪そうな顔で笑った。もしかしたら本当に悪い魔女なのかもしれない。

「急ぎましょう! 男の衛兵は雑魚中の雑魚よ。魔物の衛兵が出てきたら厄介だわ。アルさんは多分地下牢にいる」

先導する私のあとに続きながら、フラッシュは顔を顰めた。

「魔物? 魔物がいるのか? ここは人間の国じゃないのか!? 国王は人間なんだろ?」

「うん、多分ね。窓からチラッと見ただけだけど……」

朧気な記憶を辿りながら地下牢に続く階段を駆け下りる。

「でももしかしたら、国王は成り代わられているかもな。魔物は人間なら無差別に食う、胸糞の悪い奴らだから」

フラッシュは苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。

「本当にそうだとしたらまずいわね……行方不明になった男達は、食われていたのかもしれないわ!」

「くそっ! 先行くぜ!」

フラッシュは箒に乗って飛んで行ってしまった。

「待って! 地下牢への道は右に曲がらないといけないのよ!!」

叫びながら転がるように駆け下りたけれど、分かれ道のどちらにもフラッシュの姿は見つけられなかった。仕方なく私は真っ直ぐ地下牢を目指す。

「いたぞ! 侵入者だ!」

「み、見つかった!」

地下牢への一本道の向かい側から魔物の衛兵がゾロゾロと現れた。慌てて引き返そうと向きを変えるものの、来た道からも衛兵達が顔を出した。挟み撃ちにされてガックリと肩を落とす。腐った死体のような死臭が漂ってきて顔を顰めた。

「仕方ないわよねぇ……」

小さく呟いて拳を握った。カシャリとガントレットが小さく音を立てる。そして力一杯地面を砕いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ