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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第六十九話 名医の憂鬱

午前の患者は捌き終え、診療所は一旦お休みして、私は深く椅子に座った。遅めの昼ご飯を食べようと手を合わせる。

「いただきます」

最初に白米を一口。ハンバーグを一口。野菜を一口……やっぱりどれも美味しくない。ここの食べ物は何一つ美味しくない。まるで腐ったような味がするけれど、島のみんなはまるで気づいていない。生まれた時からずーっとこの島でこの食事を続けていたら、この味が当たり前になってしまうのも無理はないけれど、いい加減病気になりそうだ。この島の患者が後を絶たないのはこの食事のせいじゃないかと常々思う。けれど所詮私は一介の医者。他の医師も倒れてしまうこの島で、日々増え続ける患者を診るだけで精一杯だし、それが本職だ。他のことは何も出来ない。

まだ半分以上も残っている弁当に蓋をして席を立つ。気分転換も兼ねて外で煙草を吸おうと扉に手をかけた。

「はぁ……また美味しいご飯食べたいなぁ」

ため息を漏らしながら、ガランとした待合室をツカツカと通り抜ける。

「ベラは面白い子だったなぁ……また一緒に冒険したいなぁ」

遠い日々に思いを馳せながら、正面玄関の扉を開く。

「すみません! ドクターはいませんか!? 急患なんだ!」

突然飛び込んできた黄色に私は目を見開いた。

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