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第五十八話 まあ、そういうことだ
「あたしも連れてってよ」
ニヤリと笑ってそう言うと、ベラはひどく嫌そうに顔を歪ませた。
「そんな顔するなよ。その少年、アルって言ったか？ そいつがいいならあたしだっていいでしょ？ 断られる理由がない」
「あるね、ボクが嫌だ」
ベラは大きくため息をついて首を振った。
「えー、なんでだよベラ！」
そう食い付いたのはアルだった。けれど、ベラに睨まれて少しだけ身をすくめた。
「で、でも、ベラ……魔女たちは別に悪者じゃないんだろ？ だったら一緒だと心強いだろ？ 連れて行ってやろうよ、ベラ」
ベラはアルとあたしを交互に睨んで、またため息をついた。
「さっきから連れて行け連れて行けと……一体どこにだ？」
あたしは言葉に詰まった。言うなればあたしはベラと一緒にいたいだけで、どこかに行きたい訳でもないが。どう言ったものかと首をひねった。どう言ったとしてもベラは反論してきそうだ。
「別にどこでもいいよ」
アルがしれっと言った。あたしは目を見開く。
「僕はベラと一緒にいたいだけだから、別にどこに連れて行ってくれてもいい」
「……地獄でもか？」
ベラは意地悪くニヤリと笑った。
「いいよ」
アルは即答した。ベラが少し驚いている。あたしはフッと笑った。
「まあ、そういうことだ。あたしもベラと一緒にいたい。地獄でもどこにでも連れて行ってくれよ」
アルとは案外気が合いそうだ。
