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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第七十二話 連行

ベラの謎の発言の真意を確かめたくても、病人をわざわざ起こすのははばかられ、結局僕はモヤモヤした気持ちを抱えたまま、港の中を歩き回っていた。

港には大小様々な船が6隻も停まっているというのに、辺りはシンと静まり返っている。薄暗いせいもあり、なんだか不気味で背筋が震える。どの船にも誰も乗っていないのを確認し、最後に眼鏡の女の人が消えていった通路を覗いた。そこは完全に真っ暗闇で、通路の先が全く見えない。結構長そうだな、なんて思っていると、通路の向こうから微かにガシャガシャと金属が擦れるような音が聞こえてきた。それは段々大きくなり、やがて複数人の足音だと気付く。僕は慌てて自分の船に戻った。操舵室の扉をガッチリ閉めて、窓からそっと覗き見る。暫くして通路から武装した人が10人ほど出てきた。辺りを見回し、真っ直ぐにこちらに向かってくる。僕はしゃがみこんで自分の肩を抱いて震えた。

しかし当然隠れても意味は無く、バンッ! と乱暴に操舵室の扉が開かれた。僕は悲鳴を上げて逃げようともがくが、数人のガタイのいい男に押さえつけられては身動き一つ取れない。指揮を執っていた1番大柄な人が手を振って合図すると、羽交い締めのまま僕は通路に連れていかれる。顔だけで振り返ってベラを確認したが、どうやら彼は放っておかれるようだ。

「隊長! もう一人は良いのですか?」

武装兵の一人がリーダーの男に聞いた。僕は耳を澄ませる。

「病人は不味いそうだ。腐王様もお召し上がりにならないらしい」

僕はその言葉にゾッとする。

お召し上がりに……? なら僕は、その腐王とやらの……食料!

「嫌だーーーー!! 離してー! 死にたくないよ! ベラー! フラッシュー! 助け……」

暴れ回っていると頭に重い衝撃があり、僕は気を失った。

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