表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
旅立ち
6/95

第五話 神族

振り返った僕は大きな悲鳴を上げた。そこにいた人は、真っ黒なぼろ布のマントに身を包み、顔がわからないほど目深にフードをかぶっていた。たとえそれが僕の知っている人だったとしても、僕は同じように叫んでいただろう。その人は大きくため息をついた。

「喚くな。まだ上に奴がいる。聞こえてしまうだろう?」

そう言ってその人は、マントの袖にすっぽりと隠れた手で僕の口を塞いだ。僕はさらにパニックになり、逃げようと必死に暴れる。マント越しに手を噛むとその人は手をひっこめた。その瞬間、僕は全力で逃げ出す。運のいいことに僕は逃げ足だけには自信があった。あっという間にその人は見えなくなった。

「なんだったんだ、あの人は……」

そう呟きながら前を向いた瞬間、目の前に大きな斧が落ちてきた。

「ぎゃああああああ!!!」

斧が刺さってコンクリートの地面にひびが入る。ギリギリのところで当たりはしなかったが、僕の心臓はバクバクと大きく脈打つ。一瞬で腰が抜けてヘタリと座り込んだ。斧が持ち上げられるのに連れられて顔を上げると、新月の闇の中に立つ角の生えた大男と目が合った。僕はまた叫んだ。

「てめぇ……なんで気付いた? 完全に気配を消していたってのに、てめぇ、避けやがったな? てめぇがあの、神族か。胸糞わりぃ! 殺す殺スコロス!! 神族は皆殺しだぁ!」

男は叫びながら斧を振り下ろした。僕は恐怖で体が固まって動けない。それでも声だけは出続けた。

「ぃやああああああああああああああああああ!!!!!!」

目の前に斧が迫った瞬間、僕は死を覚悟してギュッと目をつぶった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ