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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
男子禁制の島
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第六十一話 腹の虫

帆が風をはらみ船は進む。ポカポカとした暖かい気温にあたしは小さな欠伸を一つした。ファグ姉たちと別れてから随分と時間が経ち、太陽はちょうど真上あたりからサンサンとあたしたちを照らしている。

ぐきゅるるるるるる……

あたしがもう一度欠伸をしようと軽く口を開いた時、盛大に誰かの腹の虫が鳴った。ベラとアルを交互に見る。ベラは風に真紅の髪を弄ばれながら、ボーッと水平線を眺めている。アルは少し俯いて腹を抑えながら耳まで真っ赤になっているから、一目瞭然だ。

「まあ、そろそろ昼だからな」

さりげなくフォローを入れてやると、アルは小さく頷いた。そしてベラがようやくこっちを向いて首を傾げた。

「今の音は何だ? 昼だと何かあるのか?」

一瞬ふざけているのかと思った。けれどベラはいかにもわからないという顔をしていて、とても冗談とは思えない。ベラはお腹が空くことがないのだろうか? 今度はあたしが首を傾げた。

ファグ姉から聞いた話じゃ、ベラは元はすごく高貴な家の出身らしい。あまり詳しくは教えてくれなかったが、元貴族ならきっと決まった時間になったら勝手に美味しいご飯が出てきて、食べ物に困ったこともないんだろう。羨ましい反面少し憎らしい。

「腹の虫の音だよ。ちょっとお腹すいちゃって……」

アルは照れくさそうに頬を掻きながら言った。ベラはそうか、と短く返していきなり飛び立った。驚くあたしとアルを横目に、待ってろとだけ言ってどこかに飛び去ってしまった。

あたしとアルはゆっくりと顔を見合わせ、えーーーー!! と声を荒らげた。

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