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パンドラの箱  作者: 傘屋 佐菜
悪魔の島
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第四十六話 アクアとベラ

「行きますよ、ベラさん!」

私が高らかに宣言すると、ベラさんはフードをとって少しだけ笑った。

「お前は弱い。それでもか?」

そう言いつつベラさんが手を振り上げると、ボッと音を立てて大きな火の玉が現れた。

「火と水じゃ、どっちが有利かわかるでしょう!?」

私は水鉄砲を両手で撃って、火の玉を消火した。ベラさんは少し驚いたようにほう、と息を吐く。私は見たか! と得意げに笑った。ベラさんは呆れたような顔で頭を掻いた。

「こんなのでもう勝った気か? 子供は呑気でいいな」

「何を! ベラさんの方が子供じゃないですか!」

私はもう17歳で、人魚族や魚人族は13歳からが大人だ。だから私はもうとっくに立派な大人なのに! そもそも、ベラさんは私より背が低いし童顔だから、ベラさんの方が子供に決まっている。成長しないとか何とか言っていたけど、神の使徒や神族が成長しないという文献は見たことがない。つまり真っ赤な嘘だ。

「身長とか顔とかで判断するな! 失礼だぞお前!」

ベラさんは少しムキになって叫んだ。ベラさんは怒る時だけは表情豊かだな、なんてぼんやりと思う。

「もう怒ったぞ! もう二度とそんなこと言えないように、本気で捻り潰してやる!」

ベラさんはそう言ってマントを脱ぎ捨てた。その下にベラさんは真っ赤なコートを着ていた。サイズが合ってなくて、肩がずり落ちているものの、前ボタンでギリギリ脱げないように着ている。手も足もすっぽりと覆い隠しているそのコートを私はどこかで見たことがあった。

「何をボケっとしてるんだ!?」

ハッとすると、一瞬で近づいたベラさんの顔が目の前にあった。殴るように振りかぶられた炎を纏った攻撃をギリギリのところでかわし、水鉄砲を乱射して距離をとった。

「本気のボクに勝てると思うなよ?」

嘘か本当か、幸運にもベラさんが本気で戦ってくれることに胸が高鳴った。

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