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第六十七話 girl or boy
フラッシュを見送った僕は、眼鏡の女の人に尋問されていた。
「この島にはどうやって来た?」
「ふ、船で……」
「違う!」
女の人の気迫に僕は泣きそうになる。この人は偉い人なのだろうか? 怖すぎる。
「指針を持っているのかと聞いているのだ」
「指針? いえ、僕たちはたまたまこの島を見つけて……」
「嘘じゃないだろうな」
「滅相もない!」
僕は必死に首を左右に振った。この人に嘘なんかついたら首が飛ぶ。
「まあいい。目的は何だ?」
「い、医者を探しに……」
「医者だと? 病人でもいるのか」
僕は小さく頷いて操舵室を指差した。女の人は僕を一度睨んで、身軽に船に乗り込み、操舵室の扉を乱暴に開いた。熱にうなされたベラを寝かせてあるから、そっとしておいてほしくて僕は慌てて駆け寄った。
中を覗くと女の人がベラの服を脱がしていた。僕は思わず手で顔を覆い隠す。
「い、一体何を!?」
「性別の確認だ」
女の人は淡々と告げる。
「フン、女々しい顔をしながら男だったとは。危うく騙されるところだった」
その言葉に僕は驚いて手をのける。まじまじと見たベラの体は、紛うことなき男の体だった。