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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第五十四話 わからない

空ではベラさんとアルさんが大騒ぎしていて、それを見上げているファグお姉ちゃんとフラッシュお姉ちゃんはよくわからない難しい話をしている。私はなんだかソワソワして、ほうきに乗って船から降りた。海岸にはまだアクアさんがうずくまっていて、ポロポロと涙を流している。私はそっと近づいて隣に座った。

「……ベラさんって強いね」

返事はない。私は雲一つない空を見上げて独り言を続ける。

「私ね、魔欠病っていう病気なんだって。魔力が生まれつき少なくて、体が弱いんだって。だから魔力を使えないの。でもね、お姉ちゃんたちが助けてくれたんだ! すっごく感謝してるの! いくらありがとうって言っても足りないくらい」

アクアさんを見てニコリと笑うと、アクアさんも少し顔を上げて私を見た。

「でも、いっつも助けてもらってばっかだから、恩返ししたいの」

アクアさんは涙を拭って、私が何を言いたいのかわからないと言いたげな顔で聞いている。私も何が言いたいのかわからないけれど、なぜか言葉が溢れて止まらない。

「ベラさんが、私にもお姉ちゃんたちを助けれるって言ってくれたの。そしたらね、すっごく力が湧いてきてね! ぶわーって魔力が使えたの!」

手を空に向かって広げる。青い青い空はどこまでも遠く、どこまでも広がっている。

「私、もっともっと強くなりたい。助けられるばかりはもういや。お姉ちゃんたちを助けられるくらいに、すっごく強くなりたいの!」

伸ばした腕を抱き込む。そしておずおずとアクアさんを見た。

「どうしたらいいと思う?」

なんで私はアクアさんにこんなことを訊いているんだろう? なんで泣きそうなんだろう?

やっぱりまだ何もわからない。

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