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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第五十三話 誰だって自由

「僕も連れて行って!!!」

アルがベラを呼び止めた。ベラは何を言っているかわからないというような顔で、はぁ!? と言う。まあ、と驚いているファグ姉を横目に、あたしは少しいいな、なんて思った。

「僕にはもう、行くとこも帰るとこもない。ベラがそう言ったんだよ。僕を島から連れ出した責任はちゃんと取ってよ!」

ベラが降りてきてアルのおでこを指で突っついた。

「バカ言うな! そんなの魔物から助けてやったからチャラに決まってるだろ! だいたい、行くとこも帰るとこもないからってなんでボクと一緒に行こうとしてるんだ。お前の好きなようにすればいいじゃないか。仕える者がいなけりゃ、使用人でも自由だろ」

ベラがそう言うと、アルはニヤッと笑った。まるでその言葉を待っていたかのように。

「言ったね、ベラ。じゃあ僕の自由にさせてもらうよ! 僕はベラと一緒にいたい!」

ベラはうっと言葉に詰まって、慌てて逃げようとした。その服の裾をアルが掴んで離さない。なんとも威勢がいい。

「逃げるなんて卑怯だよ!」

「バ、バカ! 離せ! 落ちるぞ!!」

ベラにくっ付いて頭上高く飛んだアルは、たちまち情けない悲鳴を上げた。

「さっきまでの威勢はどうしたんだよあいつ」

「ホント、不思議な人ねぇ」

ファグ姉は頬に手を当ててフフフと笑っている。あたしは小さくため息をついてベラを見上げた。

「ねえ、ファグ姉」

「うん?」

「あたしもさ、あいつに付いて行くって言ったら……怒る?」

ファグ姉はクスクスと笑った。

「姉だからって、可愛い妹たちを縛る権利なんかないわ。私たちは誰だって自由なのよ。貴方は特に、そういう子でしょう?」

「……ありがとう」

あたしは空を仰いだまま短く返した。

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