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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第八十一話 突入!

魔法で寝かせたベラをドクターの診療所に置いてきて、高くそびえる王宮の門を前にあたしはニヤリと笑った。

「準備はいいのか?」

「フラッシュは意地悪ね。準備なんて何も無いわよ。行き当たりばったり」

ドクターは肩を竦めて笑った。それはまるで、勝てないと分かっているようだった。

「負け戦と分かってて行くのか?」

「そういうフラッシュだって」

友達思いなのね、とクスリと笑う。

「見た目以上にはな。アルだって、たった一晩の仲だが大事な仲間だ。ドクターの方こそなんで力を貸してくれるんだ?」

ドクターはそれはねぇ、と嬉しそうに笑いながら、腕の力だけで軽々と門を飛び越えた。あたしも慌てて箒で後を追う。朱塗りの少し朽ちた王宮の腐った戸に手をかけてドクターは振り返った。

「一つ、ベラと再会出来たことが嬉しかったから。ベラのことは専属医として守ってあげたい。大事な仲間が捕えられていたら、ベラはあんな状態でも無茶をするに決まってるわ。だから先に私がお仲間を助けちゃおうって作戦」

腐った戸は少し押しただけで大きな音を立てて崩れた。ドクターはあらら、と驚きながらも、やはりどこか嬉しそうだ。よっぽどベラに会えたのが嬉しいのだろう。

「二つ、今は私一人じゃないから。人ってね、一人じゃなーんにもできないのよ。前の私なら、患者を見捨てられずに島を出れず、怪しい国王様の真実を確かめるのも怖がっていた……でも、魔女が味方って心強いわ。ありがとうフラッシュ」

ふわりと桃色の髪が揺れる。まだ何もしていないのに礼を言われ面食らった。

「あたしは別に……」

「いたぞ! 侵入者だ!」

あたしの声を遮るように怒号が響き渡った。広い玄関ホールの奥から、衛兵らしき武装した男たちが駆けてくるのが見える。

「準備はいい?」

ドクターが構えると腕が銀色の篭手に覆われる。それに驚きつつも、あたしも形だけ腕を構えた。

「準備なんてねぇよ!」

あたしがニヤリと笑うと、ドクターも口を開けて笑った。

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